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ワンゲルガイドブックス08 全国ベストトレイル「山と渓谷社」

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■ワンゲルガイドブックス08 全国ベストトレイル「山と渓谷社」 下 2012年6月25日 発売

日本の主なトレイルを紹介しています。私は鈴鹿中部を担当し、御在所岳を中心に紹介しています。縦走派にはお勧めです。

花の百名山登山ガイド 下「山と渓谷社」 2012年6月21日 発売

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花の百名山登山ガイド 下「山と渓谷社」 2012年6月21日 発売

花の百名山がリニューアルになりました。私の担当は伊吹山、霊仙山、藤原岳、鎌ヶ岳です。

ふるさと山便り

山と渓谷2012年7月号のふるさと山便りに、「御池岳、行方不明者捜索活動を終えて」という見出しで、少し記事を書かせていただきました。

ほっとイブニング 東海地方

NHKの「ほっとイブニング」2012年6月11日(三重県)12日(名古屋)放送で、「竜ガ岳」(鈴鹿)の写真を提供しました。

捜索活動を終えて

事故と捜索について語るには心を休ませる時間が必要だ、とりあえずは簡単なコメントを

 捜索活動は暗礁に乗り上げつつあった。そこに有力な情報が入り、一筋の光が御池岳南西斜面を照らしたのだ。捜索本部が綿密な捜索計画を練り上げ、4月28日に実施されることになった。
 私は4月28日29日の二日間、捜索、収容、搬出を遂行するために全精力をつぎ込んだ。私にとって今回が13回目の捜索活動となった。もちろん、絶対に事故などあってはならない。単独でやるバリエーションなら気楽なものだが、捜索活動はいろいろな責任を背負うことになる。そして、遭難対策本部の綿密な捜索計画が功を奏し、発見につなげることができたのだ。不明者発見により捜索活動にピリオドは打たれたが、事故原因や捜索活動については教訓として記録に残す必要があるだろう。
 毎回々、一日の捜索が終え、成果なく肩を落として帰ってきた私達を出迎えてくれたご家族の方々や、同僚の皆様の心遣いに感謝すると同時に、岳連やボランティアを指揮し、長期間に渡る捜索活動を責任を持って遂行した遭難対策本部の居村さんに敬意を表したい。

Nさん捜索終了のお知らせ

藤原岳・御池岳・鈴北岳 捜索情報 Wikiより引用
http://www50.atwiki.jp/hnagashi/pages/1.html
 2月12日に消息を絶たれてから2ヶ月半を経過してしまいました。
この間多くの方々の献身的な捜索と、情報収集のおかげで昨日(4月28日12時半)ようやく所在確認に至りました。
本日、管轄の東近江警察署員と捜索隊員とで収容、搬送が終了しましたのでお知らせします。 本当なら心がけを頂いている方々に対し、昨日速報でお知らせするのが筋ではございましたが、 確認できた場所が浮き石落石の危険が非常に高い場所であったので、本日の収容完了まで伏せさせて頂きました。 お詫びいたします。
 これまでの間、名簿に記載されただけでも600余名の方に参加者頂いています。
これほど多くの方々に協力頂いたこと、また、事故もなく継続できましたことを心からお礼申し上げます。 しばらく時間がかかりますが、いずれ関係下さった方に報告をさせて頂きたいと考えています。 末尾ですが、ありがとうございました。
平成24年4月29日 三重県山岳連盟遭難対策委員会 事務局 居村年男

私は4月28日、29日の両日、捜索隊として参加しました。一隊員としてのレポートは出さず、遭難対策委員会から出される報告がすべてとさせていただきます。

再捜索が始まっている

早く見つけてあげたいの一心で、寒波の中も思い当たる谷に突入し捜索を続けてきた。気がつくともう、Nさんが不明になってかれこれ2ヶ月が経過してしまった。すべての谷を捜索し尽くしたが、何の進展もなかった。捜索に携わっているのは、御池、藤原のプロ集団だ。にもかかわらず糸口さえつかめないという厳しい現実に直面している。
再捜索の方針を打ち出して2週間が経過した。週末ごとの寒波襲来で苦戦が続いている。稜線付近の谷にはまだ残雪がたっぷりとある。これが融けなければ、捜索は進まないだろう。しかしもうすぐ、雪は必ず融ける。そして若葉が出るまでが勝負だろう。それまでに、すべての谷と斜面を探し尽くす必要がある。「すべての谷と斜面」と一口で言うが、たやすくない。地形図には現れない谷を含めると、途方もない作業だ。しかしみんなで分担すれば確実に捜索を進めることができるだろう。Nさんはどこかの岩陰で、私たちが来るのを待っているはずだ。
4月8日時点の捜索図を添付した
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丸尾P673周辺捜索

気になる情報が入ったので本日(3月28日)、遭難対策責任者のIさんらと4人で急きょ、丸尾に入った。結果は空振りだったが、丸尾は可能性が残っているルートのひとつだ。
7時にゲートに集合し、国道で犬帰し橋の手前まで入り、時間短縮のために林道まで車を入れる。寒山まで最短距離で登る。この斜面は等高線が混んでいて傾斜がきつくピッケルが有効だ。寒山周辺は地形が複雑で迷いやすく、痩せ尾根の危険個所もある。P673まで進み、迷い込みやすい尾根を探索したが、手掛かりは得られなかった。これから藤原・御池花の季節、多くのと登山者が入るので、少しでも気になる情報があれば、ご連絡ください。

Nさんの足取りを推測した捜索

りゅう太さんの調査と写真分析から
1 丸山から下山したワカンの足跡
http://pub.ne.jp/ryuuta/?entry_id=4183208
2 2月11日のワカンの足跡
http://pub.ne.jp/ryuuta/?entry_id=4224188

ブログから推測はしていたが、Nさんは慎重で計画的に行動する人で、先人のトレースに忠実に登山道にそって歩いていると思われる。

山頂到着が2月11日15時ころだった。もしテーブルランドが野営地だったら、初心者なので、テント設営に最低でも30分はかかる。それほど大きく動く時間はなかったはず。設営できたとしても丸山周辺だろう。2月11日は風も少しあったそうなのでテントは設営しにくい。2月12日は天気が悪く、テーブルランド散策はしていないと思う。「これから下山する」のメールは2月12日6時33分だった。

山頂付近を野営地にした場合、テントをベースに散策に出かけることはある。テーブルランドの縁から滑落したのなら、ザックを担いではいないと思う。帰路にトレースのないテーブルランドの縁を歩いて鈴北に向かったとは思えない。それ以前の問題として、2月11日はテーブルランドを散策する時間のゆとりはなかったと思う。

2月11日の山頂の写真だが、鈴北方面から侵入したトレースはない。当日Nさんは、りゅう太さんの後を、30分~60分くらいの時間差で追っていた。Nさんは、トレースのないところへ行かないと思う。これは、りゅう太さんのレポートで確認できるのではないか。

丸山を一旦下り、県境稜線を鈴北に向かった可能性はあるが、Nさんが実績のないルートへ踏み込むだろうか。それに、タテ谷から県境稜線にかけては何度も捜索が行われているが、手掛かりはまったくつかめていない。

以上のことを考えると、帰路はやはり、藤原へ戻ろうとしたと考えられるが、どうだろうか。今週はとりあえず、白瀬峠周辺の未捜索部分に集中しようと思う。

自然の厳しさ

春先からは花を追いかける山行が中心になるが、今年は、捜索活動に参加している関係で、なかなか気持ちを切り替えることはできない。鈴鹿を愛する登山家はみな同じだろう。不明者のNさんとは全く面識はなくブログで知るのみだが、真摯に山と向き合う姿勢が読み取れる。毎週私たちを支援してくれるご家族の方も優しい。平穏な家庭に突然襲ったアクシデント。
昨日、防災の研修会で、群馬大学の片田先生の話を聞いた。大震災までに取り組んできた防災教育のおかげで、釜石市内の児童生徒のほぼ全員が避難できた。釜石の奇跡だ。3つの原則が子供達を救った。
原則1 想定にとらわれるな
原則2 最善を尽くせ
原則3 率先して避難せよ
普段は私たちを癒してくれる山の自然も、ひとたび牙をむくと、想定外の事態を引き起こす。原則1では「想定にとらわれるな」といっている。想定は、学者が知恵を絞り、行政が決めている。人は想定内で安心して暮らしていると徐々に危機感が薄れ、現に釜石では、想定浸水域外での不明者死亡者が圧倒的に多い。つまり想定にとらわれた人が犠牲になっている。
「最善を尽くしても、駄目なときはある」という先生の言葉が印象に残った。人は、自然の力には屈服せざるを得ない、ということだ。万全の備えで山に出かけたNさんだったが、きっと想定外の事態が起こったのだろう。
今、私たちにできることは、早くご家族の元へ返すことだ。
花を見て少し気持ちがリフレッシュできた。鍋尻の帰りに大貝戸の本部へ立ち寄った。今日は真の谷でゾンデ探索をしたそうだ。ご苦労様でした。
今週も捜索に参加したい。