■池木屋山(台高)2009年12月13日 No.519 uttyさん、隊長 | ページ1 | ページ2 | プロローグ 池木屋山は、ハイキング気分で登れる山ではない。歩行距離、累積標高差、危険箇所などの点から、三重県内の山を相対に評価すると、体力度、危険度のレベルは高い。過去に死亡事故も数件発生しており、H19年の道迷い遭難者はまだ発見されていない。 アプローチ 位置的には台高の山深いところにあるが、アプローチの林道も整備されているし駐車場もある。また険し渓谷には、階段や桟橋が設置されていて、高滝までならハイキングの装備で散策できる。今回の参加者は、uttyさんと私の二人で、8時過ぎにスメール集合とした。1台の車で登山口に向かった。蓮ダムに沿って走り、蓮川を遡っていく。朝の猟を終えた猟師さんが猟犬と道ばたで休憩していた。鹿を一頭しとめたらしい。江馬小屋谷の分岐を左に見送り、次の分岐で宮の谷に入っていく。いい昨日の大雨で、落石等の災害が心配されたが、問題なく終点まで入ることができた。駐車場にはすでに車が四台駐めたれていた。 宮の谷 先にも書いたように、高滝までのルートは、桟橋やハシゴなどが設置されていて、労せずにハイキング気分で歩くことができる。深く刻まれた渓谷には、大小の滝、犬飛び岩、鷲岩、六曲屏風等の見所もあり、渓谷美を堪能できる。コースは谷の右岸につけられている。急ぎ足で歩かずに、じっくりと歩きたい区間だが、日没の速いこの時期は帰着時間が気にかかりどうしても早足になってしまう。 長い桟橋 蛇滝を過ぎると長い桟橋の区間がある。谷を見下ろしながらの桟橋歩きも悪くない。平成12年に設置された桟橋だが、痛みも少なくしっかりとしている。この桟橋がなければ、増水時は渡渉に苦労するだろう。 休憩所 登山口から高滝間の中間地点の谷左岸に、休憩所が設置されている。天候の急変やけがなどをしたときには、ありがたい存在となるだろう。小屋はきれいに整備されている。これを過ぎる赤い橋を渡ると二つの谷(宮の谷と水越谷)の合流点に出る。ここは風俺の滝の分岐点にもなっている。コースはここから谷の右岸に移る。暖冬のせいか、アケボノツツジが季節外れのピンク色の花をつけていた。 高滝 何カ所かのハシゴを登り20分ほどで高滝に到着した。高滝は県内でも屈指の落差65mの直瀑で、、一昨日の大雨で勢いづいており、大きな音を轟かせていた。迫力ある滝を見ながら10分ほど休憩した。さてここから、この高滝とその上の猫滝を巻かなければならない。 難所 高滝と猫滝は谷の左岸から巻く。固定ロープに助けられながら、ぐいぐいと高度を上げていく。浮き石も多く滑りやすい。落石に注しながらジグザグに登っていく。傾斜がゆるんだ所で向きを変え、滝上部のトラバース道に移る。難所は途中の一枚岩の乗越地点だ。過去に何人かの登山者が命を落としたところだ(岳人参照)。わずか3,4mのところに固定ロープが何本も下がっている。雨に濡れると滑りやすくなり、とっさにロープをつかんでも体は支えきれないだろう。ここで足を滑らせると滑落は避けられない。そんなことを考えると、一般的な登山道にもたくさんの危険箇所が隠れているだろうが、過去の履歴を見ると事故の起こりやすい所は絞られてくる。 猫滝 高滝の上部をトラバースするとすぐに猫滝が見えてくる。先ほどの高滝と比べると落差は小さいが丸い釜を持ったきれいな滝だ。、登山道から少し下ると滝がよく見える。以前は降りるのが難しかったが、踏み後がしっかりとしてきたようだ。この滝も固定ロープを使って左岸から巻く。 ドッサリ滝 滝の上部へ出ると谷が浅く明るくなってくる。渡渉で右岸に写移り、緩やかなコースになる。再び渡渉して左岸に移りしばらく歩くと今度は、ドッサリ滝の爆音が聞こえてくる。ドッサリ滝は末広がりの斜瀑で、飛沫が周囲の岩を濡らしていた。谷に降りて一本入れることにした。 奥の出合 ドッサリ滝は左岸から大きく巻く。巻き道は、谷のザレ場と尾根の岩場の二カ所があるが、どちらも歩きにくい。木の根や岩に捕まりながら登った方が醍醐味はあるだろう。これを過ぎるとまた谷は緩やかになりやがて、奥の出合に到着する。ここは谷の合流地点で、国土地理院の地形図では右手の尾根を登ると、今回帰路に使った宮の谷の左岸尾根の標高点1222に出るルートが記載されている。少し上部を見てみると、倒壊した作業後野の屋根の残骸が見えるが目印テープなどは見つからなかった。下から見る限りは、明るい落葉樹林の尾根のようなので、今後は使うことがあるかも知れない。 尾根の急登 さてここからが本格的な登りになる。奥の出合の標高が地形図を見ると817mで池木屋山の標高が1395.9mなので、標高差が400m以上ある。古い標識と目印テープで尾根末端の登り口を確認し、まずはジグザグを切って尾根を乗越して、山頂から直接降りてきている尾根に乗る。中盤の急登を凌ぐと、トウフ岩の俗称を持つ特徴的な尾根の露岩にたどり着く。ここで休憩を入れることにした。ミズナラやモミに混ざって、ブナ、ヒメシャラ、シナノキが現れる。この辺りの一般的な樹林の構成種だが、それに混じって自生のコウヤマキの巨木が見られるのは珍しい。コウヤマキは、そはやき要素の植物として取り上げられることが多い。 池木屋山 登り始めて3時間が経過し、そろそろ足腰に疲労が溜まってくる頃だ。最近は低山徘徊を続けてきたので、夏場のアルプステント山行と比べると、少し足腰の筋力が落ちてきているようだ。しかし登るにつれて徐々に傾斜がゆるんできており、気がつくとブナ林の領域に入っていた。樹間から迷岳、白倉山、古ガ丸山の展望が開け、気分が高揚してくる。迷い岳へ続く稜線が近づいてくると山頂はすぐそこだ。 | ページ1 | ページ2 | |
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