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2010年月11日3日 釈迦ヶ岳(大峰)

 

釈迦ヶ岳(大峰)2010年11月3日 No.570 隊長、うさぎ
〜釈迦ヶ岳は樹氷と紅葉のコラボ〜
前鬼林道ゲート(7:10)〜小中坊(7:40)〜二つ岩(9:00)〜太古の辻(9:45)〜深仙の宿(10:23)〜(11:20)釈迦ヶ岳1799.6m(12:00)〜深仙の宿(12:34)〜大日岳(13:05)〜太古の辻(13:26)〜二つ岩(14:10)〜小中坊(15:15)〜出発地点(15:45)
歩行距離10.5km 累積標高+1200m *小休止、撮影時間を含む

釈迦ヶ岳2008年11月29日の記録  、釈迦ヶ岳2009年6月7日の記録

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プロローグ 秋が深まると共に紅葉も標高を下げ始めた。地の利を活かし今年も大峰の釈迦ヶ岳へ。平野部の市街地から紀伊半島の中心へのアプローチは時間がかかり不便だが、熊野からだと車を走らせ約1時間で登山口に到着できる。大峰の山は奥駆で知名度が高いが、アプローチが悪いために、ハイシーズンでも登山者はそれほど大くはない。今回も祝日の好天だったが、前鬼から入った登山者は数えるほどだった。ところで、釈迦ヶ岳への登路は前鬼からの他に、西側の旭口からのものがある。このルートは標高差がわずか500mで、半日もあれば十分に山頂を往復できる。従って登山者の多くはこのルートを利用していて、この日も山頂は軽装の登山者で賑わっていた。

アプローチは公共交通機関を利用すると、そのために半日を要してしまうし、時間の制約を大きい。やはりマイカー利用が望ましいだろう。国道169号線の下北村前鬼橋のたもとから前鬼林道に入る。十数キロの長い林道だ。所々に落石が路面に転がっているので、タイヤを痛めないように注意が必要だ。この林道で楽しみなのが、不動七重滝の見物がきることだ。滝まで行くルートがあるが、林道からでも見下ろせる。この滝は前鬼からにかかる大規模な滝で、日本滝百選にも入っている。林道は滝を見るあたりから険しくなり、いくつかの隧道を抜けると、林道ゲートに到着する。手前の橋のたもとと、ゲート前合わせて十数台は駐車可能だろう。ゲート前には登山ボックスが設置されているが、通行止めと表示されている。前回はこの左岸ルートを歩いてみたが、十分利用できるルートだった。しかしこけむした石段などは滑りやすくなっているので、宿坊まで伸びている車道を利用した方が無難だろう。


不動七重滝

   
前鬼林道ゲート前の登山ボックス                  小仲坊

小仲坊 30分の林道歩きで小仲坊に到着する。テント泊の二人が撤収を終え出発するところだった。人気のない宿坊は静寂に包まれていた。この辺りの宿坊は1300年歴史がある。役行者が大峰を開山したとき(676年)、その弟子の夫婦(前鬼、後鬼)が修験道の行場守護のためにこの地に住みついた。5人の子(五鬼熊、五鬼童、五鬼土、五鬼助、五鬼継)が館を構え、明治末期まで連綿とこの聖地を守護してきたが、現在は61代目五鬼助さんのみとなった。

   
五鬼熊の住居跡               ホウの葉

トチの巨木 宿泊所の前を通り登山道に入る。杉の巨木が立ち並ぶ、屋敷跡の石垣が残っている。かなりの規模の宿坊があり、さぞかし賑わったことだろう。こけむした石畳の道を進み谷を渡ると登山道らしくなる。谷筋にはトチ、モミ、ツガなどの巨木が目につき、しばしば足を止められる。ちなみに、ここ下北山村の村の木は、トチだそうだ。樹木に覆われ穏やかそうに見える谷だが、石や岩がころがり険しさが見え隠れしている。この山域の地質を調べてみると、珪長質深成岩類となっていた。紀伊半島の南部の大部分は付加体で構成されているが、部分的に火成岩からできている所がある。釈迦ヶ岳を含めたこの山域は、珪長質深成岩で、尾鷲から熊野にかけてが珪長質火山岩だ。珪長質だから花崗斑岩、花崗岩、流紋岩など白っぽい岩石で、水に洗われた岩を見るとよく分かる。付加体は1億年から6500万年前のもので、そこに1500万年〜700万年前にマグマが陥入たものと推測される。

  
谷筋の登山道の様子            コミネカエデ

  

二つ岩 谷を詰めていくと傾斜がきつくなり、木製の階段が作られ便宜が図られている。傾斜が緩みトラバース道になると二つ岩に到着する。この二つの岩は、不動明王に仕えるコンガラ童子とセイタカ童子だそうな。岩の向こうに出ると展望が開け、釈迦ヶ岳から孔雀岳の東面に林立する五百羅漢の岩塔群が一望できる。この辺りまでくると標高の半分以上を稼いだことになり、オオイタヤメイゲツ、イタヤカエデ、コミネカエデなど、カエデ類の色づきが目についてくる。

  
二つ岩からの展望を楽しむ

  
太鼓の辻

  
ブナハリタケ           奥駆道をゆく


深仙の宿


釈迦へ向けて高度を上げると樹氷が見られるようになってきた

  
樹氷と内原の紅葉

針葉樹林 深仙の宿からは急登が始まる。林床はミヤコザサで、ブナ、シロヤシオ、トウヒ主体の原生林が山頂まで続く。トウヒに混ざって、少しだがシラビソを見かける。亜高山帯の針葉樹は、この辺りが南限だが、鹿の食害や温暖化などの影響(原因としていわれている)により減少の傾向にあるようだ。山頂付近の紅葉は終わっていたが、シロヤシオやトウヒにつく樹氷と青空とのコントラストが素晴らしかった。


山頂付近のトウヒにつく樹氷


旭口分岐までくると山頂はすぐそこだ

旭口まで来ると多くの登山者と出合い賑やかになってきた。登山者の大多数はやはり、登りが楽(標高差は500m)な旭口からだった。4時間かけて登ってきた我々にとって、軽装で登ってくる登山者を見ていると、少し拍子抜けしてしまった。

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