■釈迦ヶ岳(大峰) 2020年5月30日 No.1288 |
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| ページ1 | ページ2 | 概要 9月号の取材で急遽、大峰奥駈の道から山頂を往復した。簡単に登れるルートがあるが、「大峰奥駈の道 」がテーマなので、由緒正しい前鬼から山頂を往復した。かなり久しぶりで記録を見ると前回の登山から10年が経過していた。熊野に赴任していたときはアプロートが近いのでよく登っていた。しばらく大峰からは遠ざかっていて、今回改めて山の魅力を再発見できたと同時に、身も心も浄化されて下山した。 前鬼林道の見所はやはり「不動七重の滝」で、林道の展望所からよく見える。七段に分かれているそうで総落差160mで「二本の滝百選」。風がなくシャッタースピードを落とすことができた。EM5V+12-100mm PROで手持ち撮影。
林道ゲート
前鬼山集落跡 説明は下の写真の説明に委ねるとして、実に雰囲気のある集落だ。今は小仲坊だけが営業していて、この日も登山者が入っていた。多くの行者さんが来ると賑わいそうだ。登山でも遠方から来る場合はありがたい宿坊だと思う。登山道を入ると直ぐこの裏手に集落跡や石積みが残っている。役行者が大峰を開いたのが676年だそうで、その時からだから、歴史の厚みと重さは半端ではない。人の精神世界が1300年以上続いている。世界遺産として、持続可能な文化を、修験者のみならず、我々登山者も引き継いでいきたいと思う。 集落跡周辺は杉林になっているが、その杉の太さに驚かされる。小仲坊から二の岩までは概ね谷ルートで、涸れ沢で苔むした岩が多い。最初が傾斜が緩いが階段道からは急傾斜となる。最初の一段に1/853段と書いてあり、太古の辻まで続いていて、2時間近く付き合うことになる。きついが、グイグイ高度が稼げる。階段手前付近は、トチ、モミ、オオモミジの巨木が林立し苔むした岩と相まって大変雰囲気がよい。谷筋なので野鳥も多く、ミソサザイ、オオルリ、コゲラ、アカゲラ、ヤマガラ、キバシリが確認できた。撮影はヤマガラとキバシリのみ。高温多湿になると足下のヤマヒルが心配だが、この日は出なかった。 キバシリ 樹幹を尻尾を支えに上向きに走るキバシリ、日陰だったのでシャッタースピードが足りずブレが多かったのが反省。事前に環境に合わせて設定しておかないといけない。チョロちょと動くので最初、コゲラかとおもってよく見ると、キバシリだった。キバシリ科だそうで、ゴジュウカラに似ているが、これは下向きには動けないそうだ。留鳥として亜高山の針葉樹林がすみかだそうだ。カラ類と混ざっていると図鑑に書いてある。確かにヤマガラと一緒にいた。 二ツ岩 このあたりは五百羅漢に代表されるように岩塔群が見られる。付加体の堆積岩の中に酸性岩の岩脈があり、釈迦ヶ岳は熊野酸性岩類(花崗斑岩、流紋岩、流紋岩質凝灰岩など)と似た大峰酸性岩類(大峰山脈の主稜線に沿って45km分布)からなっている。大峰酸性岩類は、花崗岩、花崗閃緑岩、花崗斑岩、石英斑岩で、涸れ沢で岩を見ると石英斑岩だった。 太古の辻 地名のいわれは判らないが、なんとも歴史を感じさせるような地名だ。笹原にブナ、ミズナラ、リョウブ、オオイタヤメイゲツ、シロヤシオなどの広葉落葉樹林が広がり明るく開放的だ。植物帯の垂直分布からみると山地帯の上部で、我々が生活を営む環境とは違い新鮮さを感じる。美しい自然が残っていて、行者が修行の場とした。我々は一般登山者だが、苦しい思いをしてここまで登ってきた達成感、そして美しい自然風景を見ると、心身共の浄化されるような気分になる。 太古の辻から大日岳がよく見えている。 大日岳 太古辻から少し登ると大日岳分岐がある。ザックを置いて山頂をピストンした。標高が1568mの岩山で、岩壁が修行の岩場となっている。青銅製のしっかりとした鎖が設置されていて、上部は崩れた岩が積み重なった状態だ。一般登山者は巻き道を利用、修行者は自己責任で、と注意書きがある。来る度に登っているので今回の状況チェックのため登ってみた。鎖はしっかりしているが、積み重なった岩が不安だった。スラブの部分は岩を叩くとボコボコと鈍い音がするので、浮いている感がある。
先日の大台のシロヤシオはほとんど花がなかったので、今回も期待はしていなかったが、以外とたくさん咲いていて、1600m付近が花の見頃を迎えていた。
| ページ1 | ページ2 | 機材 OLYMPUS E-M1U、E-M5V 12-100mmf2.8pro、75-300mm LUMICLEICA8-18mm | |
2020-5-31 Copyright (C) 2020 k.kanamaru. All Rights Reserved. |