■甲斐駒ケ岳奧壁(南ア) |
レポート No.901 |
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7月31日 たくさん(芦安:山梨)、我々(仙流荘:長野 6:00のバス)〜(6:55)北沢峠(7:35)〜双児山(9:55)〜駒津峰(11:22)〜甲斐駒ケ岳(14:00)〜黒戸尾根8合目岩小屋泊(15:15) 七丈小屋(16:10)へ水汲み(17:25) |
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登攀アプローチ 4時過ぎには自然と目が覚めるだろうと高をくくっていたら、目が覚めて時計を見ると、なんと5時前になっていた。朝寝坊してしまった。夜半過ぎから虫の攻撃もなくなり、ぐっすりと寝込んでしまったようだ。これ以上遅くなりとヘッデン帰還になってしまうので、それだけは避けたい。慌てて準備して5時15分にスタートした。 8合目岩小屋出発 ちょっと朝寝坊して主発が5時15分になった。我々の実力からすると日没までのぎりぎりの時間であったことが後でわかった。岩小屋から踏み跡を頼りに下降していく。ダイヤモンドの頭の岩小屋(赤蜘蛛ルートの終了点)まで下り、その手前で七丈沢に沿って下っていく。この間にも岩場がいくつかありフィックスロープが張られている。泊まれそうな岩屋もあった。 段差にはフィックスロープがあるが、それでもやばそうな所は懸垂用のフィックスがあったので2回ほど懸垂下降した。最後は尾根を回り込んで草付斜面に出た。メタカラコウが群生していた。他にはシモツケソウやタカネビランジが花を咲かせていた。さて、取り付きはもう一段下のようだが、草が茂って踏み跡がハッキリしない。フィックスロープを見つけルートがわかった。これを下りると赤蜘蛛ルートの取り付ポイントがあった。 夏場なので草が茂り、踏み跡を見失ったりしたので、下降に1時間50分を要した。取り付きからは岩壁の全容は見えないが、被さってくるような岩壁に威圧感を感じる。南面だがルートは日陰になっているようで助かる。直射日光の照りつけられると、水の消費量も多くなり体力も消耗する。登攀では少しでも重量を軽くしたいので水は1リットルしか準備していなかった。岩場を登りきるのに10時以上はかかるのでこの2本でやりくりする必要がある。 さて、ギア類だが、ヌンチャク20本+カムは#3まで1セット+中間カムを1セット+ナッツ+アブミ+スリング類7本+捨てロープ6m+ザック(水1リットル、カメラ、雨具、行動食、靴はたくさんいもってもらった)。ギアを身につけザックを担ぐとずっしりと重い。これで2本のロープを引っ張る。重労働だ。身体は重いが気持はすでに戦闘モードになっていて軽く、先ほどまで感じていた心配や不安消え去った。よしいくぞ。300mの垂直の岩壁に挑む。 1ピッチ目 「25mA1 50cmのハングから垂壁」(登坂開始7:30 ビレイ8:10) 1ピッチ目は垂壁の人工登攀でいきなり出だしが核心。トポ通り50cmのハングになっている。2本目ハーケンが遠い。3段目にA3で立ち上がったが届かない。アブミ2段目で巻き込みで立ち上がるのが正解のようだが、バランスが悪くて怖い。石が積まれていてそれに載ったら届いた。いきなりちょんぼ。 離陸が成功するとあとは単調なアブミの掛け替えだ。ただしボルト間隔が遠く、アブミの一番上に僅かなホールドを頼りに立つこともあった。これは怖い。バランスを崩すと真っ逆さまに落ちることになる。 登攀の順番は、私がリードし、うさぎがセカンドで、最後にたくさんがギアを回収しながら登る。ギアの回収も大変で、リードは登るにつれ徐々に軽くなるが、回収は徐々に重くなっていく。
2ピッチ目 「40mX コーナークラック」(ビレイ8:50)ジェードルのフリークライミング。出だしは、左のフェイスのフレイクでスタート .快適に離陸できる。すると長大なジェードルが見えてくる。フィンガーからハンドサイズのクラックが伸びていてフリーで登れるが、フットジャムの足が痛くてたまらないし、長いのでレストを入れないと息が切れた。テーピングもジャミンググローブもしなかったので手が痛かった。「グローブをはめて」とフォローに指示した。途中のわずかなギャップでピッチを切る。
3ピッチ目 「35mW A1 コーナークラックから左のフィンガークラック」(ビレイ9:45)ジェードルが続くがクラックに泥が詰まってきたところで左のフェースに移りボルトラダー。V字ハングの手前でピッチを切る。 4ピッチ目 「30mXA1 V字ハングから 大テラスへ」(ビレイ11:00)ハングに行く手を阻まれるが、人工で左から回り込み乗り越してフェイスを右上し、最後に垂壁を乗り越える。ハングはボルト間隔が狭いので楽だった。その後は階段状のフェイスをフリーで登って大テラスの立木でピッチを切る。ここまでが前半で、この大テラスで大休止。 大テラスにて 大テラスで前半戦終了。時計を見ると12時を過ぎていた。あっという間の4時間だった。行動食をお腹に入れエネルギー充填。休憩して後半戦に備えた。これから核心ピッチへと入って行く。 5ピッチ目 「40mX 被った凹角からテラスを経て、凹角からカンテ状」(ビレイ12:05) 凹角から始まるがブッシュで隠れている。出だしはうっとうしいがすぐにカンテを越えてフェイスを移ると正面に核心部のフェイスが見えてきた。支点は2本のリングボルトにハンガーが一個、打ち足されていた。重要なピッチが始まるからだろうか。
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