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6月は谷川岳

6月は谷川岳 2013年6月23日

6月は谷川岳の月になった。2度も遠征したからだ。谷川岳は,剱,穂高と肩を並べ,日本三大岩壁と呼ばれている。アルパインクライミングを目指す登山者にとって,国内において,この3つの山はあこがれの山で,そこに開かれてきたクラッシックルートは,一度は登ってみたいと思う。剱,穂高のメジャーなルートが終わったら今度は谷川か,と思っていたときに八ヶ岳の小同心でタクさんと出合った。この出会いがなけらば,谷川を知るのは時期的にもっと先になっていたと思うが,タクさんとであってから谷川岳が一気に身近な存在になってきた。
剱,穂高のアルパインルートをやるには,アプローチにかなりの労力が必要になる。剱の場合,アプローチだけで2日を費やし,3日の計画だと1日しか登攀に充てることができない。穂高の場合は比較的アプローチがよく,なんとか二日で完結できるルートが多い。
それでは谷川はどうだろうか。ロープウェイの駐車場から登攀開始地点まで約3時間である。これは雪渓がテールリッジまでつながっていることが条件になる。つまり6月ということだ。下りが2時間だから,アプローチに5時間使っても,登攀に8時間以上を使えることになる。
このアプローチによさが登山者の多い理由だと思う。もちろん岩場のスケールは剱や穂高と肩を並べている。つまり日帰りアルパインが可能な山ということだ。今年はタクさんの案内で一の倉沢から入山し烏帽子沢奥壁を2ルートやったが,決して易しいルートではなかった。一の倉沢出合いから入山し帰ってくるまでは気が抜けないところが多い。ちょっとしたミスが大事故につながりかねない。800人以上の死者を出している山は,世界的にも異例で,魔の山といわれる所以である。
 しかし,鈴鹿から行くとなると,車での移動時間が課題となる。距離にして520kmあり,行程の大部分は高速走行だが,休みを入れながら走ると7時間はかかる計算になる。登攀に備えてある程度睡眠時間を確保したいので遅くても0時にはベースプラザに入りたいが,なかなか予定通りには進まず,結果として睡眠時間が犠牲になってしまう。この影響は登攀日の午後に出る。帰路もまた車での移動が厳しい。登攀を含め16時間の行動を消化し,それから7時間の運転が待っている。これが最後の核心といえるだろう。

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