最新情報  レポート  登山  バリエーション  ブログ  プロフィール

■甲斐駒ケ岳奧壁(南ア)
〜赤石沢ダイアモンドAフランケ赤蜘蛛ルートの登攀〜

レポート No.901
日時:2015年7月31日8月1日2日
参加者:たくさん、隊長、うさぎ

7月31日 たくさん(芦安:山梨)、我々(仙流荘:長野 6:00のバス)〜(6:55)北沢峠(7:35)〜双児山(9:55)〜駒津峰(11:22)〜甲斐駒ケ岳(14:00)〜黒戸尾根8合目岩小屋泊(15:15) 七丈小屋(16:10)へ水汲み(17:25)
8月1日 登攀日 岩小屋(5:15)〜(7:05)取り付き(7:05)〜1ピッチ目(ビレイ時刻8:10)〜2ピッチ目(ビレイ時刻8:50)〜3ピッチ目(ビレイ時刻9:45)〜4ピッチ目(ビレイ時刻11:00)〜5ピッチ目(ビレイ時刻12:05)〜6ピッチ目(ビレイ時刻13:50)〜7ピッチ目(ビレイ時刻15:20)〜8ピッチ目(ビレイ時刻16:30〜9ピッチ目(ビレイ時刻17:00)〜10ピッチ目終了点の岩小屋(ビレイ時刻17:35)〜8合目岩小屋(19:05) 【行動時間14時間 登攀時間11時間】
8月2日 8合目岩小屋「(6:20)〜(7:50)甲斐駒ケ岳(8:25)〜摩利支天(9:05)〜(10:30)駒津峰(10:55)〜仙水峠(12:00)〜長衛小屋(13:19)〜北沢峠(13:40)〜仙流荘で入浴(14:40)〜伊那でラーメン〜自宅(19:30)


| 7/31 | 8/1-1 |  8/1-2 |  8/2-1 | 8/2-2 |

6ピッチ目 「40mA1ボルトラダー」(ビレイ13:50) さて核心ピッチが始まる。フェイスのボルトラダーからフィンガーサイズのクラックに沿っての人工登攀。このクラックの右にはスーパークラックが走りフリーで5.11cらしい。平山ユージさんが2003年にオンサイトしたとか。われわれはもちろん人工。

出だしのフェイスはボルトラダーだが、その先のクラックに入ると、支点が多く欠損していた。カムやナッツが効果的だが、問題は数が足りないこと。キャメロットでいうと、#1,#0.75、#0.5が決まるサイズ。2セット持っているが足りるかどうか不安になった。使えるところはナッツを優先して使った。ちぎれたリングボルトや抜け欠けているハーケンにタイオフしながら、カムのたま数を節約する。この頃にガスが出てきて、この先れだけ欠損しているのかわからない。カムの使い回しをすると後続が困るので、とにかく行けるところまで行くことにした。残り数メートルのところで使えるカムがなくなったが幸いにもボルトラダーが復活して助かった。長いルートだし、ギアをフル活用するピッチで厳しかった。

     

      

   

      

右上に支点が見えてきた。ハンギングビレイだ。RCボルトの頭とわずかなフレイクがスタンス。この姿勢での1時間のビレイは辛かった。

   

   

   
右:次のピッチを見上げる、右のカンテを向こう側に回り込む

     
ビレイの途中で食事、ソイジョイ1本と水だけ

   

   

7ピッチ目 「40mWA1カンテを右に越えボルトラダー」(ビレイ15:20) 7ピッチ目も核心が続く。フェイスをボルトダラーで登り、恐竜カンテを右に回り込む。ボルトの欠損はなかったが、タイオスで凌いでいるところがあった。終了点は安定したテラスで、先ほどのハンギングと比べると天国のようなテラスだった。ここまでくると終わりに近づいた雰囲気がある。

      

      

      
左:恐竜カンテ、これを向こう側に乗り越す  右:快適なテラスでビレイ

     
時々ガスがかかるが、涼しくてありがたい

      

   

   

     

8ピッチ目 「50mWA1岩の段のスラブ状フェイスからブッシュ」(ビレイ16:30) 岩場とブッシュが混在するピッチ。岩場はフリーでは侮れない。フリーで登り始めたが、力がなくなってきているので、途中で人工に切り替えた。適当なところの立木でビレイをとった。時計を見るとすでに16時30分を過ぎていた。

   
立木でビレイ

   

9ピッチ目 「ブッシュ帯の登攀40m」(ビレイ17:00) ここからブッシュの登りになるが、所々に岩場があるので気が抜けない。ルートも判然としないが、ここはこれまでに培ったバリエーションの動物的臭覚でリードした

     

10ピッチ目 「ブッシュ帯を登攀しダイヤモンドフランケの頭の岩小屋へ40m」(ビレイ17:35) 今どこにいるのかわからないが、ここしかないだろうと思われるルートで登って行くと岩屋にぶつかった。登攀終了。時計を見ると18時になろうとしていた。

     
岩小屋でビレイ    いつもの完登の握手

登攀が終わりいつもの握手をすると、なんともいえない安堵感が漂い力が緩んでいくのがわかった。厳しく長いルートだけに、リスクも大きく、不安も多かったが、気持ちを飲まれることはなく、無事にやり遂げることができた。登攀に集中できたのは、全行程を管理してくれたたくさんのおかげである。この場を借りて改めて感謝したい。

   
ギアの整理

さて登攀は終わったが、また、ねぐらにしている8合目の岩小屋までの登り返しがある。ここまでに13時間行動を強いられたのでかなり体力も消耗している。1時間の登り返しはきつかった。

岩小屋には何とかヘッデンを点灯せずに帰ることができた。昨夜と同じようなメニューで夕食を食べているとにわか雨が降り出したがすぐに止んだ。広場まで出てみると、西の方で雷が光っていた。花火の様だった。東を見ると満月が登ってきて甲府の町の明かりが見えていた。やがて雷鳴が止み静かな夜が訪れた。

   
雷                  甲府の町と満月


| 7/31 | 8/1-1 |  8/1-2 |  8/2-1 | 8/2-2 |

現在の閲覧数 

2015-8-3 Copyright (C) 2015 k.kanamaru. All Rights Reserved.  home