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■錫杖岳前衛壁(北ア)
〜1ルンゼの登攀〜

レポート No.898
日時:2015年7月12
参加者:たくさん、ほんまさん、隊長、うさぎ

駐車場(5:10)〜クリア沢(6:12)〜錫杖沢出合(7:08)〜取付〜1ピッチ目(8:20)〜2ピッチ目(9:50)〜3ピッチ目(10:20)〜4ピッチ目(11:06)〜5ピッチ目(12:10)〜6ピッチ目(13:05)〜(14:00)終了点(14:10)〜(14:15)懸垂下降(16:20)〜錫杖沢出合(17:00)〜登山口(18:10)


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プロローグ 夏らしい天気になってきた。昨日は御在所で暑さにやられ今回の遠征が危ぶまれたが何とか身体を調整し奥飛騨温泉郷に入った。今回は懸案だった錫杖岳前衛壁1ルンゼ。前回の「注文の多い料理店」登攀後、次回は1ルンゼと決めて山を下りた。今回はルートに熟知しているたくさんがいるので心強い。

1ピッチ目 5.9 45mホールドはあるが、プロテクションがとれない。
2ピッチ目 5.8 40m 一旦ルンゼに入るが、左のクラックを登り広いテラスへ
3ピッチ目 W 40m グレードが低く、気が休まるピッチ
4ピッチ目 5.9 40m A1 人工行くかフリーで行くか選択できる。人工で言っても出口は5.9クラス
5ピッチ目 5.8 30m 恐竜の背中を登り、トラバースから凹角
6ピッチ目  5.9 30m 唯一残置があるフェースで、安心してダイナミックにいける

*終了点はすべてハンガー2枚で整備されているので安心だ。

アプローチ たくさんたちは小川山からこちらに足を伸ばしてもらった。昨日は御在所から下りた後に仕事があり、鈴鹿が21時の出発となり、奥飛騨温泉郷に1時に到着して仮眠をとり、5時の出発に備えた。いつもそうだが、大きなルートをやるときに限ってハードなスケジュールになってしまう。休日は休めば過密は解消されるが、そうならないのが山屋なのだ。3時間半はしっかりと休めたが、睡眠不足は否めない。

     
無料駐車場                 蒲田川

初めてのルートのリードなので不安や緊張があるが、それ以前にやりきるだけの体力があるかが不安。昨日は藤内壁の中尾根バットレスを5ピッチやっただけだが、暑さで身体が消耗している。ここの前衛壁は取付までが3時間の行程。鳥付きまでにばてたのでは話にならない。少し遅れながらでも、体力を温存しながら歩くことにした。話は変わるが今日は、TJさんたちが左方カンテをやるようだ。姿が見えなかったので我々よりも早く出発したようだ。

    

クリア谷までの1時間でひと汗かいたがやはり身体がだるいい。小休止しながら軽く朝食をとった。錫杖沢出合までここから1時間。なかなか調子が上がらないので、たくさんの指示でほんまさんにロープを持ってもらう。3キロ軽くなるとずいぶん楽だ。ありがたい。谷が浅くなると錫杖沢出合に到着。前衛壁の岩壁が朝日をうけてくっきりと見えている。


錫杖岳前衛壁


1ルンゼ

    
錫杖沢出合          出合から見える前衛壁

錫杖沢出合までで2時間、ここからが1時間のバリエーションになる。いつものルートで登ろうとすると、直登があるらしく、たくさんの後に続いた。1ルンゼから直接降りてくる小谷で、確かに少し早いと感じた。但しあまり歩かれていないようだ。取り付きに付くとニッコウキスゲが出迎えてくれた。


取り付きに咲くニッコウキスゲ

1ルンゼ1ピッチ目 5.9 45m さてこの1ルンゼだが、チャレンジ・アルパイン・クライミングでは、「錫杖岳前衛壁の初登ルート、極めた快適」と紹介されている。但し現在はトポ通りではなくなっていて、一部を除いて残置は撤去(2012年)され、ルートも変わったようだ。ルンゼと言ってもほとんどは明るくすっきりとしたフェイスとカンテになっている。今回は全ピッチ私がリードすることになった。

      
1ルンゼ取付

1ピッチ目はグレードこそ5.9だが、ルート取りによってそれ以上になることもある。登攀よりもプロテクション探しに神経を使った。カム1セットとマイクロカムやナッツを準備したが使えるところがない、もちろん残置はない。ランナウトで心理戦を強いられるピッチ。しかも長いピッチなので、ロープの流れには気を遣ったがロープが思い。核心にはクラックがあるのでカムが使えた。

    
とにかくプロテクションがない

      


プロテクションが乏しいのでロープが屈曲

      

    

順調にロープを延ばし、最後の7mの核心で弾切れ。あと1個、カムが足りない。出口のハンドジャムが決まればいけたが、若干狭くて決まらない。もしここで落ちるとテラスにフォールしてしまう。他にルートを探したがどうやらここしかなさそうだ。無理をせずにここでピッチを切ることにした。決めてある#2と残ったマイクロカム2個を使い支点を作った。

  
急遽、カムで支点を作る

少し時間を食ってしまったが仕方がない。2回目ならカムの使い方を計画できるので1セットでもいいが、初見のルートでしかも45mと長いので2セット必要だ。出口に#1を決めたら、すんなりと登れた。精神的な弱さを痛感。でも管理できるリスクは管理した方がいいと思う。

    


1ピッチ目、終了点手前の核心

    
岩壁にウチョウランやエゾムラサキなどの花が咲いていた

    

プロテクションの問題はさておいて、登攀に関しては、実に快適なピッチだった。ただし、プロテクションを探して右に左に動いたのでロープが屈曲し重くてリードが大変だった。

2ピッチ目 5.8 40m 簡単そうに見えたが、どこかにスパイスがきかせてある。ルンゼに沿って進み途中から左の垂壁のクラックを登る。残置がほとんどないのでルートに迷ったが、クラックを登って正解だった。クラックはカムでプロテクションがとれるので安心できる。このピッチも40mロープが出たので重かった。

       
2ピッチ目のビレイポイント

     
最初はルンゼに沿って登る

      
ルンゼから左の垂壁のクラックへ

          

    
クラックの上にシモツケソウが咲いていた

3ピッチ目  W 40m ここは少し易しいピッチだがルートどりによる。ここも40mと長い。ルンゼの左のフェースからカンテに移る快適なピッチだった。まずはプロテクション、次にロープの屈曲、最後が登攀と自分なりにプライオリティを決めて登った。ここもプロテクションはすべてカム。#1以下を多用。登攀の順位が低いのでW以上に感じたところもあった。

    
3ピッチ目、ルンゼの左のフェイスからカンテラインへ

      

     
3ピッチ目のテラスにて

       

         
易しいルートだと思ったが、このピッチもちょっぴりスパイスがきいていた


穂高連邦がよく見えていた、白出沢の雪渓の状態がよくわかる

     


ピッチを切ったところで、4ピッチ目の岩塔が見えてきた

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2015-7-12 Copyright (C) 2015 k.kanamaru. All Rights Reserved.  home