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■小槍、孫槍、曾孫槍、大槍(北アルプス)
〜小槍の上でアルペン踊りを踊りましょう〜

レポート No.755
日時:2013年9月21日22日23日
参加者:隊長、うさぎ  7名

21日 新穂高温泉駐車場(10:25)〜穂高平小屋(11:26)〜白出沢出合(12:45)〜滝谷(14:35)〜槍平小屋野営場(15:40)
22日 槍平小屋野営場(3:50)〜千丈乗越分岐(5:40)〜千丈乗越(6:20)〜槍の肩(7:50)〜小槍取付(8:20)〜小槍のピーク(9:13)〜小槍のコル(9:40)〜曾孫槍ピーク(10:00)〜孫槍ピーク(10:35)〜槍ヶ岳山頂(11:05)〜槍ヶ岳山荘(11:50)〜飛騨乗越(12:35)〜千丈分岐(13:50)〜槍平野営場(15:50)
23日 槍平野営場(6:15)〜滝谷(7:05)〜白出沢出合(8:40)〜新穂高温泉駐車場(10:05)〜鈴鹿(15:30)


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登攀日の朝 2時過ぎからテントサイトが慌ただしくなってきた。まずまずしっかりと休めたようだ。3時にシュラフを出て軽く朝食を摂った。準備をして出発出来たのは4時前だった。ヘッデンをつけて歩き始める。少し風はあるが、月も星も出ていてまずまずの天気だ。昨日はなかった高層雲が見られるので天気が下り坂になっているようだ。

    
笠ケ岳の満月       出発準備で慌ただしくなったテントサイト

シラビソ帯を過ぎダケカンバ帯に入ると最後の水場に到着し、ヘッデンの必要がなくなった。水場の水で喉を潤し、さてもう一がんばりで千丈乗越分岐だ。サブザックの中はクライミング装備と水、カッパだけなので、10キロくらいはあるが非常に軽く感じてしまう。担いでいても苦にならない重さだ。

    
朝焼けがきれいだった

高層雲があるので朝焼けがきれいだった。しばらく立ち止まり、色の移り変わりを楽しんだ。そうこうしているうちに千丈乗越に到着した。さてどちらのルートを行くかだが、天気の良いうちに展望の良い稜線コースを歩くことにした。

   
笠ヶ岳         千丈乗越分岐を目指す

   
千丈乗越分岐            飛騨沢カールと大喰岳

千丈乗越 約40分で千丈乗越に到着した。標高は2743m。大喰岳ごしに穂高連峰が、千丈沢を挟んで赤茶色の硫黄尾根が独特の色合いを呈し、西鎌尾根が双六まで続いている。黒部源流の山々も一望できた。時計を見ると6時20分で、槍ヶ岳から降りてくる登山者と行き交うようになった。下山する人、双六へ向かう人、いろいろだ。

   
千丈乗越          千丈乗越から見る西鎌尾根

   
大喰岳                千丈沢と硫黄尾根

   
千丈乗越からの登り         もうすぐ小屋だ

槍の肩 さて千丈乗越からもうひとがんばりする必要がある。途中で小休止を入れ1時間半で槍の肩に到着した。まずまずのコースタイムだ。小槍の南面がよく見えている。取り付き点からピークまで、ルートを目でトレースしながら確認した。さてここからは一般登山者なら大槍の鉄の階段を登れば容易に山頂に立てるが、クライミングする我々にとってはこれからが本番だ。ハーネスを装着し、ギア類を身につけて下降点まで移動した。

     
小槍南面             小槍、曾孫槍、大槍

小槍取付 さて取り付きだが、ゴミ置き場あとからもいけるようなので探ってみるがよくわからなかった。定石通り一般登山道をコルまで歩きルンゼを下ることにした。一般登山者はここまでだ。コルまで行くとルートが目視でき安心できたが、ルンゼが悪い。池の谷ほどではないが、油断すると岩がなだれる。慎重に下降し切り通しのようなトラバース道に乗ると岩もしっかりとし安定した。取り付きはすぐに確認できた。

   
左:取り付きを探る   右:一般道でコルまでいきルンゼを下ることに

     
コルから見る槍ヶ岳山荘     

    
小槍が見えてきた      切り通しのトラバース

    
小槍の取り付き          トラバース

小槍1ピッチ目 U 15m 
先にも紹介したが、日本山岳体系によると小槍南面には3本のルートがあるようで、左ルート、中央ルート、右ルートがあり、左と中央は?+A1となっている。見たところ脆そうな岩壁で、アブミを持参しなかったので、今後の課題とした。それで予定通り、一般的に登られている右ルートを攀じることにした。取り付きには古いピトンが3本打たれている。小槍のコルまでは約10mで、その先が40mくらいなので、ワンピッチでもいけるが、コルでロープが屈曲するのでコルまでを1ピッチとした。

    
登攀開始            開始点


まずはコルまでロープを伸ばす

小槍2ピッチ目 W+ 35m
コルまでの1ピッチ目はU級程度なので容易だ。面倒だがコルでピッチを切った。さて本番はここからだ。まずはカンテに沿って登り途中でフェースをトラバースし、その後クラックに沿って登るのがルートの概要だ。?級程度なので緊張もなく、楽しみながらのクライミングとなった。登攀の醍醐味に加え、大槍からの登山者の歓声を背に浴びながらの登攀は痛快だ。ピトンも多く、カムを使う所はなかった。


小槍2ピッチ目の登攀


2ピッチ目、ロープを伸ばす

    
終了点           コルへの懸垂支点

小槍の縁の岩にスリンクが束になっているところが支点として使われている。コルへの懸垂はこれを使うとして、数mロープを伸ばすしたところに頑丈な新しい支点が整備されていたので、そこを終了点とした。大槍からの歓声が聞こえてくる。

    
左:大槍は間近   右:2ピッチ目うさぎの登攀


北鎌尾根

   
小槍のてっぺんからの展望

小槍といえばやはり、童謡「アルプス一万尺」だ。歌詞を調べてみると、29番まであるみたいだが、有名なのは1番の小槍の上で。
 1番:アルプス一万尺 小槍の上で アルペン踊りを さあ踊りましょ
 4番:お花畑で 昼寝をすれば 蝶々が飛んできて キスをする
 6番:一万尺に テントを張れば 星のランプに 手が届く
 7番:キャンプサイトに カッコウ鳴いて 霧の中から朝が来る
 8番:染めてやりたや あの娘の袖を お花畑の 花模様
13番:お花畑で 昼寝をすれば 可愛いあのこの 夢を見る
16番:チンネの頭に ザイルをかけて パイプ吹かせば 胸が湧く
17番:剣のテラスに ハンマー振れば ハーケン歌うよ 青空に
20番:命捧げて 恋するものに 何故に冷たい 岩の肌
21番:ザイル担いで 穂高の山へ 明日は男の 度胸試し
23番:西穂に登れば 奥穂が招く まねくその手が ジャンダルム
27番:槍の頭で 小キジを撃てば 高瀬と梓と 泣き別れ
28番:名残つきない 大正池 またも見返す 穂高岳
29番:まめで逢いましょ また来年も 山で桜の 咲く頃に

   
小槍の上でアルペン踊り


黒部源流の山々

      
小槍からコルへの懸垂下降25mぎりぎり

 小槍の山頂はそれほど広くなく、アルペン踊りを踊ると危険なので、ギャラリーへのサービスとして、うさぎがポーズを決めた。
 さて次は曾孫槍だ。その前にコルまで懸垂下降。取り付きまで一気に降りると40mだが、コルまでだと25mぎりぎりだった。ただしコルへの懸垂は斜めの懸垂になるので、振られないようにバランスコントロールが必要。

   
小槍のてっぺんで     小槍からの懸垂

     
小槍からの懸垂            小槍の南面と西鎌尾根

小槍尾根 小槍から大槍に続く尾根は槍ケ岳西稜(小槍尾根)と呼ばれている。日本山岳体系から引用すると「小槍から大槍を別々に考えるのではなく、小槍基部から北西へ降りる岩稜から小槍、曾孫槍、孫槍、大槍へと続く岩稜を一続きの稜と考えてルート化すると、長大な、技術的にも難しい、しかも楽しいルートとなる。・・・・」


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