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■船石&烏帽子岩(熊野)
〜舟石でクライミング、烏帽子岩で展望を楽しむ〜

レポート No.768
日時:2013年11月30日
参加者:sskさん、隊長、うさぎ

鈴鹿(6:30)〜船石バス停(9:00)〜船石第3スラブ(9:40)〜船石第1スラブ中央ダイレクト1ピッチ目(10:15)〜2ピッチ目(11:06)〜3ピッチ目(11:46)〜4ピッチ目(12:16)〜終了点(12:30)〜(12:55)烏帽子岩(13:25)〜船石バス停(14:12)〜JAで買い物〜楯ケ崎下見(15:30)〜おととで買い物〜鈴鹿(18:30)


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プロローグ 2年前にトライした時は、第3スラブを1本、肝心の第1スラブは2ピッチまでと中途半端に終わっていた。それ以後機会がなく、今回やっとリベンジできることになった。船石は国道42号線佐田坂の尾地山橋付近から見える岩場で、海からもよく見えて、船の航行の目印となったことから、「船石」とよばれるようになったとか。地質的には、尾鷲から熊野にかけては花崗斑岩で、マグマが地下で固まって隆起し地上にあらわれたものだ。御在所は花崗岩で結晶が大きいが、こちらは細かい。話がそれたが、要するにフリクションはいい方だ。以前に「岳人」で紹介されたことがある岩場だが、都市部からのアプローチが遠いので訪れるクライマーは少ない。ネットで検索しても詳しいレポートは少ない。なぜここがやりたいかというと、3年前に3年間、熊野に住んでいたからで、通勤途上にいつもこの岩を見上げていたので思い入れがある。

アプローチ  鈴鹿から熊野は遠い。6時半にsskさんに寄ってもらい鈴鹿を出発した。しかし紀勢自動車道部分開通で少しは楽になった。快調に車を走らせ9時に登山口となる船石バス停に到着した。バス停の前の駐車場は工事中だったので路肩のスペースに車を入れた。


国道42号線佐田坂から見上げる船石

船石バス停 ここの駐車場は三重県の山でも紹介したが、大蛇峰・烏帽子岩への登山口でもある。位置的に船石は、烏帽子岩のちょうど下辺りにある。車を降りるとひんやりと空気は冷たかったが、気日差しが暖かく、岩場で手がかじかむことはなさそうだ。船石は一枚岩なので、ハーケンを打つリスもない、カムをセットするクラックもない、おまけにピンも少ないので、ギア類はいたってシンプルだ。ダブルロープとヌンチャクは二人で十数本、お助けのアブミくらいかな。もちろん基本装備は必要だが。あまりにも少ないので、安心を得るために、カムを二人で数個、リングボルト、ハンマー、ジャンピングを追加した。今回は烏帽子岩まで抜けたいので、装備を全部背負っての登攀となるため、あまり重くしたくなかったが。しかし俺たちはアルパインクライマー、荷物を背負って登る癖がある。


船石バス停駐車場から登山口へ

さてルートだが、船石バス停から200m下ったところの「尾地山橋」のたもとに大蛇峰の登山口がある。工事中のために現在、仮説の階段が設置されていた。薄暗い植林を少し歩くと、分岐があるが目印がなくなっていた。ここで登山道を別れ、右手に谷が見えるのでそこを渡る。目印テープがある。以前はバリエーションだったが、今は踏み跡がしっかりとしている。谷の真ん中に大きな石がころがり行く手を阻んでいるのでここで右の尾根に這い上がる。ここも目印があるので大丈夫だろう。そのまま尾根を詰めて行く自然と第3スラブに到着する。ルートは前回のレポートで紹介した。

   
谷に巨石が転がる、ここを右へ       第3スラブ

第1スラブ中央ダイレクト 尾根を詰めて最初にぶつかる壁は第3スラブだ。前回トップロープで練習したところだ。さて、船石は、100mの第1スラブ、50mのだい2,3スラブからなっている。岳人の記事によるとグレードは、「5.10bを越えない」となっている。第3スラブにはいくつかルートがあるようだ。少しここでやってもいいが、前回はここで手間取り第1スラブを抜けることができなかったので今回は、最初から第1スラブをやることことにした。

1ピッチ目 第1スラブは上に行くほど傾斜が落ちてくる。ということは、出だしが核心ということだ。おそらく5.10bで、しかも苔がついている。乾いてはいるが、白いはずの岩も地衣類が付着して黒っぽくなっている。sskさんリードで登攀開始。まずはフリーでチャレンジするが、苔ティッシュなフェースに苦戦し途中から人工に切り替えた。古いリンブボルトが人工用に設置されている。日陰から出るまでが地衣類の付着でフリクションが悪い。4ピンくらいをアブミで登攀し以後、フリーに切り替えた。日陰を出ると右にトラバースし1ピッチ目の終了点。ハンガーが3個設置され安心できる。ロープは25m位で出たかな。

     
左:古びた残置ロープでテラスまで上がる  右:1ピッチ目登攀開始

     
1ピッチ目のsskさん。日陰を出ると見えなくなる

人工の場合、ボルトの間隔は普通の大人用になっている。ということはうさぎには間隔が遠すぎるため、アブミの最上段に立ち込まなければ、次のピンに届かない。これは勇気がいることで、バランスを崩すと逆さまになってしまう。これをさけるため、面倒で時間はかかるが、アブミを2本掛け、2本の足で立ち込むことにしている。やはり時間がかかるので、特殊な道具を開発することにしよう。

     
うさぎの1ピッチ目

2ピッチ目 日陰を出ると雰囲気が一変する。熊野灘を背にして空に向かってのクライミングは痛快だ。日本離れしたこのロケーションは、他ではなかなか味わえない。御在所の中尾根バットレスに、カリフォルニアドリームというルートがあるが、こちらは熊野のカリフォルニアドリームだ。

    
2ピッチ目

壁の状態 船石のスラブの状態だが、所々にゴルフボールから野球ボールくらいの大きさの、あまり深くはないが、窪みや出っ張りがある。これが手がかり足がかりになり、小さくても頼もしい。フリクションは花崗岩に比べると良いと思うが、表面が風化でざらついているところがあるので、慎重に乗せたい。壁の状態が何とかなるレベルだが問題は、ピンの間隔で、おそらく6m以上の間隔でハンガーが設置されている。ということはフォールすると最悪の場合、12m以上落ちることになる。セカンドはいいがリードは慎重にならざるを得ない。2年前にリードしたときは喉がからからになったことが思い出された。

    
2ピッチ目のsskさんの登攀          1ピッチ目の終了点

さて2ピッチ目は直上する。6m先のピンまで何もない。ピンの横にこのルート中、唯一のフレークがあるが、このフレークは手でたたくとボコボコと音がする。つまりいつ剥がれてもおかしくない状態だと思う。しかし背に腹はかえられず、ちょっとした膨らみほどのホールドがあるので、左足を使った。

   
2ピッチ目1ピン目の横のフレーク、ここが核心    バンドまで上がり右へトラバース

フレークを過ぎさらに6m上がり2ピン目を取ると安心できる。前回私はトラバースで直接終了点を目指したが今回sskさんは直上してから、膨らみがある程度のバンドをトラバースした。これも正解だろう。

   

3ピッチ目  傾斜が若干緩んできたように思うが,相変わらずピンの間隔が長く,1ピンまでが遠い。ホールドにする凹凸が少し増えてくるが,逆に表面のザラつきが気になる。細かなところを見て立ちこんでいく。2ピン目をとると安心できる。ピッチを切ると気持ちにゆとりが出来,キラキラ輝く熊野灘と七里御浜の絶景を楽しめた。

      
3ピッチ目の開始点

    
輝く熊野灘

     
3ピッチ目の登攀            レッジにて

   
3ピッチ目の登攀


ロープが伸びて見えなくなった


うさぎの登攀

   
3ピッチ目、少し傾斜が落ち、撮影するゆとりが


少し傾斜が落ち、撮影するゆとりが

   
3ピッチ目の終了テント展望


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