キンポウゲ科 セツブンソウ
2週間ほど前から山麓の節分草のたよりが届き始めている。気にはなっていたが、なかなか忙しくて花に時間を割けなかったが、今日は午後に少し時間があったので、藤原の山麓をのぞいてみた。数名の先客がカメラをぶら下げて歩いていた。生育環境さえ整えば、群生を作って咲くようだが、適した環境の減少が個体数の減少につながり、三重県レッドデータブックによると絶滅危惧種1B類になっている。絶滅危惧種1B類といわれても、なんだかわからないが、既知の生育地点数が5以下だそう。三重県内に関していえば、いなべ市、伊賀市となっている。そして保護対策の欄には、「生育地内のスギ、ヒノキの伐採、枝打の実施、採集の禁止や踏みつけの防止」が必要となっていて、もちろん生育地の公表については慎重な配慮が必要である。
【和名】節分草。春寒さをしのいで芽を出し、節分の頃に開花するのでこの名があるようだ。(牧野新日本植物図鑑)
【生育地】中部地方山裾の半陰地にさく多年生草本。主として落葉樹林の下や林縁。石灰岩地帯を好む。
【生活史】2,3月頃塊茎から葉と花芽を出して開花する。5,6月頃樹木や大型の草本が茂って薄暗くなると、種子と塊茎を残して地上部は枯れる。生育地が限られていて、石灰岩地帯を好むなど、特異な性質を持つ草本。上層の落葉樹の季節変化と一体となっている。
【根生葉】繊弱で長い柄があり3深裂する。測裂片は更に2深裂し、小裂片は線形で先が鈍形。
【総包葉】茎の先に輪状につき、不揃いの線形片に分裂
【花】総包葉の中心から1センチほどの花柄を伸ばし花径2センチほどの白い花を1個つける。白いガク片は5個で花弁状。花弁は5個(牧野新日本植物図鑑)と書かれているが、写真は8個ある。棒状で2〜4裂し、先端は黄色の密腺となる。
虫媒花として進化してきたキンポウゲ科の仲間とあって、特徴的な花をつけていて、きれいである。夏、アルプスの花の主役も、やはりキンポウゲ科が多いようだ。
残念ながら「花の百名山」では、セツブンソウは取り上げられていない。山へ登らなくても、山麓で見られる花だからだろうか。いや、フクジュソウ、ミスミソウ、イチゲなどは、ここ鈴鹿では山麓で見ることはすくないが、東北地方などあるところへ行き場たくさんあるようだ。鈴鹿では先にも書いたように、絶滅危惧種になっているので、大切に見守っていきたい花である。
参考文献
・三重県レッドデータブック2005植物・キノコ(三重県)
・牧野 新日本植物図鑑(北隆館)
・里山のふれあい「三重の希少な野生生物」(三重県環境保全事業団)
・原色牧野植物大図鑑(北隆館)
・新花の百名山 田中澄江