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自然の厳しさ

春先からは花を追いかける山行が中心になるが、今年は、捜索活動に参加している関係で、なかなか気持ちを切り替えることはできない。鈴鹿を愛する登山家はみな同じだろう。不明者のNさんとは全く面識はなくブログで知るのみだが、真摯に山と向き合う姿勢が読み取れる。毎週私たちを支援してくれるご家族の方も優しい。平穏な家庭に突然襲ったアクシデント。
昨日、防災の研修会で、群馬大学の片田先生の話を聞いた。大震災までに取り組んできた防災教育のおかげで、釜石市内の児童生徒のほぼ全員が避難できた。釜石の奇跡だ。3つの原則が子供達を救った。
原則1 想定にとらわれるな
原則2 最善を尽くせ
原則3 率先して避難せよ
普段は私たちを癒してくれる山の自然も、ひとたび牙をむくと、想定外の事態を引き起こす。原則1では「想定にとらわれるな」といっている。想定は、学者が知恵を絞り、行政が決めている。人は想定内で安心して暮らしていると徐々に危機感が薄れ、現に釜石では、想定浸水域外での不明者死亡者が圧倒的に多い。つまり想定にとらわれた人が犠牲になっている。
「最善を尽くしても、駄目なときはある」という先生の言葉が印象に残った。人は、自然の力には屈服せざるを得ない、ということだ。万全の備えで山に出かけたNさんだったが、きっと想定外の事態が起こったのだろう。
今、私たちにできることは、早くご家族の元へ返すことだ。
花を見て少し気持ちがリフレッシュできた。鍋尻の帰りに大貝戸の本部へ立ち寄った。今日は真の谷でゾンデ探索をしたそうだ。ご苦労様でした。
今週も捜索に参加したい。