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■明神岳主稜(北アルプス)


レポート No.827
日時:2014年8月27日28日
参加者:隊長、うさぎ

〜秋雨前線の隙間を狙ってバリエーションルート明神岳主稜にアタック

 

8月26日 自宅(19:30)〜ひるがのSA(22:30)
8月27日 ひるがのSA(5:00)〜(6:40)平湯あかんだなP(7:00)〜上高地(7:30)〜穂高・岳沢登山路(8:00)〜穂高・岳沢登山路7「南西尾根取付」(8:50)〜明神岳5峰野営適地(13:40)
8月28日 明神岳5峰野営適地(5:55)〜5峰2726m(6:20)〜4峰(7:10)〜3峰(7:50)〜2峰(8:10)〜明神岳主峰2931m(9:10)〜(11:05)前穂高岳3012m(11:15)〜紀美子平(12:00)〜雷鳥広場(12:25)〜カモシカ立場(13:15)〜(14:00)岳沢小屋(14:20)〜穂高・岳沢登山路7(15:20)〜上高地バスターミナル(16:20)


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プロローグ 明神岳は上高地まで来ると必ず目に飛び込んでくる山だ。奥穂、北穂、前穂、西穂など穂高連峰の主要山岳は稜線で繋がり、縦走路が整備されていが、明神岳までは繋がっていない。標高が3000mに満たないということもあるが、その険しさが一般登山道になり得ない主因になっていると思いれる。しかし、明神岳東稜と主稜はバリエーションルートとしてはよく知られていて、「チャレンジアルパインクライミング」でも残雪期の好ルートととして紹介されている。今までにも何度か計画に上げていたが、行く機会に恵まれなかった。

アプローチ 今回の山行には3日使えるので、天候さえ良ければ、明神、前穂、奥穂、西穂と稜線を歩く予定で入山した。前夜車泊で上高地7時30分に出発することができた。8月後半は日本列島に気圧の谷が出来る気圧配置になっていて、天候は安定しないが、なんとか28日は持ちこたえてくれそうだが、入山日の初日は雨に降られる確率が高かった。河童橋からは穂高の稜線は見えていたが、山肌には雲がまとわりついていた。


上高地、河童橋

穂高・岳沢登山路 夏山シーズンも終盤になり、しかも平日とあって、登山者の少なかった。河童橋を渡り遊歩道を歩いて、穂高・岳沢登山路に入った。昨夜来少し寒気が入ったようで、登山道はひんやりとしていたが、湿度は高く少し歩くと汗ばんできた。1時間ほどで7番標識に到着した。地理的にはこの少し先が風穴のある所で、明神岳5峰から派生する「南西稜」に繋がっていて、バリエーションの登山口になっている。もちろん標識などないが、薄い踏み後ができているので、迷い込まないようにロープが張られている。

    
梓川越しに見えるのは明神岳5峰

南西尾根 7番標識で小休止し、ロープをまたいで南西稜に取り付いた。踏み跡はしっかりとしているが傾斜がきつい。まずは標高2200mまで樹林帯の急登が続く。取り付きの標高は1650mだ。踏み跡があると行っても濡れた笹をかき分けての登高だ。

    
7番標識                  南西稜

今回のルートは本格的な登攀はないので、ロープを含めるとギア類の重さは5kgだったが、稜線でのビバークが必要なため、二日分の水を4リットル、うさぎ2リットルを担ぎあえげることになる。もちろん消費すれば軽くなっていくわけだが。重さが身体に馴染んでくるまでが辛かった。

    

3時間かかってやっと痩せ尾根にさしかかった。さてここからがこのルートの核心の一つ目だ。固定ロープが張られ、2級程度の痩せ尾根の登攀が始まった。灌木があるので高度感はあまり感じないが、覗き込むと、すぱっと切れ落ちている。ロープを持つと振られるので、木の根や岩にスタンスとホールドを探し40分ほど攀じて痩せ尾根を抜けた。

    
痩せ尾根の登攀

痩せ背尾根を抜けるとダケカンバ帯に入った。樹間から展望が開け高度を稼いだことがわかった。天候はまずまずだが、穂高の稜線は雲の中だ。傾斜が徐々に緩みだし、トウヤクリンドウやハクサンオミナエシの花が見られるようになってきた。

 

    
痩せ尾根の急登          岳沢の展望が開けてきた

    
トウヤクリンドウ          岩場の急登

   
ハクサンオミナエシ          ダケカンバ

野営適地 ダケカンバ帯を岩場を迂回しながら登り、気がつくとハイマツ帯に入っていた。稜線に出ると風が強まり、いつでも雨が降り出しそうだった。行程が3日みてあるので急ぐことはない、それよりも雨に降られるまでに、野営適地を見付けテントを張りたい状況だ。踏み跡をたどっていくと野営適地が見つかった。テント一張り程度で、石積みがしてある。暴風には多少なりとも役立ちそうだが、もう少し条件のいいところがあるはずなので先へ進む。正面には5峰2726mが迫ってきたが同時に、雨がポツポツとあたってきた。5峰の肩まで登って行くと、2,3カ所テントを張れる場所が見つかった。吟味している余裕はなく、水はけの良さそうさ所にテントを設営した。テントに入ると同時に雨が当たり出した。

    
左:ハイマツ帯   右:一つ目に野営地、テント1張り程度


右から順に5峰2726m、4峰、3峰

     
西南尾根上部             5峰の麓で野営地物色中

   
5峰野営適地でビバーク 、標高2600m地点

野営地は窪地にあって、風雨には強そうな所だった。天候的には、気圧の谷に出来た低気圧が北陸沖に移動するようで、その影響で今夜は荒れそうだ。これも想定内で、17時過ぎにメールで入ってきた「ヤマテン」の有料気象情報で確認した。予報が悪くなったときは、縦走を取りやめて引き返すことも考えていたが、明日は乾いた空気が入るようで大きな崩れはなさそうだ。天候の回復具合にもようるが、明日の出発を6時に設定た。15時にはテントに落ち着き、明日の出発までの15時間をしっかりと身体を休めることにした。


明神岳5峰

今回はビバークのために食料は優先順位が低くお粗末だった。眼下に実高地バスターミナル付近が見えていて携帯もよく繋がった。メールをしたり、仕事の電話をしたり、ワンセグ見たりと、情報手段が得られるのは、いいことなのか悪いことなのか。夜は気温が下がり風雨が激しかった。

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2014-8-29 Copyright (C) 2014 k.kanamaru. All Rights Reserved.  home