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2007年8月4日5日 白馬三山(北アルプス)

 

白馬三山(北アルプス)2007年8月4日5日 No.418 隊長
〜白馬散々になるところだったが、最後に鑓が微笑んでくれた〜
8月3日 自宅(19:10)〜川越IC〜豊田JCT〜土岐JCT〜豊科IC〜猿倉市営駐車場(23:40)激しい雨
8月4日 猿倉市営駐車場(5:50)〜(6:50)白馬尻(7:05)〜雪渓(7:25)〜夏道(9:10)〜小雪渓(10:35)〜避難後や跡(10:45)〜白馬村営頂上野営場(12:25)〜風雨のために、テント内で停滞
8月5日 白馬村営頂上野営場(6:10)〜丸山2768m〜杓子岳2812m(7:25)〜(8:40)鑓ガ岳2903m(8:50)〜鑓温泉分岐(9:15)〜撮影〜(11:10)鑓温泉(11:25)〜小日向のコル(13:30)〜猿倉荘(2:55) 猿倉市営駐車場(15:25)〜自宅(20:05)

台風一過を期待したが、長野北部は雨だった。猿倉市営駐車場に到着すると同時に雨が激しく降り出した。4時過ぎに一度目を覚ましたが、雨が止んでいなかったので二度寝をし、5時半過ぎから準備をする。雨は止んでいたが、天候が回復に向かう気配がない。二日とも降られたときのために、HPの見出しに使う言葉、「白馬散々」が頭をよぎる。

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 夏山シーズン真っ盛りであり、人気山岳ということもあって、雨にもかかわらず深夜の猿倉市営駐車場は車が溢れていた。長野道に入り振り出した雨が猿倉につく頃には本降りとなっていた。車の屋根をたたく雨の音を聞きながら、倒したシートに横になる。何台かの車が駐車場に入ってくの見ているうちに寝込んだようだ。目覚ましのアラームで目を覚まし外を見るが、雨は止む気配がない。初日は行程的にも十分ゆとりがあるので、もう一度横になる。6時前に雨が止んだのを見計って準備をし駐車場を後にした。

 
猿倉市営駐車場(無料)         猿倉荘前のバス停 

 靄に煙る猿倉壮前は、出発の準備をする登山者で活気に充ちていた。ここから白馬尻まで車道が続き、観光のトレッキングコースにもなっている。出発点の猿倉に、トレッキングと登山の違いについての説明があった。砂防工事道から谷を覗き込むが、ガスに煙っていた。気温は15度ほどだが、湿度が高く不快感がある。1時間ほど歩き、重いザックが肩になじんだ頃に白馬尻に到着した。


猿倉荘 早朝から登山者で賑わう


白馬大雪渓から流れ出る谷

 5年程前に同じコースを通っているが、白馬尻の様子が少し違っているようだ。「おつかれさん」の右側に小屋があったと思ったが、そこが広場になっている。デッキのようになっているので渓谷を一望でき、休憩にはうってつけの場所だが、生憎ガスで何も見えない。雨こそ降ってこないが、だからといって急ぐこともないので、ここで一息入れる。小屋の周辺にはキヌガサソウが花盛りだ。ここまで来る谷筋には、ミソガワソウ、オタカラコウ、ヤグルマソウ、シシウドなどの常連が花を開いていた。


白馬尻小屋。5年前と様子が少し変わっていた


雪渓が残る、白馬尻前の沢

 白馬尻から20分ほど歩いた所が、雪渓の取り付きになる。南アルプス北岳の大樺沢、北アルプスの針の木雪渓に続き、今シーズンはこれが3度目の雪渓になる。しっかりとした踏み跡があるので、アイゼンがなくても歩くことはできるが、ザックが重いので足元はしっかりとしたいので、6本アイゼンを装着した。南アルプス北岳の大樺沢ほどの傾斜がないので歩きやすい。


白馬大雪渓の取り付き

 途中3合雪渓と4合雪渓が左岸から合流しているが、ガスのために合流点すらはっきりとしない。視界はほとんど無く、寡黙になりただひたすら2時間の登りに耐える。落石の危険があるので途中で休むわけには行かない。ガスで見通しは効かないが、物音などの気配で危険を察知する必要がある。落石が多くなるのは、4合雪渓を見送ったあたりからだ。


大雪渓上部、おびただしい落石の数

 とにかくモレーン(堆石:雪が運んだ石などが堆積したところ)までは休まずに、ペースを落としてでも歩き通した方がいいだろう。傾斜がきつくなりもうそろそろだろうと思った頃にモレーンに到着した。岩が集まるところなので安全とはいえないが、腰をおろして一息入れる。右岸の杓子岳からの落石が断続的に続いているようで、大きな音が谷に響いている。ガスので何も見えないので、余計に恐怖感を感じる。モレーンを過ぎてから夏道の取り付きまでが、杓子尾根からの落石が最も多くなるので、早く通過したいところだ。約20分ほどで夏道に取り付きアイゼンをはずす。このあたりは落石が多く雪渓の状態もよくないようだ。


葱平、ここから夏道になる。雪渓の状態により取り付き地点が変わるようだ。

 さてここから小雪渓あたりまでが急登になる。また花が多くなるのもこのあたりからで、登りに専念したいところだが、花に目移りしてなかなか進まない。この時期の代表的な花は、クルマユリ、シロウマアサツキ、イワオウギ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、ハクサンフウロ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマダイコンソウ、ハクサンチドリ、ヨツバシオガマ、ミソガワソウなどだが、この頃から雨が降り出したので、落ち着いた撮影ができなかった。花を見ながら、休みながら歩き、約1時間半ほどで小雪渓に至る。


小雪渓にて

 雪渓を横断すると、大人数の下山グループが小休止していた。雨は断続的に降っていて、小休止もままならないが、お腹がすいてきたのでコンビニのおにぎりとひとつ食べる。斜面をシナノキンバイを飾っているのが、雨とガスで撮影が難しい。


お花畑上部、稜線まであと30分くらいか

 10分ほど進むと避難小屋跡が見えてきた。ここも雪崩により倒壊したようで、新しく建て直しているところだった。ここを過ぎると急登もひと段落する。ここからはお花畑といわれているところで、がむしゃらに登らずに、花を見ながら歩いていると自然と高度が稼げるところだ。雨は断続的に降り続いているが、時折ガスが晴れる時があり、稜線までの広がりが見て取れる。草地の斜面は、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲで埋めつくされていて、晴れていれば絶好の被写体になるところだが、雨と風とガスでカメラバックからカメラを取り出す気にもなれない。午後から時間がたっぷりとあるので、テント設営後、このあたりを散策したいものだ。稜線の村営頂上宿の標高は2700mほどだが、2500mを過ぎたあたりからが最も辛くなるところだ。ガスの切れ間から時折のぞく白馬岳を励みに最後の登りに耐える。

 
野菜炒め           焼き肉の缶詰

 
卵スープ               レトルトカレー

 山荘に到着するといよいよ本降りになってきた。テントの受付に小屋に入ると登山者でごった返していた。無理もない。天気さえよければ、山頂を往復したり、丸山まで足を運んだりと、午後の時間を有意義に使えるだろうが、この悪天候では、温かい小屋の中で山談義に花を咲かせるしかなさそうだ。

 受付を済ませビールを買って、小屋の裏側にある野営場に向かう。ここの野営場は稜線ではあるが少し窪地になっているので多少なりとも風は避けられる。テントにとって最大の適は風である。すでに数張りのテントが設営されているが、十分に広い野営場なので、トイレの位置、水はけのよさ、スペースなどを考慮し場所を決める。雨の風のために、慣れているとはいえ、そう簡単には設営ができない。問題は雨よりも風で、2本のポールを差込み、テントを寝かした状態で組み立てる。飛ばないように先に荷物をテントに入れて、風の弱まったところを見計って立て、フライシートを被せ綱を張る。グランドシートがうまく広がっていないようだが、修正が難しく今回は無視する。綱をしっかりと石で固定し、ペグでフライシートを張る。これから明日にかけて大荒れが予想されるので、それに備えていつのより念入りに行う。

 午後は時間が十分にあるので、とりあえずはテントにもぐり込み、昼食をして様子を伺うことにする。風が強くてテントが大きくゆれ、ガスを使うにも気を使う。こんなとき唯一の楽しみは食事だ。ビールを飲みながら有意義なひと時を過ごす。

 風、雨、ガスともに収まる気配がないので、シュラフに潜り込みラジオを聞きながら様子を伺う。GPS付き携帯も電波が届かず使えない。衛星からの電波で測地はできるだろうが、どうやら通話範囲に入らないと駄目なようだ。シュラフに潜り込み、体が温まると少し眠ったようだ。隣に大学生のグループが来たようで、わいわい言いながらテントを設営し始めたようだ。断続的に激しい雨がテントを打ち、風がテントのポールを押し曲げる。山頂周辺の散策に多少の期待があったが、どうやら風雨が収まるまで、テントでおとなしくしているのが得策のようだ。

 このままの状態が明日も続くようなら、尻尾を巻いてここまま撤退することにもなりかねない。夏の花の最盛期に白馬まで来て、このまま雪渓をとぼとぼと降りて帰ったら、それこそ白馬散々になりそうだ。テントになんかで悶々としているうちに、夕食の時間になってきた。午前中はしっかりと歩いているので、時間がくればおなかもすいてくる。ビールを買いに行こうかと思ったが、雨と風の中テントを出るのも億劫なので止めにする。メニューは、野菜炒め、肉の缶詰、卵スープ、レトルトカレーにする。

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