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2008年11月29日 釈迦ヶ岳(大峰)


釈迦ヶ岳1799m(大峰)2008年11月29日 No.472 隊長
〜釈迦と名のつく山は多いが、今回は大峰の釈迦だ〜
大峰は遠い所だという固定観念があったが、熊野からだと時間的に鈴鹿の山へのアプローチと同じだ。ただし国道169号線からだと登山口が限られる。今回は釈迦ということで、前鬼からアプローチとなった。先週が鈴鹿の釈迦ヶ岳で今週は大峰の釈迦ヶ岳。実はねらっていた。天候も悪くはなかったので、入山者もある程度いるかなと思ったが意に反して、前鬼からの入山者は私と和歌山からの親子のみだった。
前鬼林道ゲート(8:23)〜小仲坊(8:58)〜二ツ岩(9:50)〜太古の辻(10:35)〜深仙の宿(11:08)〜(11:56)釈迦ヶ岳(12:35)〜深仙の宿(13:04)〜(13:18)大日岳(13:53)〜太古の辻(14:12)〜二ツ岩(14:40)〜小仲坊(15:18)〜ゲート(15:50) 歩行距離10.5km 累積標高+1200m *小休止、撮影時間を含む カメラ α700 レンズ vario sonnar DT 16-80mm PLフィルター

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 前回が鈴鹿の釈迦に絡めて今回は、大峰の釈迦に登った。実はこの日に大峰の釈迦に登る予定だったので、前回の山行を鈴鹿の釈迦にし、少し山名にこだわって意図的選定だった。山日記を書き始めて今回で472号のようだが、このこだわりは今回が初めての事だろう。ついでに白山の釈迦ヶ岳にも登ってみると面白そうだが。深田久弥の日本百名山を見てみると、釈迦ヶ岳は選外さったようだ。田中澄江の花の百名山もしかり。釈迦ヶ岳はどこにでもある山名で、宗教色に染まった山名なのだろう。
 紀伊半島の背骨である大峰山脈には名だたる山が連なっている。標高から見るとやはり主峰は、八経ケ岳1914mだろう。隣の弥山が1885mで、次いで仏生ケ岳1804m、4番目が釈迦ヶ岳で1799.6mある。1800mに40cm足りない。いずれしろ大峰の中心は山上ケ岳から釈迦ヶ岳までで、この三山が最もよく登られているようだ。
 大峰は遠いところだという固定観念が頭から離れなかったが、熊野に住み始めて半年が過ぎ、ようやく地理感覚つかめてきたようだ。地図を広げなくともとにかく、熊野からだとすごく近いところだ。釈迦も前鬼林道があるおかげで、日帰りのできる山域である。歩行距離が10.5kmで累積標高が1200mあるので、日帰り登山としてはまずまず満足できる行程だと思う。
 7時過ぎに熊野を出て、国道42号線から311号線、169号線に入り、池原ダム湖畔を少し走ると前期口に到着する。ここからは林道をゲートまで進む。しっかりとした林道だが、雨の後だったのでこぶしほどの落石が何カ所かあった。昨日の悪天候で路面には落ち葉も落ちているので、落石が見にくくなっている。落石を踏むと車のタイヤがパンクすることがあるのでゆっくりと走る。途中、不動七重ノ滝展望台に立ち寄る。水量もありなかなか見応えがある滝だが、光の加減でうまく撮影できず帰りに期待する。滝までは散策路があるようだが、今回は時間がないのでパスする。登山口の駐車場にはそれほどスペースはない。展望台からはいくつかの隧道をくぐっていくと林道ゲートに到着した。先客は和歌山ナンバーの一台のみ。天気もいいし休日なので、駐車場の満車も気になっていたが拍子抜けしてしまった。駐車場はそれほど広くはなく、十数台ほど収容できるだろうか。車から出るとぶるっとする寒さ。スパッツを着けフリースを着てゲート前の駐車場を後にした。

 
ゲート前の駐車場       登山届けのボックス

 林道を平行して登山道が前鬼まであるようだが、雨の後だったので林道を歩くことにする。登山道は登山届けのボックスの横から入るようだが、ロープが張ってあった。林道を行けと言うことだろうか。小仲坊まではたいした距離でもないので、回り道となる林道を歩く。風に飛ばされて落ち葉がアスファルトに散らばっているて風情がある。建物跡の石積が見られ始めると小仲坊は近い。案内板の前鬼山の由来には小仲坊のことが書かれていた。修験道のための宿舎で1300年続いているとのこと。宿舎の施設にはいくつか新しい建物がある。世界遺産になり脚光を浴び、整備が進んだのだろうか。


前鬼手前の林道

 宿坊周辺を少し見て回ったが客もなく誰もいないようだ。電話ボックスがあり、宿舎の外壁には前鬼口のバスの時刻表が貼り付けてあった。林道を使った日帰り登山者にはあまり関心がないかもしれないが、縦走者には大切な情報なのだろう。ここから前鬼口までは徒歩にて2時間30分の距離だ。上高地の明神横尾間を歩くようなものだ。

  
                    小仲坊

   
小仲坊の宿泊施設

 さて登山道は宿泊所横から入る。スギの植林が少し続くが、谷に入るとモミ、ツガの常緑樹に混ざり、ミズナラ、トチノキ、サワグルミ、ブナの落葉樹が多くなり、この時期は葉を落としていて明るい。このコースは二つ岩で尾根を乗り越すが、稜線にある太古の辻までは概ね谷(白谷)のコースである。古いゼンリンの地図には「ヤマヒル」と書かれていたし、ネットで検索しても出てくるので、できれば梅雨の時期は入山したくないなと思った。

   


大きなトチノキ

 途中で小学校低学年くらいの子を連れた親子を追い越す。釈迦山頂は無理だろうと思ってが、はやり途中で引き返したようだ。後にも先にも今日は、このコースを歩いたのは、私とこの親子だけだった。谷をつめていくと徐々に傾斜が増してくるが、登山道はよく整備されていて、急斜面には木製の階段が設置されているので歩きやすい。しばらく階段道が続き、沢を渡って小尾根に乗ったところが二つ岩(両童子岩)と言われる所だ。不動明王に仕えるコンガラ童子とセイタカ童子だそうな。ここからは谷を離れ尾根コースとなる。約40分で稜線の鞍部の太古の辻に到着した。風が強く暴風のためここで雨具を着用した。


二つ岩(両童子岩)

 ゲートを出発して約2時間、いよいよここからが奥駈道となる。「太古の辻」とはいかなるいわれがあるのだろうか。何しろ1300年の歴史を持つ道なので何らかの意味があるのだろう。ここの標高が1521mなので、山頂までの標高差は約300mほどだ。それよりも眼前には大日岳がそびえている。円錐形をした山らしい山だ。この山は行場になっているようなので見物は、帰りのお楽しみにとっておくことにする。


太古の辻


太古の辻から大日岳を仰ぎ見る


釈迦ヶ岳岳稜線

さてここから深仙の宿までは約30分の行程だ。標高が1500mを越えるとブナの上限になりこれ以上は亜高山域に入っていく。モミ、ツガなどの針葉樹、シロヤシオ、ブナ、オオイタヤメイゲツなどの樹木だろう。葉や花の時期に植生を調べるのも興味がある。


深仙の宿、日陰で積雪1セントほどか

 深仙の宿には灌頂堂と無人小屋がある。灌頂とは、諸仏が智水を頭に注ぐ儀式のようで、それで水場のことを香精水というのだろうか。昔は宿坊でもあったのか、平地があるので野営には適している。取水は「香精水」と地図上に書かれているが、確認するのを忘れた。無人小屋の中には空のペットボトルがたくさん置いてあったので、水くみに使えそうだ。さてここからは約50分、標高差300mの登りとなる。登るにつれてトウヒが多くなり、亜高山域の景観となってきた。西斜面の樹木には樹氷が付いているが、気温がそれほど低くないので、溶けて落ちだしている。臨床のミヤコザサが濡れてきてうっとうしいのでスパッツをつける。

 
灌頂堂            深仙の宿の道標

  
釈迦ヶ岳への稜線の登りから見る大台方面の山並み

 急坂がゆるんでくると十津川方面の登り口となっている旭口への分岐に出た。今たどってきた稜線には踏み後はなかったが、こちらの方は少し足跡があった。すると山頂より単独男性が降りてきた。風があり展望もなかったので5分で退散してきたそうだ。山頂はこの分岐から10分ほどの所だ。時折青空が覗くので期待を込めて山頂へ向かった。


十津川への分岐


山頂付近は樹氷がついていた


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