最新情報  レポート  登山  バリエーション  ブログ  プロフィール

■衝立岩ダイレクトカンテ


レポート No.810
日時:2014年6月15日
参加者:たくさん、ほんまさん、すえつぐさん、隊長、うさぎ

〜谷川岳を象徴する垂直の岩壁に挑戦〜

 

谷川岳慰霊碑下P(8:30)〜一の倉沢出合(5:35)〜テールリッジ取付(6:50)〜中央稜基部(8:15)〜(10:40)ダイレクトカンテ(14:00)〜懸垂〜テールリッジ末端(16:45)〜出合(17:20)〜指導センター(18:30)〜駐車場(18:45)


| ページ1 | ページ2 |

ダイレクトカンテ 本日のメインディッシュがこの40mのピッチだ。まずはビレー点で体制を整えた。フィニッシュ直前に少しフリーがあるようだが、ほとんどが人工で登られているようだ。グレードは5.10+となっているので、フリーで挑戦するパーティーもいるようだが。ボルトが所々に打ち足されているようだが、大半は古いピトンが唯一のプロテクションのようだ。40mの人工登攀になるので、ヌンチャクを30個、タイオフ用の細引き、ハーケン4枚、ハンマー、カム3個、スリンクやカラビナなどを身につけるとずっしりと重くなった。パーティーは隊長ーうさぎ、たくさん、ほんまさん、すえつぐさんの2パーティーで、リードは私とたくさん。


ダイレクトカンテ

     
出だし

ビレイ点は広くはないが安定したテラスで、大ハングから水がしたたり落ちてくるが、風に飛ばされているので濡れることはなかった。ルートは逆層を乗り越えていき、ハング下の凹角を左上していく。古びたスリングがぶら下がっているので、ルートは確認できた。


リード

リード さて人工登攀の開始。支点は真新しいボルトが打ち足されてはいるが、古いピトンが頼りだ。ここまで生き残ってきたピトンはそれなりにしっかりと効いていると思うが、錆など劣化しているものが多い。ロシアンルーレットのようで、外れを引かないことを祈りながら、アブミをかけ慎重に体重を移していく。外傾して刺りの浅いピトンには細引きでタイオフしながら慎重に体重を乗せた。欠けたところはボルトが打ち足してある所もあるが、長い古いスリングがぶら下がっている。2カ所ほどこれに頼ったところもあった。途中にボルト3個のビレイ点があったが通過。ヌンチャクを27個使い切った頃にフリーに移行しビレイ点に到着。緊張でのどがからからになり、水を持って上がるように下に伝えた。

     
うさぎの登攀


怪しいスリング、だけど頼らないと


たくさんがうさぎを追いかける形でリード

   
2ピッチ目終了点

2ピッチ目終了点 ビレイ点は狭いレッジで、テンションをかけながらのビレイになった。狭いので5人の収容は無理だろう。うさぎをフォローし、たくさんがリードで登ってきた。やはり3人くらいでいっぱいなので、二人が登ってくるまでに懸垂で降りることした。途中のビレイ点で中継し2回の懸垂をすることにした。まずは途中のビレイ点まで降り、ほんまさんとすえつぐさんを真横から映像と写真で撮影できた。コンデジの映像ですが、臨場感があります。

    
左:垂直の壁から見下ろすテールリッジと雪渓    右:大ハング下の3ピッチ目


うさぎに続いてたくさんがリード

   
うさぎの登攀


最後のフリー

       
すえつぐさんとほんまさんの登攀、懸垂で真横から撮影

   

懸垂下降 残すところ十数mで人工が終わるが、もう時間切れだ。降りましょう。我々のパーティーはシングル1本のために、途中のビレイポイントで中継した。スリンクが古かったので、新しいのをプラスした。たくさんぺーティーは50mダブルなので1回で懸垂。ハングを越えると駆虫懸垂になった。


テールリッジが眼下に見える、今からあそこまで懸垂で降りる、大変だ

   
懸垂して撮影

    
空中懸垂下降

まずは最初の懸垂で2ピッチ目のテラスへ。そして次の50m懸垂でブッシュ突入。ササで足が滑る。立ち木でビレイ。立ち木があるので高度感はわからないが、かなりの傾斜だ。すると、シューーーードン!!!ガサガサと落石。まるで爆撃のようだ。上には誰もいないはずなので自然の落石だろう。谷川ではよくあること。これは避けようがない。そして3回目の懸垂でブッシュを解放され谷のスラブへ。クライムダウンができそうだが、安全優先で懸垂。支点がないのでボルトの隣にハーケンを打ち込む。安易に懸垂したら振られてこけた。斜めの懸垂は注意するべし。5回目の懸垂でテールリッジに乗った。

    
50m懸垂5回でテールリッジへ


懸垂3回目


5回目の懸垂でテールリッジに乗った。

    
テールリッジ末端

中央稜や南陵のパーティーはすでにひけていて、私たちが最終組になった。懸垂で慎重に末端を下り雪渓に立った。登りはアイゼンがなくてもそれほど不安はないが、下りはやはりアイゼンとストックがあると安心だ。何度も振り返りながら雪渓下り、出合に出て終了。最終到達点では全員がそろってガッツポーズが出来なかったのここでガッツポーズ。

      
左:テールリッジ末端の懸垂     右:暮れなずむ一ノ倉沢を振り返る

   
左:ちょっと遅いが出合までもどっていつものポーズ  右:ブナ林が美しい


指導センターに戻ると18時30分になっていた。

林道を3.3km歩き指導センターに戻ると18時30分になっていた。さて今から鈴鹿まで車を500km走らせる。これが最後の核心だ。食事と休憩を入れて、自宅には1時30分に到着した。今回のダイレクトルートは、登攀に関しては「山椒は小粒でもぴりりと辛い」とガイドされているが、核心のピッチに至る前後の行程すべてで、アルパインクライミングの総合力がタメされているようなルートだ。状況判断によるリスク管理、工程管理、登攀技術、ルートファインディング、プロテクション技術、チームワークなどなど、高いレベルの登山力が求められたルートだった。心身の疲労が癒えるにつれ、充実感がじわじわと身体に滲んできた。


You Tubeに映像を投稿しました。
OriginalCVでビデオも作成されるようです。期待しましょう。

| ページ1 | ページ2 |


現在の閲覧数 

2014-6-15 Copyright (C) 2014 k.kanamaru. All Rights Reserved.  home