記事一覧

2013夏

8月に入り夏型気圧配置で天候が安定している。
それに比例するように日本アルプスへの入山者が多くなるにともない山岳事故も増えてきている。やはり事故の多いのは剱と穂高の岩稜だ。
剱では、
8月8日小窓の王付近で雪渓を100mで滑落し骨折
8月10日平蔵の頭で転倒し骨折
8月10日長次郎右俣で雪渓を滑落100m骨折
が起こっている。我々がチンネ左稜線アタックのために入山していた期間と一致する。
長次郎谷、三の窓雪渓付近には、確認できただけで、東京農大、早稲田大、中央大が入っていた。長次郎右俣に関しては、中央大らしい。
また穂高では、
8月18日吊り尾根から滑落死亡
8月15日北穂ドーム中央稜滑落骨折
8月10日天狗の頭から転落死亡
8月19日ピラミッドピーク滑落死亡
これを見る限り、剱ではバリエーションルートで、穂高では一般道での事故が目に付く。
滑落は、スリップ、転倒、浮き石、剥離などから始まる。登山者は皆注意していると思うが、長時間行動でストレスがたまり、判断力、注意力が鈍ってきたときに発生するので、休憩を入れて、気持ちにゆとりをゆとりを持たせたい。

山岳写真家「新井和也」さん死去

ファイル 211-1.jpg

山岳カメラマンの新井和也さんが、お亡くなりになりましたと、編集部からメールをいただいた。ネットで山岳事故を検索したところ情報がヒットした。7月20日長次郎の頭で落石により滑落したらしい。剱沢ベースにチンネ左稜線をやってから山頂経由で戻る途中だったらしい。現場は長次郎の頭付近で、シュルンドで大きな岩の下敷きになったようだ。私もガイドブックの取材で花や岩稜の山岳写真を撮っているので、以前から新井和也さんは知っていた。アグレッシブに全国の山を訪ね、いい写真を撮っていたと思う。告別式などの案内をいただいたが、参加できないので、この場を借りてご冥福をお祈りいたします。

写真は長次郎の頭付近

八ヶ岳で事故

長野県の八ケ岳連峰横岳(二、八二九メートル)で二十四日午後、41歳女性が動けなくなり、同行していた登山仲間が救助要請した。二十五日午前、県の消防防災ヘリで収容されたが、死亡が確認された。死因は低体温症。
 茅野署によると、四人は二十三日に入山し、横岳へ向かって岩登り中、41歳女性が体調不良を訴えた。男性二人が付き添い、一人は近くの山小屋に救助を要請して再び現場に戻ったが、三人とも二十五日未明に山小屋に避難した。四人は同じ山岳会のメンバーで、現場付近は風が強かったという。

コメント

バリエーションルートとして知られている石尊稜のことだと思う。初級ルートで今年の冬のルート候補に挙げていたが、なぜ事故が起こったか原因がわからないと不安だ。体調不良で動けなくなったとあるが、登攀途中だろうか。登攀途中ならロープを使って降ろすレスキュー技術が必要だ。自分ならどうするか、今その手順が頭を巡っている。それとも稜線に出てからだろうか。いずれにしろ24日は今期の最大寒波襲来の日で、吹雪かれているので、おそらく気温はマイナス30度以下になっていたと思われる。登攀は結構な待ち時間があるので、身体の動きが止まると急速に冷えてきたのだろう。

2013年2月26日

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ