2011年9月10日19日 稲子岳(八ヶ岳連峰) ホーム |
■稲子岳南壁左方カンテ@八ヶ岳連峰 2011年9月19日 No.625 隊長、うさぎ | ページ1 | ページ2 | プロローグ 稲子岳南壁左方カンテは以前から気になっていたミニアルパインコース。ネットを検索するいくつかのレポートがヒットし、それほどマイナーでもなさそうだ。日程的にはアプローチも含めると1日半の山行となり、ちょうど都合が良くこの中途半端な時間が確保でき、また,天候にも恵まれたので行ってみることにした。 アプローチ 八ヶ岳には何度も足を伸ばしているが,アプローチの関係でほとんどが長野側からの入山となっている。今回は稲子岳ということで,山梨側からのアプローチとなった。自宅から長野側の美農戸までなら3時間30分で到着できるが,山梨側から回り込むと余計に1時間以上の時間がかかる。鈴鹿の自宅を午後遅く出発し9時前にゲート前の駐車場に到着した。ゲート前には10台程度の駐車が可能で,空いた所に車を入れた。周辺の道路にも少し駐車ができそうだ。車のライトを消すと漆黒の闇となり,通りかかる車もなく静かな夜となった。車の後部座席のシートをフラットにし,布団を敷いて横になった。 しらびそ小屋 車泊 4時30分のアラームで目を覚ます。うとうとしながら布団の中で,空が白むのを待った。ここの標高は1500mなので,朝方少し冷え込んだが,ゆっくりと休むことができた。登山口の駐車場の朝は,出発する登山者や到着する車で慌ただしくなるのが常だが,今朝のこの登山口は静かで,急き立てられることもなく,ゆっくりとしたスタートとなった。 しらびそ小屋 さて,ゲートをくぐり林道を少し進んで登山道に入った。林床にシダが茂り,整然と立ち並ぶシラビソの木立がきれいだ。始めて歩くルートなので新鮮味が感じられた。林道を縫うように直線的に徐々に高度を上げていく。みどり池までは標高差約500mの登りで,今は使われていない作業用の軌道をうまく利用したコースだ。軌道ということもあり,傾斜も緩やかであ大変歩きやすい。谷も美しく,渓流の音を聞きながら,清々しい朝の空気に包まれた森を歩く。今日の行程は時間的にもゆとりがあるので,途中で適度に小休止を入れ,1時間20分でみどり池に到着した。宿泊客が小屋前のベンチでくつろいでいた。通年営業ということで,冬場に暖をとる薪が小屋の軒下に高く積まれていたのが印象的だった。小屋前の湖畔のベンチに座り,ゆっくりと朝食を摂った。 分岐からバリエーションへ さてここからバリエーションに入って行く。呑気なハイキング気分はここまでだ。事前の調査では,左方カンテへの取り付きには決まったルートはなさそうだ。歩きやすい登山道をうまく利用した方がいいので,中山峠に向かって歩き始めた。徐々に高度を上げていくと,樹間から見え隠れしていた南壁が近付いてきた。20分ほど歩いた所に,意味ありげな赤テープが目に入った。踏み跡らしきものは確認できないが,目測で壁を目指し樹林に踏み込んだ。本能的に明るい方へ足が進みがちになる。しかし,明るい所は灌木が育つところでもあるため,不用意に突っ込むと藪こぎを強いられることになる。 最初の核心 本日,一回目の核心部は藪の中だった。もう少し左から回り込むとよかったが,見事に藪の中に突入した。藪だけならまだしても,苔むした大岩が転がる谷の藪こぎに難渋することになった。ここを脱出すると赤テープを発見,どうやらルートは大きく外れていないようだ。やがて樹林の草付き急斜面となり,標高差100mほど登って岩壁基部に到着した。カンテ西側のルンゼの基部に出たようで,大小の岩屑が堆積する不安定な所だった。 左方カンテ取付点 さて取り付きはどこだ。もう一段上がり岩壁の際を探すと,目印の赤いハーケンが見つかった。想像していたよりも狭いテラスで,木には赤いテープの目印が付けてあった。先行するパーティーもなく,後続もいないので,藪こぎと急登で消耗した体を休ませ,ゆっくりと準備にかかる。1ピッチ目 さて,1ピッチ目だ。見上げると紺碧の青空が天まで抜けている。風があるので一枚レイヤーをはおり,登攀具を身に付けた。テラスには支点用に真新しいリングボルトが1本打たれていて,少し上には赤いハーケンと左手には古いハーケンが残置されているのが確認できた。木立でビレイをとり赤いハーケンにクリップして登攀開始。青空を見上げながらの登攀は気分がいい。このルートは5ピッチとも?級のルートだそうだが,部分的にはそれ以上のところがあった。この1ピッチ目は約30mで,少し凹角のフェース。出だしにランニングをとった後は,終了手前で岩角にカラビナをかけてランニングをとっただけだった。 2ピッチ目 凹角からディエードル(本を開いて立てた様な形態の岩壁)の25m。途中,錆びたアンカーボルトでランニング。テラスは落石の集積場となっていて,不用意に歩くと落石を誘発するので要注意。ビレイ点はリングボルトだったと思う。また大きい岩が動くところもあり,以後ホールドに気を配ることになった。右手のリッジには岩が乗っていて不安定そうなので,ステミングで教科書通りのディエードルを登る。 3ピッチ目 明るいテラスから凹角右側のチムニーを左に抜ける20mのピッチ。チムニー内はスタンス,ホールド心配なし。ただ,身体が小さいと不利かも。またチムニーの出口が少し微妙かな。うさぎが少し戸惑っていた。これを出たところにリングボルトがあり,そこでピッチを切った。しかし少し先を見るとリングボルトが二つ並んでいて,結果としてはそこまで進んだ方がよかった。 | ページ1 | ページ2 | |
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