2012年2月5日 釈迦ヶ岳(鈴鹿) ホーム |
■釈迦ガ岳(鈴鹿)2012年2月5日 N0.648 じんじんさん、うっちーさん、隊長 プロローグ 釈迦が岳の中尾根、いわえる庵座谷左岸尾根は近年、登山道が整備され一般なしている。自身、2009年の秋に鳩峰経由で周回し、特に大陰のガレ付近の紅葉は秀逸であったことが印象に残っている。一般道化されたとはいえ、上部は痩せ尾根が連続し、最後の詰めは大陰のガレを避け樹林帯に逃げて松尾尾根に合流している。さて冬期はどうだろうか。 アプローチ 7時半に朝明渓谷の駐車場に集合とした。今回は男3人のパワフルなパーティーだ。雪に埋まった駐車場には登山者の車が数台とまり、出発の準備をしていた。駐車場の中まで入り込んだ車がスリップして出られなくなっていた。アイゼン、ピッケル、スノーシュー、ロープ、クライミングギアなど、フル装備で出発した。上部でのラッセルが想定され、荷は軽いほうがいいが、必要な装備でもあり、夏季のアルプスバリエーションで14時間行動をするには普段から担いでいた方がいいだろう。 中尾根登山道だが、駐車場からのコースがよく整備され、随所に観光協会の道票が設置され、迷うことなく導かれていく。途中で庵座谷コースと分岐し登山口まで進んだ。登山口から積雪があり、上部でラッセルを強いられることが予測された。P640を過ぎると徐々に積雪が増してきたが、スノーシューを使うまでもない。鳴谷コバまであがると膝くらいに積雪になってきた。スノーシューを装着した方が楽だが、すぐに岩場になるので今度はアイゼンが必要になってくる。装着の仕直しが面倒なのでそのまま進んだ。 突き刺したピッケルに両手で掴んで支点にし、急斜面をラッセルで登って行く。かなりの重労働だが、なんとか前進できる。展望のよい痩せ尾根の岩場に上がると、一気に展望が開けた。稜線の樹林には樹氷がついていて、ちょうど青空が見え始め、ガレの岩場が眼前に迫ってきている。迫力のあるアルペン的な風景は見堪えがあった。さてここからは岩場が連続するのでアイゼンを装着した。ルートは岩場を避けて庵座谷側を巻いている。一つ目の岩場をやり過ごし、二つ目に取り付いてみた。雪と岩の急斜面をピッケルとアイゼンで這い上がりピークに立ってみた。残念ながら乗り越すためには懸垂の必要がある。クライミング装備は私のみなので、クライムダウンで岩場を降りた。もう少し凍りついていればよかったが、それでもアイゼントレーニングにはなった。ピークに立った時、先ほどアイゼンを装着した所まで後続の若い2人パーティが迫ってきているのがわかった。 大陰のガレ さてここからどうするか。たぶんルートは右の樹林帯に逃げ込むようだが、それでは面白くないのでガレを登ることにした。無積雪期は落石が怖いが、雪と氷で固まっているこの時期が狙い目だろう。岩場と灌木帯をトラバースし、雪で埋まったルンゼに入った。かなりの傾斜だが、適度に雪が閉まっており、アイゼンをけり込みながらピッケルを支えに高度を上げていった。ルンゼ上部で岩場に逃げたかったが、岩がもろいのであきらめ、灌木帯に逃げ込むが、激しいラッセルが待っていた。灌木に掴まりながら稜線に這い上がった。 松尾尾根 時計を見ると時刻はすでに12時を過ぎていた。県境稜線の積雪状況が気になるが、とりあえずは釈迦ヶ岳最高点「松尾尾根の頭」までは登りたい。頭はすぐそこに見えているが、どうも嫌な予感がする。予想通り激しいラッセルとなった。距離にすると数十mだが、これが進まない。胸までのラッセルに苦しむ。雪の壁を削りながら徐々に高度を上げるも、足元が崩れてまたもと通り。まさしく3歩進んで2歩下がるを繰り返す。なんとか灌木帯に逃げ込み、やっと頭に到着した。約1時間の激闘だった。松尾尾根の頭は雪に埋もれ、誰も踏み入れた気配はない。風もなく穏やかな天気だ。少し気温が上がったせいか空気の透明度が落ち、コントラストが下がり霞がかかったような風景だ 。お湯を沸かしカップ麺とお握りで空腹を満たした。 さて時計を見ると13時30分を過ぎていた。夏場ならゆったりとした気分で稜線ハイクを楽しむところだが、積雪の状況によっては予想外に時間を消費してしまいかねない。気を引き締め直し、ここまで担ぎ上げてきたスノーシューに履き替えた。 県境稜線 釈迦ヶ岳から羽鳥峰までの県境稜線だが、以外と地形が複雑だ。夏場なら踏み後がはっきりとしているので迷うことはないだろうが、この時期はルートワインディングが求められる。冬場はほとんど歩かれてないようだ。トレースやその痕跡は全くない。曲がりくねった稜線と枝尾根に惑わされることがある。とにかく今年の積雪は格別で、地形を読みながらルートを見極めスノーシューで下った。
猫岳への登りにさしかかると先ほどの大陰のガレが見えてくる。登攀ラインを目で追っていると充実感が満ちてきた。猫岳の山頂でひと息入れる。猛烈なラッセルでかなり体力が消耗したらしく、少し疲労が感じられた。 時計を見ると14時30分だ。日没までには林道まで下りたいので先を急いだ。 白滝分岐まで1時間20分を要した。トレースはここまで上がってきているようだ。ここでスノーシューを外した。林道はすぐ下だ。なんとか日没までには帰れそうだ。 |
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