■コブ尾根@奧穂高岳(北アルプス) |
レポート No.750 |
【8月16日】 鈴鹿(5:20)〜四日市(6:00)〜平湯アカンダナP(9:30)〜上高地(10:10)〜岳沢登山口(10:35)〜(13:40)岳沢小屋野営場(14:50)〜コブ沢取付(15:40)〜テント場(16:40) |
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プロローグ コブ尾根は穂高のバリエーションルートのひとつで、岳沢ベースのルートとして人気がある。良く登られている時期は残雪期だが、もちろん、夏のバリエーションルートとしてもすばらしいルートだ。一昨年、南陵ルートをトレースし、この山域の次の目標はコブ尾根と決めていた。昨年、計画に上げていたが天候判断で流していたが今年、チャンスが巡ってきた。今年の夏のアルパインは前半、天候が悪く苦戦を強いられていたが後半になり、先週のチンネ左稜線に引き続き好天に恵まれ、計画にゆとりを持たせたことあって、コブ尾根とじっくり対峙することができた。 アプローチ 初日は岳沢までの移動と、コブ沢の取り付きの染みだけだったので、当日の早朝出発とした。四日市でsskさんをピックアップし平湯へ向かった。渋滞もなく順調に走り、予定委通り平湯に到着、駐車場は混雑していて一番下の駐車場に駐車した。この時間になると大半は観光客で、臨時バスが増発されていて、スムーズに上高地まで入ることができた。 上高地〜岳沢 バスを降りると清々しさが感じられたが、まだまだ日差しは夏の強さだ。 バスターミナルから早速、梓川の歩道に出て、岳沢に目をやった。気になっていたのは雪渓の状態だ。雪渓の末端の状態はここからだとわからないが、コブ沢の雪渓とコブ尾根がはっきりと確認できた。
遊歩道を歩いて岳沢登山口に到着。昨年は前穂高岳北尾根をやったときに帰路に使ったので1年ぶりだ。上高地、横尾間のルートと比べると登山者がぐっと少なくなり、静かな山歩きになった。 登山口からしばらくは樹林歩きが続くが、気温が高いので、大きな荷物を担いで歩いているとすぐに汗が噴き出してきた。身体が加熱しすぎないように、小刻みに小休止を入れ、身体を冷やしながら歩いた。この時期は、ゴゼンタチバナなど初夏に咲く花は終わっていて、日差しがあるところにアキノキリンソウなどがちらほらと見られ、季節の移り変わりが感じられた。 登山口から約50分で明神岳西南尾根乗越に到着。標識は「ポイント7」で、尾根に間違えて入り込まないようにロープが張られていた。明神岳主稜の計画があるので、このポイント7は意味にある標識に感じられた。そこから2分ほど進むと風穴があり、冷気に誘われ岩の上に腰を下ろしてクールダウン。 風穴を過ぎると岳沢の左岸ルートになる。徐々に勾配が増してきた、胸突き八丁が踏ん張りどころだ。一歩一歩ゆっくりと課目になって高度を上げていく。先週の剱は日差しは強かったが大汗をかくことはなかったが、標高2100mの岳沢までの登りは暑かった。 岳沢野営場 クールダウンのために小刻みに小休止を入れたので、予定より1時間オーバーしてしまったが、下見の時間は充分に残っていた。この時間はテント場利用者の入れ替わる時間で、いい箇所が何カ所か空いていたので、好位置にテントを設営できた。 コブ沢取付下見 さてゆっくりと休んでいるわけにもいかない。計画の段階で最初から気になっていたのは、コブ沢の取り付きの雪渓の状態だった。シュルンドの開き具合によっては、ここで大幅に時間をくってしまい、行程が消化できないことも考えられたからだ。ネット情報は少なかったが、唯一10日前の情報がヒットし、なんとが雪渓から岩壁に乗り移れているようだった。 小屋から天狗沢の登山道を少し進むとすぐに涸た沢を横切った。これがコブ沢で、この周辺は第1お花畑といわれていて花の多いところだ。シモツケソウ、ハクサンフウロ、シシウド、オオカサモチ、グンナイフウロ、ミヤマアキノキリンソウなどが咲き乱れていた。登路はコブ沢をそもまま詰めて行ってもいいが、少し先の花畑の真ん中にコブ沢の分岐矢印を標識があった。 コブ沢の雪渓の末端は薄くなっていて不用意に踏み込めなかったが、数十m上流に進むと雪渓がしっかりとしていて、ここからアイゼンを装着し雪渓歩きに切り替えた。というより、谷が急に深まっているので、雪渓を歩かざるを得なくなる。もう少し融雪が進みシュルンドが開いて雪渓が切れ始めると、取り付き迄にかなり難儀しそうだ。もし通過できても、労力と時間を大幅に消費してしまい、肝心のブ尾の登攀が難しくなってきそうだ。両岸のシュルンドを覗き込み、雪渓の厚さを確認しながら、アンザイレンで慎重に進んだ。 雪渓の先端 一般的なルートは、雪渓からは左岸の岩壁に取り付き、ルンゼに入るようになっている。雪渓の先端は大きくシュルンドが開いていて乗り移ることはできない。最先端の少し手前の左岸に小ルンゼがあるので、どうやらここからは取り付けそうだ。付近のシュルンドをこわごわ覗き込みながら厚さを確かめる。雪渓の淵は大きくえぐられていて、下が空洞になっている。少し下からの方が取り付きやすいが、ロープを出しての左岸岩壁の高巻きで大幅にロスタイムが発生しそうだ。しかしなんとか一カ所だけ、雪壁をクライムダウン出来るところがあった。アイゼンの前爪を蹴り込み、アイスハンマーを頼りにゆるりと降りると岩壁に移ることできた。落ちたら底まで数mはあるだろう。底の方から水の流れる音が聞こえているので、水に浸かってしまうと一気に体温が奪われる。考えただけで恐怖感を感じた。もう少し融雪が進むと難しくなりそうだ。どうやらこの岩壁を登る小ルンゼに入りそうだが、登ってしまうと懸垂で降りて来なければならいので、下見はここまでとした。 テント場に戻ると16時45分になっていた。明日の行程の中で最も懸念されていた雪渓からの取り付きに見通しが出来たのでひとまず安心だ。認できたので今日はしっかりと休んで明日に備えてたい。それほど寒くはないので、石に腰をかけ、山談義をしながらて夕食のひとときを楽しんだ。
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2013-8-11Copyright (C) 2013 k.kanamaru. All Rights Reserved. home |