2011年8月13日〜15日 八ツ峰@剱岳(北アルプス) ホーム |
■八ツ峰@剱岳(北アルプス)8月13日〜15日 No.620 utty、とっちゃん、隊長、うさぎ | 13日 | 14日の1 | 14日の2 | 14日の3 | 15日 | 7峰には顕著なピークはなく、リッジ状の狭い岩稜をアップダウンしながら進んでいく。時間がかかるがこれもクライミングの楽しみのひとつだ。先行者が懸垂待ちをしている間が小休止の時間であり、食事の時間でもある。気温はそれほど高くはないが、日射しが強く緊張を強いられる行動がつづいているので、体が水分を欲している。私は自分用に3リットルの水分を準備してきた。14時間行動を考えた計画的な給水が大切だ。 結局すべての水分を使い切ることになった。 7峰の懸垂 ここまで来ると長次郎谷右股の雪渓の状態が手に取るように確認できる。天候やルート状況によりこのから降りることも考えられるので、つぶさに観察しておいた。さて7峰の下りも懸垂下降だ。ルートガイドには30mの懸垂とあるが,先行パーティの様子を見ていると50mロープでここもぎりぎりまにあいそうだ。ここも問題なく全員が懸垂を終え,狭いコルに降り立つ。 ここでもとっちゃんがロープをさばきながら先陣を切って懸垂し、uttyとうさぎが続く。クライミングで最も気を配らなければならないのが懸垂で、失敗は命に直結している。私がATCのセットを確認しテンションがかかった所でセルフビレイ解除OK。
8峰の登攀 さてここからが八ツ峰のハイライトとなる8峰の登攀だ。コルから三の窓側に岩棚を移動してから凹角に沿って登攀する。傾斜が強く,確保した方がいいだろうが,ルートを見上げてみると,スタンスやホールドが豊富なようなので,確保なしで登ることにした。 2級くらいの登攀だが、途中に一部はスタンスに迷う所があり、しっかりとしたハーケンが2つ打たれていた。確保で登る場合、ここをプロテクションにできる。
凹角からリッジへ 傾斜の強い凹角を登り切るとリッジ状の登攀となり、高度感があって快適だ。三の窓側のチンネにはたくさんクライマーが張り付いていた。一度は登ってみたいところだ。 8峰にたどり着くと後は、縦走の最後のピークである八ツ峰の頭を残すのみだ。先行パーティーが懸垂の準備に取りかかっているので、様子を見に行く。ここは2段の懸垂だが50mロープ一本で可能だ。距離はそれほどでもないが、一旦、1段目でコルに降りて、岩の上に登り返し、そこから二段目の懸垂がある。2回に分けた方がいいと先発パーティーが言っていたが、その通りであることが後でわかった。途中で傾斜が変わり、方向が変わる懸垂は、やはりむずかしい。 何よりロープの回収で岩の溝にはいるので、かなりの力で引かないと回収できなかった。
八ツ峰の頭への登攀 さてここから八ツ峰の頭への登りにかかるが、ガリーに取り付く前に、30センチほどの岩棚を3メートルほど移動する必要がある。もちろん墜落は許されない。スタンスはしっかりとしているが、ホールドが小さい。落ち着いて探すとしっかりとしたホールドが見つかる。 ガリーの傾斜は強いが、しっかりとしたホールドがあるので、確保なしで安心して気持ちよく登ることができた。
八ツ峰の頭はこれまでには見られなかった広いピークだ。展望もよく、お隣の三の窓の頭がやクレオパトラニードルが間近に見える。時間を割いて展望を楽しむのもいいだろうが、時間的なゆとりがないのと、懸垂の順番を1パーティ飛ばすと、それだけ時間がかかってしまう。 ここも給水だけの休憩で懸垂に取りかかった。事前の調査では、40mの懸垂になり50mロープが2本必要だが、ガレ場の懸垂になり、懸垂時やロープの回収時に落石を誘発する恐れがある。懸垂のルートも一つとは限らないようだ。クライムダウンと組み合わせて、短い懸垂をした方が落石を起こさないようだ。目につくのはしっかりとした支点で、先行パーティもそこから懸垂をしている。まずはここから20mの懸垂で中間テラスに降り、そこからどうするか判断することにした。しかし、距離を稼ごうとテラスの下のガリーの上部まで降りてしまい、そこのガリーのクライムダウンになってしまった。ここのがりーは最悪で、落石せずに降りるのは困難な状況になった。薄氷を踏む思い出クライムダウンしたが落石はさけられず、「ラク」のコールを飛んだ。この下は北方稜線の通路になっているので、落石は禁物だ。うさぎを先行させ、池の谷ガリーに登山者がいないか確認させた。それよりもここで初めてロープ回収に失敗し、登り返そうかと思ったが、後続パーティに助けてもらった。ルート選択をミスったことは、長次郎の頭から確認できた。テラスからガリーを下りず、少し西の岩壁を懸垂で降りるべきだった。とにかく全員無事に八ツ峰の縦走が完了し、ほっとひと息ついた。
長次郎の頭 さて、ここで八ツ峰縦走は終わったが、これからまだ、長次郎の頭を乗り越え、長次郎のコルから本峰への登りが残っている。 池の谷乗越から本峰までの所要時間は1時間30分だ。登山道とはいえ険路には間違いない。まずは長次郎の頭への登りだが、ガリーは落石の巣になっている。なのでガリー右手のフェースを登路に選んだ。フリクションもよく岩もしっかりとしているので、思った以上に快適に登ることができた。長次郎の頭も展望の良いところだった。 長次郎の頭の通過はいくつかあるようだがわれわれは、長次郎側をトラバースし最後のクライムダウンの難しいところは懸垂下降した。逆ルートをとるとフリーで登れると思う。雑誌を見るとロープ確保が必要な場所があるようだが、特に気にはならなかった。 これが今日の5回目の懸垂下降になったが、1回に4人が懸垂下降し、岩角ですれて、ロープはぼろぼろになっていた。この山行でこのロープは廃棄となった。
長次郎のコルまで来ると、雪渓を登ってきた登山者を見かけるようになる。装備を見る限りハイキング程度の装備のようだ。長次郎雪渓は映画「点の記」で脚光を浴び、剱岳の登頂ルートに選ぶグループが多いと聞く。長次郎のコルから山頂までは30分の登りだが、ガレているのでフェースを選んで登れば問題ないだろう。しかし、長次郎雪渓を登ってきたグループは、踏み跡をたどりながら登るので落石をしながら登っていった。ここは登山道とはいえ、ルートワインドが必要なコースだ。もう少し落石せずに登るルートを考えてもらいたいが、どうだろうか。 長次郎のコルから剣岳山頂までは30分の登り。先ほど書いたように踏み跡をたどると落石が多いので,岩場のフェースを拾いながら登ると快適だ。長次郎谷から登ってきたパーティーが落石しながら登っていった。本峰は手の届くところにあり,山のピークがひとつの目標なので力が入る。3000mの高所のフェースを自由に登って聞くは快感だ。 剱岳山頂 傾斜が緩むと見慣れた山頂が目の前に現れた。登頂した嬉しさよりも,無事に八ツ峰を縦走できた達成感と安堵感に満たされた。時間が遅いので登山者が少なく、先ほど源次郎尾根を登ってきた学生グループが山頂を賑わしていた。時計を見ると13時40分になっていたが、時間に若干ゆとりがあるので、30分ほど休憩し下山することにした。この時点で行動時間が10時間を超えており、体力的にも疲れがでてくるころだ。ここからは一般登山道だが、集中力を切らさないように心がけながら山頂を後にした。 |
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