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捜索に携わって

 Nさんが遭難してから3週間、山岳会を中心に有志の方も多く参加し、捜索が行われているが、依然として発見に至っていない。
 Nさんの経験値や数少ない情報から推測し、可能性の高い所から捜索が行われたのはいうまでもない。しかし、手掛かりすら得られない現実があり、きびしい状況が続いている。
 Nさん、あなたは一体どこにいるのだ。捜索に4回参加したが、見つけてあげることが出来なかった。御池岳を我が庭のように歩き回ってきたので多少の自信はあるつもりでいた。しかし、見つけてあげられないことができない。今まで積み上げてきたキャリアもプライドもズタズタだ。些細な情報でいいから、居場所につながるヒントをもらえないか。
 テント泊の単独冬山登山。十分な装備と心構えで、美しいが厳しい自然に挑む。期待と不安が入り交り、冒険心がうずいたことだろう。管理された指定地での野営でも最初は、いろいろと考え不安になるものだ。冬山の単独テント泊はそれほどたやすくはない。天候判断、設営場所などすべてが自己責任だ。その分、やり遂げた後の達成感は大きい。
 Nさん、あなたはそれを知り始めたところだった。しかし、登山歴3年ではちょっとハードルが高かったのかもしれない。朝から冬型が強まり視界不良となった。かじかんだ手でテントを撤収しパッキング。今から下山するとメールし下山開始。しかし、想定外のアクシデントに遭遇してしまったのだろう。道迷いなら、冬山装備で凌げたはずだ。きっと、突然のアクシデントに対応できなかったのだろう。