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●キバナノアマナ ユリ科 キバナノアマナ属

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●キバナノアマナ ユリ科 キバナノアマナ属
三重県レッドデータブック:絶滅危惧1A類。既知の生育地点数は1、で個体数が少ない。県内ではいなべ市の藤原岳、滋賀県の御池岳で記録されている。

分類
A 果実はそう果
 B 果皮は厚く、種子は果実内で成熟
  C 地下に鱗茎がある
   D 散形花序で、基部に1〜数個の包葉をつける。
    E 花序の包葉は緑で線形。

「プロファイル」 牧野図鑑より
旧大陸の北部に広く分布。日本では本州中部以北の山野にはえる多年草。春に1茎1葉を出して、黄色い花を開く。夏に鱗茎の残して枯れる。

「葉」
線形で幅7〜8ミリ。半筒状をして内面が溝となっている。茎よりも長い。
茎の上部に2〜3個の包葉をつける。包葉の先端は長く尖る。

「花」
花序は散形で、6〜10個の花をつける。花序は長短不揃い。花は黄色、花被は6個、先端は鋭形。裏側の中央は淡緑色。おしべは6個で、花被片より短い。

同じく御池岳や藤原岳で見られるヒロハノアマナ(アマナ属)とは属が違う。

●ヤマネコノメソウ ユキノシタ科 ネコノメソウ属

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●ヤマネコノメソウ ユキノシタ科 ネコノメソウ属(Chrysosplenium.japonicum)山猫の目草
鈴鹿では主に山地で見られるが、もともと各地の人家近くの日陰や石垣に間などに生える多年草である。牧野図鑑の表現がkの種の特徴をよく表しているので、引用する。「全体に長い毛が散生し、うす緑色、著しく液汁に富みもろい。根本に長さ2-3ミリの汚れた紫色の肉芽(珠芽「むかご」)をつける特性がある」
【葉】
3〜4枚の根生葉は腎形。基部は心形。長い柄がある。縁には低い鋸歯がある。
【茎】
高さ10〜15センチ。3〜4の鋭い稜がある。小型の葉が2〜3枚互生する。
【花】
春、茎の先に花弁のない細い緑色の花を開く。
花の下に倒卵形または卵形の葉状の包葉がある。4個のガク片は黄色で平開する。広い卵形。先端は鈍形。おしべ8本で花糸はガク片より短い。ヤクは黄色。
さく果は2つの状だが、やがて4個の小片が開く杯状となる。

●スハマソウ キンポウゲ科 ミスミソウ属

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●スハマソウ キンポウゲ科 ミスミソウ属(Hepatic.nobilis Var.japonica f.variegate)
【生育地】
山地の樹林内に生える多年草。
【茎・根】
根茎は斜めにはい、細長くて節が多い。暗色のひげ根を出す。
【葉】
根生で斜上し長い柄があり、冬も枯れない。
葉身は基部は心形で3裂。裂片は広卵形で先は鈍形。葉質はやや厚く、暗緑色で光沢はない。時に白斑がある。裏面は淡色長い毛がまばらに生えている。新葉は内にたたまれ、白い絹毛をかぶり、花がおわってから開いて伸びる。
【花】
古い葉の間から2−3本の長い花柄をのばし白い花をつける。
花柄には白い絹毛が密生している。
花弁状のガク片が6−8個あり、長楕円形で白色が普通。
ガク片の直ぐしたに、卵状楕円形の緑色の総包が3個ある。
おしべ多数、黄色。めしべ多数、子房に細かい毛がある。そう果は多数。

●ミヤマカタバミ カタバミ科 カタバミ属

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●ミヤマカタバミ カタバミ科 カタバミ属(griffithii Dxalis)
深山傍食
【生育地】
山地の林内に生える多年草。
【根茎】
地中を斜めに下り、表面には古い葉の葉柄の基部が多数残り、重なり合った突起となる。
【葉】
花全部根生し、長い葉柄がある。3小葉からなる。小葉は倒心形。先端はへこみ両側の片は先端が丸みを帯びている。葉にも葉柄にもかすかな毛がある。
【花】
春に葉の間から7センチくらいの花柄を出し、花柄の上部には小さな包葉が2個ある。柄の先に1個の花をつける。ガク片5個、花弁5個、白色で時々淡紫色の線があry。花弁は長楕円形、長さ1〜1.5センチ。おしべは長短10本、めしべは1本で子房には花柱が5本ある。さく果で、熟すと種子をはじく。

*変種にコミヤマカタバミがある。深山のシラビソなどの針葉樹林の木陰に多く見られる。 

シロバナネコノメソウ ユキノシタ科 ネコノメソウ属

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さてシロバナネコノメソウだが、ハナネコノメソウとの区別が難しい種だ。三重県レッドデータブックを見ると、いずれの種も記載されていないので、絶滅危惧種に上げられていないことがわかる。
 まず植物図鑑の元祖的存在の、「牧野 新日本植物図鑑」(北隆館)で調べてみる。すると、ハナネコノメソウ(chrysosplenum stamineum)は取り上げられているが、シロバナネコノメソウ(chrysosplenum album)は掲載されていない。chrysosplenumは、ネコノメソウ属のこと。同じく北隆館の「原色牧野植物大図鑑」も同じで、シロバナネコノメソウは扱われていない。それでは山渓ハンディー図鑑はというと、ハナネコノメソウやキバナハナネコノメソウの母種がシロバナネコノメソウという扱いになっている。学名を見てみる。
  シロバナネコノメソウ(chrysosplenum album)
  ハナネコノメソウ(chrysosplenum var.stamineum)
  キバナハナネコノメソウ(chrysosplenum var.flavum)
となっている。 var. がつくということは、変種であるということを表しているので、シロバナネコノメソウが母種であることになる。
 まず記述の詳しい、牧野新日本植物図鑑でハナネコノメソウについて調べてみる。

●ハナネコノメソウ ユキノシタ科 ネコノメソウ属
花猫の目草:花の白さが特に著しく感じるのでこの和名がつけられたようだ。
【生育地】
関東および中部の山間の谷川の縁に生える多年草:牧野図鑑
福島県から京都府に分布:ハンディ図鑑
生育地に関しては、地域的なものや、山間の谷川の湿地については一致している。一方シロバナネコノメソウは、分布域が近畿地方、中国地方、四国、九州となっている。ちょうどこの三重県のあたりで分かれていることになる。昔から西と東は、関ヶ原で分かれるようだが、植物に関しても、同じようなことがいえるのかもしれない。
【茎】
花茎は、高さが5センチ内外。直立して頂端部に花序がある。その他の茎は花が終わってから根の近くから出て、四方に伸びる。黒っぽい紫色を帯び 細くて水分を多く含み軟らかく白色のちぢれ毛がある。


鈴鹿南部で撮影2007/3/17


【葉】
小型で葉柄がある。一般に対生であるが、時に互生も混じる。円卵形。鈍鋸歯。黒っぽい緑色。
【花】
花茎の頂端に、2、3個の花がまばらにつく。早春の頃開く。花弁はなく、ガク片が白色で4個。直立し鐘状に開く。ガク片は長蛇円形で先端は鈍形。縦の脈がはっきりと見える。おしべは8個。花糸は細長くガク片より長く直立している。やくは、紫黒色の点状。めしべは1個で、花柱は二つに分かれる。さく果。

シロバナネコノメソウ(母種)ハナネコノメソウ(変種)
分布近畿地方、中国地方、四国、九州福島県から京都府に分布
花期4,5月3,4月

ガク片は斜開し、先がとがる
やくは、暗紅色。

ガク片は、まるみがあり先はとがらない
やくは、暗紅色。牧野では、紫黒色。
茎 走出枝は暗紅色を帯びる
葉扇円形で鈍鋸歯が6〜9個卵円形で、葉の鋸歯は3〜7個
総合的に判断してみると、花がシロバナネコノメソウで、茎と葉は、ハナネコノメソウの特徴を備えているようだ。母種が少しずつ変化していると見ることができる。

ユキワリイチゲ キンポウゲ科 イチリンソウ属

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●ユキワリイチゲ キンポウゲ科 イチリンソウ属
雪割イチゲ:雪の中ですでに芽が出ているから。ルリイチゲの別名がある。キクザキイチゲにも同じ別名がつけられている。
【生育地】
準絶滅危惧種、各生育地の個体数はそれほど多くない。県内では、津市、伊賀市、松阪市、多気町、度会町、大台町、伊勢市。やぶ陰に生える多年草で、湖畔林の林床、すぎ林の林縁、神社の境内などに生える。開発や治水工事により減少。
【茎】
根茎は地中を横にはい、多肉で紫色を帯び、ひげ根を出す。
早春の頃、葉よりも高い10センチ内外の茎を1本出し、茎頂に葉状包を3個つける。無柄で卵状被針形で2〜3の欠刻がある。
【葉】
葉は根生し、長い柄があって立ち、平開する無柄の3小葉からなる。小葉の先端は鋭形で、不ぞろいの鋸歯がある。両側の小葉は左右不同形。葉の上面は濃緑色、褐紫色の斑紋がある。裏面は紫色。無毛で草質。11月頃に新葉を出し冬を越す。

【花】
包の中心から、細毛のある1本の花柄をまっすぐに立て、その先に花を一個つける。花は日が当たると開く。上部はやや白色、下部は淡紫色を帯びている。ガク片は15個くらい線状楕円形、花弁はない。おしべは多数で黄色。

トウゴクサバノオ キンポウゲ科 シロガネソウ属

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●トウゴクサバノオ キンポウゲ科 シロガネソウ属
鯖の尾:両側に張り出した袋果の様子に基づく
【生育地】
既知の生育地点は10以上だが、各生育地の個体数は50未満。生育地は、いなべ市、亀山市、伊賀市、津市、松阪市など(三重県レッドデータブック2005)
暖帯林中に生える多年生草本。谷川沿いの湿地に生えるので、河川改修による減少がある。
本種は何種類かあるシロガネソウの仲間だが、三重県内では他の種類はないように思われるので、その意味からも希少といえる。
【茎】
草全体は柔らかく、無毛である。高さは10センチほどで、ひと株から3、4本の茎が出て、葉よりも高く斜めに伸び上がる。4稜、汚紅色。上部に2個の包葉が対生する。包葉は柄が短く3出。
【葉】
根本から生え、葉柄のもとに軟骨状の鞘がある。3出あるいは、鳥足状の5出。小葉は円卵形で縁に鈍きょ歯がある。
【花】
4月頃、茎の先に淡黄緑色の花を開く。細い花柄がある。
がく片は5個で花弁状。花弁は黄色の密槽状となりがく片より短い。おしべ15個内外。袋果は6月で、熟して水平状に開く。

撮影 2007年3月10日 撮影地非公開

3月になった

残雪を楽しむ間もなく、鈴鹿の山は一気に花モードに入ってしまった。ホームページの掲示板も花の話題で盛り上がっている。確か昨年は、3月に入っても小雪のぱらつく日があったと思うが、今年に限っては少しは冬型に戻ることはあっても、降雪はもうないだろう。鈴鹿の山も東側から見る限り、白いものは全く見えない。6日は啓蟄だが、きっと虫たちもすでに活動を開始しているだろう。

御池の仙人様が闘病生活を送っておられる。今日は、とっちゃんとハリマオさんが見舞いに行ったそうだ。我はひたすら山日記を書いて、仙人様に送り届けようと思う。早く復帰して、皆でミルキーあんパンに行きたい。

今日はバスケの試合を3試合した。1試合目はディフェンスが悪くて、60点ほど献上してしまい、我がチームは50点に届かず。今のところ攻撃力は45点なので、40点台の試合をしないと勝てない。2,3試合目は、失点を30点台に押さえることができたので、少しゆとりを持って試合を進めることができた。デフェンスとリバウンドができるようになってきたが、今後は得点力を上げていきたい。

フクジュソウ

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フクジュソウ  キンポウゲ科

「花の百名山」田中澄江著では、鈴鹿藤原岳の花として取り上げられている。もちろんこの花は、藤原岳に限らず、山野ではそれほど珍しくないと思うが、ただたくさんあるからいいというものでもない。藤原岳は石灰岩質特有の地形をしていて、そこに咲くから印象に残るのかもしれない。「花の百名山」から引用してみると。

しかし私は、新幹線が米原に近づく頃、左手の車窓に盛り上がる鈴鹿山塊を見上がると、時間があれば、霊仙に、御池岳と御在所岳に行きたくなる。一番もう一度思うのは藤原岳である・・・・・藤原岳は二度も雨で山麓まで行って引き返し三度目にやっと成功。そして藤原の春の盛りほど、山の花の大群にであったことはなかったと感激した・・・・

レッドデータブックでは、絶滅危惧種Ⅱ類、既知の生育地点数が5以下、県内では鈴鹿山脈北部(いなべ市)、伊賀市、大台町(宮川)となっている。全国的には、中部地方以南では稀にしか見られない(牧野)

【茎】直立し緑色で、下部には数個の広いさやがあって、茎を抱いている。花をつけてからもぐんぐん伸びて、15〜25センチくらいになる。
【葉】互生し長い柄がある。3回羽状複葉。
【花】茎頂に径3センチの黄色い花を1個つける。(大きく育った苗では、分枝して数個の花をつける。)暗紫緑色のガク片が数個ある。黄色い花弁は光沢があり、細長い楕円形をしていて、たくさんついている。上部の縁には微歯がある。めしべは多数で黄色。おしべも多数。子房は短小で緑色。そう果は頭上に集まりほぼ球形で細毛がある。
【生活史】
*写真は2006年3月24日に撮影したもの。

セツブンソウ

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キンポウゲ科 セツブンソウ

2週間ほど前から山麓の節分草のたよりが届き始めている。気にはなっていたが、なかなか忙しくて花に時間を割けなかったが、今日は午後に少し時間があったので、藤原の山麓をのぞいてみた。数名の先客がカメラをぶら下げて歩いていた。生育環境さえ整えば、群生を作って咲くようだが、適した環境の減少が個体数の減少につながり、三重県レッドデータブックによると絶滅危惧種1B類になっている。絶滅危惧種1B類といわれても、なんだかわからないが、既知の生育地点数が5以下だそう。三重県内に関していえば、いなべ市、伊賀市となっている。そして保護対策の欄には、「生育地内のスギ、ヒノキの伐採、枝打の実施、採集の禁止や踏みつけの防止」が必要となっていて、もちろん生育地の公表については慎重な配慮が必要である。
【和名】節分草。春寒さをしのいで芽を出し、節分の頃に開花するのでこの名があるようだ。(牧野新日本植物図鑑)
【生育地】中部地方山裾の半陰地にさく多年生草本。主として落葉樹林の下や林縁。石灰岩地帯を好む。
【生活史】2,3月頃塊茎から葉と花芽を出して開花する。5,6月頃樹木や大型の草本が茂って薄暗くなると、種子と塊茎を残して地上部は枯れる。生育地が限られていて、石灰岩地帯を好むなど、特異な性質を持つ草本。上層の落葉樹の季節変化と一体となっている。
【根生葉】繊弱で長い柄があり3深裂する。測裂片は更に2深裂し、小裂片は線形で先が鈍形。
【総包葉】茎の先に輪状につき、不揃いの線形片に分裂
【花】総包葉の中心から1センチほどの花柄を伸ばし花径2センチほどの白い花を1個つける。白いガク片は5個で花弁状。花弁は5個(牧野新日本植物図鑑)と書かれているが、写真は8個ある。棒状で2〜4裂し、先端は黄色の密腺となる。

虫媒花として進化してきたキンポウゲ科の仲間とあって、特徴的な花をつけていて、きれいである。夏、アルプスの花の主役も、やはりキンポウゲ科が多いようだ。

残念ながら「花の百名山」では、セツブンソウは取り上げられていない。山へ登らなくても、山麓で見られる花だからだろうか。いや、フクジュソウ、ミスミソウ、イチゲなどは、ここ鈴鹿では山麓で見ることはすくないが、東北地方などあるところへ行き場たくさんあるようだ。鈴鹿では先にも書いたように、絶滅危惧種になっているので、大切に見守っていきたい花である。

参考文献
・三重県レッドデータブック2005植物・キノコ(三重県)
・牧野 新日本植物図鑑(北隆館)
・里山のふれあい「三重の希少な野生生物」(三重県環境保全事業団)
・原色牧野植物大図鑑(北隆館)
・新花の百名山 田中澄江