■穂高連峰(北アルプス)2009年8月15,16日 No.502 隊長 | 15日の1 | 15日の2 | 16日の1 | 16日の2 | 紀美子平 紀美子平には10時半に到着した。コースタイムは2時間15分で、まずまずのタイムだった。今期4度目のアルプス山行となり、体も高所に順応したようで、自分のペースで登ることができたように思う。紀美子平はちょっとしたテラス状の広場になっており、たくさんの登山者が集っていた。少しお腹がすいてきたので岩に腰を下ろしてパンをかじり、ガスの切れ間から眺望を楽しんだ。さてここにザックをデポし、前穂を往復することにした。標高差は約150mほどで、1時間もあれば十分に山頂を往復できる。今日は出だしから雲ひとつない天気に喜んでいたが、ここにきてガスが出始め、眺望が得られなくなったのは残念だった。 前穂高岳 山頂に上がるとガスの中だったが、ガスの切れ間から少しだけ眺望が得られた。前回来たときは確か眺望はよかったように記憶している。その時は今日とは逆コースだった。このコース、奥穂方面から岳沢へ降りる登山者が大多数のようで、先ほど紀美子平で集っていた多くの登山者はすでに山頂から降りてきた人たちだったようだ。山頂は閑散としていた。ガスが出れば山頂には長居は無用ということだろう。しかし今日はまだ時間にゆとりがあるので、ガスの切れる撮影チャンスを待った。ガスの中から前穂北尾根の2,3峰が浮かび上がってきた。クライマーが岩に張り付いていた。眼下に目をやると、白い筋を引く梓川がくっきりと見えている。また茶臼の頭の左に奥又白池が確認できた。あの辺りは、「氷壁」の舞台となった前穂東壁のベースとなった所であることを思い出した。小説の登場人物の「小坂」が、ナイロンザイルが切れ遭難したのがこの前穂東壁だ。いずれにしろ山頂からの眺望は大変よく、かつ高度感も抜群に良いところだ。ガスがなければもう少し居たいが、すぐにガスに包まれ白濁の世界になってしまった。
吊尾根 紀美子平に戻ると、先ほどの大勢の登山者は立ち去った後だった。一息入れてから紀美子平を後にした。ここから奥穂までの稜線は「吊尾根」と呼ばれ、たぶん地形の様子を見てつけられた呼び名だろう。先ほどの重太郎新道の登りに比べると、傾斜は緩やかなのでゆとりを持って歩ける。岩稜のため、その生育環境を好む植物である、ミヤマトウキ、オンタデ、イワツメクサ、ウサギギク、チシマギキョウ、イワギキョウ、ヨツバシオガマなどが目を楽しませてくれた。またこの吊尾根だが、紀美子平から奥穂へ向かう場合、標高差にして300mの登りになる。18キロの装備を担ぎ、標高差1600mを登ってきた足腰には疲労が溜まっており、傾斜は緩やかだがつらい登となった。なお、岩稜のために岩礫等に足を取られてはいけない。 吊尾根の鞍部あたりでは涸沢が俯瞰でき、白い岩礫と雪渓が織りなす景観は特徴的で実に美しい。登路は稜線の西側につけられていて、高度を上げていくと左手に、ジャンダルムやロバの耳のある馬の背尾根が迫ってくる。しかりと目印を確認していかないと、少しでもルートを外れると、滑りやすい砂礫、岩礫地帯に入ってしまい危険だ。やがて奥穂高岳の山頂に祭られている祠が見えてくる。 奥穂高岳 奥穂高岳は、高連峰の主峰であり、標高3,190mある。富士山3776m・北岳3192mに次いで日本で3番目の高峰だ。山頂付近は先ほどの北穂に比べると、岩峰であるが居場所も多く穏やかだ。山頂には嶺宮の祠と石盤がある。穂高町に本宮穂高神社が、上高地の明神池に奥宮があるようだ。岩に腰を下ろし休んでいると、馬の背の方から何人かの登山者がやってきた。皆一様に緊張感を解放し、無事にたどり着けたという安堵感を漂わせていた。 野営場 受付の前にテント設営場所があるかどうか探しに行く。かろうじてひと張り設置できる場所があったので、とりあえずそこをキープした。その後、穂高岳山荘のテント受付へ行き、手続きを済ませる。料金はトイレ料を入れて600円。ついでに缶ビールと水(150円/リットル)を買って野営場に戻りテントを設置する。残っていた場所は段々畑のような所で、ぎりぎりのスペースしかなかった。その後何人かのテント泊登山者がやってきてた。明らかにオーバーしているが、ヘリポートやら小屋前のテラスやらトイレ前のスペースやらを有効に使っていた。窮屈な思いをするよりもむしろ、そちらの方が良かったのではないだろうか。しかし、ヘリポートへの設営は問題があるのでは。 穂高岳山荘 テラスは登山者で溢れ、大変賑わっていた。 苦労してここまで登り、または険しい岩峰を縦走中の者にとっては砂漠の中のオアシスのようで、安堵感と喜びでうれしくなるのはよくわかる。しかし単独者にとっては、この雰囲気になじむには少し時間がかかった。テラスの縁に座り缶ビールを飲む。涸沢が俯瞰でき、夕日でも見られると最高だが、生憎のガスで何も見えない。足下を見ると雀ほどの大きさのイワヒバリが一羽、石畳の上で羽を休めていた。近づいても逃げようとしない。まだ子供なのかそれとも、疲れ切って休んでいるのだろうか。少しアルコールが入ったのと、睡眠不足と眠くなってきたのでテントへ戻り横になることにした。 |
2009年8月17日 Copyright (C) 2009 k.kanamaru. All Rights Reserved. home |