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■錫杖岳前衛壁(北ア)
〜錫杖沢の紅葉と前衛壁1ルンゼの登攀

レポート No.988
日時:2016年10月10日
参加者:
しんくん、たばたさん、おおやさん、よねしまさん、隊長、うさぎ

笠ケ岳登山口(5:30)〜クリヤ谷(6:40)〜錫杖沢〜1ルンゼ取付(8:10)〜登攀開始(8:40)〜終了点(13:05)〜懸垂下降〜取付(15:10)〜錫杖沢(15:40)〜登山口(17:05)〜(19:00)高山(19:30)〜鈴鹿(23:00)

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プロローグ 紅葉と登攀の二兎を狙って昨年同様、錫杖岳前衛壁を計画した。今年の秋は、台風や秋雨前線の影響で天候が悪い日が多かったが、三連休の最終日にようやく天候が回復し、予定通りアタックすることができた。錫杖沢の紅葉を期待したが、時期が早かったのかそれとも、今年は不作なのか、期待外れだったが、コンディションの良い岩壁でそれぞれが、気持ちのよい登攀に興じることができ、充実した一日になった。

アプローチ 5時の出発に合わせて、駐車場に集合した。駐車場はほぼいっぱいで、入山者が多いようで、ルートの混雑も予想される。朝から霧が立ちこめて、天気がいいのか悪いのかわからない。天気予報は晴れの予報だったのでそれを信じてヘッデンスタート。登山口で準備しておいた登山届けを提出。

 
クリア谷渡渉                雲海

天候も気になったが、心配していたのはクリヤ谷の渡渉。前日までの雨で増水が懸念されたが、なんとかクリア。霧で濡れた岩が良く滑っていて、岩壁ものこの状態なら、登攀は難しい。不安な要素は多いが、とにかく取り付きまで進んでからの判断だ。

錫杖沢出合にはテントが5張で満員御礼。3連休で遠征組が多いが、前日までは雨で登れなかったとのこと。出合付近はまだガスが滞留していて、見通しが悪く岩壁のコンディションも心配だ。後続の単独男性は錫杖岳に登るそうだ。錫杖沢に入ると今度は単独女性がついてきた。どうやら、笠ヶ岳を行くと思って我々についてきたようだ。危ない危ない。

取り付きが近づくとガスが晴れ初め、取り付きで雲海の上に出て、乾いた岩壁と青空が待っていてくれた。不安な気持ちが一気に晴れてテンションが上がった。わくわくしながら登攀準備にかかった。するとしんくんが、「やってしまった」と自責の叫び。どうした、と皆が注視。「靴が両方とも左」。今回6回目の錫杖だが、ハーネスを忘れたり、ヘルメットを忘れたり、といろいろあったが、靴の珍事は始めて。さてどうする。左足はいいが、右足は左の靴を履くしかない。私の左足はまだリハビリ中で、足首の動きが痛くてできない。しんくんは右足の踏ん張りがきかない。二人合わせて1人前ということだ。とりあえず1ピッチやってみて駄目なら私がリードすることにした。

1ルンゼルート 良いルートはリピートしたくなるが、このルートもその一本で、今回が3度目となった。前回もちょうど一年前のこの時期だった。今回は参加者が多くなり、6人でアタックすることになった。ルンゼといっても、ルート自体は1ルンゼの右岸のフェイスとカンテに引かれていて、ルンゼ特有の陰鬱な雰囲気はない。終了点はハンガーボルトで整備されているが、中間支点はナチュラルが基本で、確かなカムのセット技術が必要だ。また1ピッの長さが40m以上が多く、リードはロープの流れに気を配りたい。また残置ピンはほとんどないので、ルートミスに注意したい。


おおよそのラインです

1ピッチ目 45m 5.9以上 グレード的には5.9らしいが、内容が濃い。ランナウトから始まり、中盤から徐々にグレードが上がってきて、終了点手前のクラックが核心だと思う。核心部には残置カムが2個。

 

 

 

2ピッチ目 40m 5.7 少し気の抜けるピッチ。まず広いルンゼに入って、左の岩壁のクラックを登る。キャメ#1前後カムがきまるが、濡れていて、フェイスはぬめぬめになっていた。グレードはクラックのところが5.7くらいかな。クラック以外は易しい。出口の石が不安定なので落石注意。広い安定したタラスでピッチを切る。クラックでロープが屈曲するので流れに注意。

 

 

3ピッチ目 40m W 左のカンテラインを登る。易しいグレードだが、ライン取りとプロテクション探しにリードは腐心するかも。ゆとりのあるピッチで、ロケーションが素晴らしく、左右上下を見るのに急がしい。するとヘリが飛んできて、クリア谷を行ったり来たり、上空をくるくる回ったり、何してるんだ?

 

 

 

4ピッチ目 40m 5.8 右手にはハングした岩壁が聳えている。今回はフリーで行くので、左のフェースを登る。このピッチが一番面白いかも。フェースはプロテクションがとれないのでボルトが2本設置されている。ボルトにクリップしたときの安心感は誰しもが感じると思う。カンテからフェイス、そして凹角へ入り、ダイナミックにステミングで登る。本当に気持ちのいいピッチです。

 

 
まずトラバースしフェイスに取り付く

 

 

 

 
フェイスから凹角に入る

 

 
トラバースしフェイスへ         フェイスから凹角へ


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