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奥穂高岳南稜(北アルプス)2012年7月15日16日   ホーム

 

奥穂高岳南稜(北アルプス)2012年7月15日16日No.681 とっちゃん、うっちー、隊長、うさぎ
〜穂高のクラッシックバリエーションルートに挑戦〜
7月15日
上高地バスターミナル(10:15)〜河童橋(10:40)〜岳沢分岐(10:50)〜風穴(12:04)〜(14:00)岳沢野営場2170m(15:45)〜(16:10)南稜ルンゼ取付偵察(17:05)〜岳沢野営場(17:30)
7月16日
岳沢野営場(4:10)〜取付到着準備登攀開始(5:20)〜ルンゼ分岐(6:40)〜ルンゼ正面壁基部(7:40)〜岩峰取付(8:15)〜モノリス(10:55)〜トリコニー1峰(11:28)〜トリコニー2峰(11:37)〜(12:30)懸垂ポイント(13:00)〜南稜の頭3140m(13:42)〜紀美子平2919m(15:21)〜岳沢野営場(17:30)
7月17日 番外編
岳沢野営場(4:40)〜上高地バスターミナル(6:50)

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アタック開始 7月16日
 4時の出発に備え、3時に起きて準備を進めた。ルートの状況がわからないので装備はどうしても大がかりになってしまう。共通装備で50mシングルロープ2本、ヌンチャク7、カムはキャメロット(#0.5、#0.75、#1.0)、ハンマー、ハーケン5、スリング7、カラビナ6、捨てロープ7mmを準備し、未知のルートに備えた。
アプローチは岳沢を詰めていく。その岳沢雪渓はテントサイトまで伸びているので、準備が整い次第、アイゼンを装着してアタック開始となった。ザックの中は、50mダブルロープ1本、食料、水分(うさぎと二人で2.5リットル、晴天に慣れはひとり2リットルは必要だ)、雨具、防寒着、登攀具、クライミングシューズだけだが、アイゼンとピッケルと装備しているので少なくとも8キロは超えていただろう。


岳沢雪渓を登る


1カ所だけあった取り付き可能ポイント、雪渓の傾斜はきつい

取付 予定通りテント場から30分で取付きに到着した。右手の雪渓は滝沢谷で正面の柱状節理が顕著な岩壁には美しい大滝がある。正面が登攀予定の南稜のルンゼだ。雪渓は取り付き手前で傾斜を増しているので、慎重に右岸に乗り移りアイゼンを外した。下見を昨日しているので予定通り、シュルンドの下に潜り込み岩壁に際を移動し、岩壁に取り付いた。工程に要する予備の時間は3時間ほどみてあるが、ロープを出すにしろムーズな行動が求められる。2級程度の岩壁を下の滝まで登り登攀開始。

   
シュルンドの下を回り込み岩壁の開始点に立つ

   
下の滝の登攀開始            後続の確保

下の小滝 柱状節理の小滝はどこからでも取り付けそうだが、弱点と思われるところから登攀した。部分的に4級程度の岩壁だったのでフリーでリードし滝の上に登った。支点がなかったのでハーケンを打ちこみ支点をとった。ハンマーでたたくと、キン!キン!と気持ち良くハーケンが鳴き、がっちりときまった。今日は4人パーティーなのでロープシステムは隊長、とっちゃんとうさぎ、うっちーの1-2-1。私が終始、リードした。3人を確保し次の滝へ向かった。


上の滝の登攀

上の小滝 この滝は3〜4級程度の凹角を攻め、スタカットで登攀。ここも支点がないので、ハーケンで支点をとった。全員無事に通過。ロープ操作に手間取り、わずかな時間でも累積すると、大きな遅れになってくる。常に先を読んだ行動が求められる。ここもハーケンを回収しルンゼの登攀を続けた。


ルンゼの登攀

南稜ルンゼ この先は顕著な岩壁はないが、岩場の乗り越しや草付きの急斜面の登攀が連続するため安心が出来ない。浮き石に乗ったり、岩で滑ったりすると大きな滑落につながるので、コンテで登攀した。草付きの斜面はやはり、ピッケルが大いに役立った。ミヤマクロユリ、ハクサンイチゲ、コイワカガミ、シナノキンバイ、キバナコマノツメなど、夏を代表する花が咲きそろっていた。草付きの斜面でも浮き石が隠れているので要注意。とっちゃんが頭大の石を落とし、うっちーが俊敏に反応して回避。

   
ルンゼにて        ルンゼに咲くミヤマクロユリ

  
ルンゼに咲くシナノキンバイ           上高地

  
ルンゼ上部は分岐、左に進んだ


キバナコマノツメ


ルンゼの草付きに咲くシナノキンバイ


ルンゼ上部は傾斜が増してくる

正面の岩壁 中央のルンゼをそのまま進むと正面壁が見えてきた。水にぬれたスラブの上に2段の岩壁がある。スラブの基部にちょっとした平坦地があったのて小休止。さてここからはルートファインドが求められる。顕著は踏み跡はみつからない。正面壁の上と両サイドはハイマツ帯になっているので、このブッシュ帯をいかに回避するかが課題だ。ネットの情報もまちまちだったので、まずは、左から回り込み、正面壁の上段の基部を右にトラバースすることを試みた。しかし、尾根の左斜面はハイマツと岩壁に掴まりどうにもできなくなった。作戦変更を余儀なくされたので、今度は右手から攻めることにした。ここで時間のロス40分と偵察した私の体力が消耗した。ハイマツ帯の中にダケカンバが点在しているので、それを辿ることにした。うっすらとした踏み跡が見つかり、ハイマツ帯を縫って小谷があり、どうやらそれに沿ってダケカンバがあるようだ。まともにハイマツ帯に突入すると勝負にならない。小谷はハイマツに隠れているが、ハイマツをかき分け前進でき、岩峰取り付きに到着した。


正面の岩壁

  
休憩         正面の岩壁下のスラブ

  

岩峰取り付き 1ピッチ目 ネットで見た記憶のある岩壁でどうやらここが取付きらしい。残置ハーケンなどは見つからないが、上部のダケカンバに古いスリンクが残置されていた。部分的に4級程度のムーブがあるので、スタカットで登ることにした。ランナーにカムが使えそうだが、フリーで突破し上のダケカンバにスリンクを掛けランナーにした。次の岩壁でピッチを切り、ハイマツにスリンクを掛け支点をとった。うさぎととっちゃんを引き上げ、最後はうっちー。所がフェースで足が滑ったらしく、「あー」と叫んでロープにテンションがかかった。


1ピッチ目

2ピッチ目 次の岩壁も立ってはいるが、フェースには細かいが、スタンスやホールドがあり、クラックからリッジへ登るルートもいけそうだ。ランナーもクラックにカムでとれそうだ。クライミングシューズなら簡単そうだが、履き替えるのが面倒だ。ふと、滝沢谷側を覗き込むと弱点が見つかった。カムとスリングでランナーをとりながら側壁を移動し、クラックを足場に1段あがるとガバがとれた。正面の岩壁のクラックにカムで支点をとり、後続を確保した。うさぎととっちゃんは少し戸惑ったが難なくクリア。しかしまたしても、うっちーがテンション。今度は腕がパンプしたようで、登れなくなった。80キロ近い体重がるので、そのままでは引き上げられない。3分の1システムで万力を作り引き上げた。


2ピッチ目

  
2ピッチ目終了点           3ピッチ目

3ピッチ目 ここからは簡単で2、3級程度のフェースで、頭には石柱が出ている。その石柱でピッチを切った。全員が簡単にクリアした。


3ピッチ目の登攀


3ピッチ目終了点

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最初の岩峰を過ぎると草付きの斜面に入る、この先がトリコニーT峰

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