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笠ヶ岳(北アルプス)2009年8月23日 No.503 隊長
〜笠ヶ岳へのささやかな挑戦〜
新穂高温泉有料駐車場(5:01)〜(5:46)笠ヶ岳分岐(笠新道登山口)(5:50)〜杓子平(8:22)〜稜線分岐(9:46)〜笠ヶ岳山荘(10:44)〜(11:00)笠ヶ岳山頂(11:15)〜(11:25)笠ヶ岳山荘(12:00)〜稜線分岐(13:03)〜(13:55)杓子平(14:00)〜笠新道登山口(16:00)〜駐車場(16:46) 累積標高 +-2100m 歩行距離 22km カメラα900  Sony24mm レンズタムロン28-300mm コース 
 今回与えられた日数は1日。さてどこにするか。夏の花は最盛期を過ぎているので、花にこだわる必要もないだろう。歩きたいだけなら鈴鹿の山でもいいがまだ暑そうだ。そこで予てから懸案だった笠ヶ岳日帰り登山をすることにした。笠は今回で、4度目となった。登山スタイルは普段、テント泊縦走だが、たまには軽量ですいすい歩きたいと思う。このスタイルだと時間短縮が図れるし、スタミナも長時間持続させることもできる。特にスタミナだが、20キロの装備で歩くよりもかなり温存できることがわかった。夜間も歩けば、なかり距離を延ばすこともできそうだ、そこまでやるとまた、登山の目的が違ってくる。日の出ととも出発し日没とともに帰ってくることで制限をかけることにした。

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稜線 やっと稜線まで上がった。ここの標高は2760mあり、本日昇らなければならない標高の大部分を稼いだことになる。気分的にも楽で、急ぐこともなくのんびりと稜線歩きを楽しむことにした。縦走路から縦に見る笠ヶ岳の構図は、稜線が幾重にも重なり笠ヶ岳を引き立ててくれる。小ピークを乗り越すごとに何度もカメラにおさめた。

   
新穂分岐      杓子平のカールを俯瞰する


縦走路から見る笠ヶ岳

   


抜戸岩からみる笠ヶ岳

播隆上人 稜線の東側は鋭く切れ落ち穴毛谷へと吸い込まれている。反対お西側は、緩やかな斜面でハイマツの緑の絨毯が美しい。抜戸岩を通り抜けると山頂がぐんと近づく。播隆平もカールの地形のようで、池がひとつある。この山への初登頂者は、仏像の彫刻で有名な円空上人と伝えられ、1683年のことのようだ。しかし一般的には、新田次郎の小説「槍ケ岳開山」で知られるようになったのではないだろうか。播隆上人が登頂したのは1823年のこと。そのときの様子は小説「槍ケ岳開山」で詳しくかかれているが、深田久弥の「日本百名山」57笠ヶ岳でも少し触れられている。「同年8月5日、播隆を先達として同行十八人が登頂を極めると、ご来迎が雲の中から浮かび、阿弥陀仏が三度出現したので、一回随喜の涙をこぼして奉拝した」小説では確か、過って刺殺した愛妻「おはま」の姿が浮かび上がった。岩松(後の播隆上人)はおはまへの未練と煩悩に苦しみ、罪の償いを厳しい修行に求めた。確かに厳しい山行においては、未練や煩悩が入り込む余地がない。


播隆平

 


山頂より西方、白山が雲海に浮かぶ


山頂から見る播隆平と稜線

笠ヶ岳 小説のことを思い出しながら歩いているうちに、笠ヶ岳山荘に到着した。朝出発の登山者を送り出した後で、その日の登山者が到着するにはまだ早く、小屋はのんびりとした雰囲気であった。ザックを下ろし少し休憩してから、山頂を行くことにした。山頂は小屋のすぐ上で10分ほどの距離だ。何度か笠ヶ岳の山頂を踏んでいるが、これほど天気が良かったのは初めてだ。山頂に到着には誰もいなく、これが2900mの頂かと疑うほど風もなく穏やかだった。岩に腰を下ろしパノラマの景色を楽しむ。笠ヶ岳は北アルプスの西の端にあるので、全域を見渡すことができる。西を見ると白山が雲海に浮かんでいた。何度見ても飽きることが眺望だ。朝から高曇りの状態だったが12時になり、雲がとれて青空が広がりだした。やはりアルプスには青空がよく似合う。15分ほど山頂でくつろぎ小屋へ降りた。


笠ヶ岳山頂

  
左:薬師岳と黒部五郎岳          右:立山連峰

 麺類が食べたくなったので注文したが、残念ながら丼物しかできないようだ。小屋のスタッフも昼食の時間らしく、外のテラスで大盛りのカレーを食べていた。こちらはパンとおにぎりで簡単に食事を済ませ小屋を後にした。


直下より山頂を見上げる

登山いろいろ 午後からは青空が広がってきたので、眺望を楽しみながら稜線をゆっくりと歩くことにした。チングルマやミヤマダイコンソウの花が咲き残り、秋の花はミヤマアキノキリンソウ、ミヤマリンドウがよう咲いていた。約1時間かけて稜線分岐まで戻った。その間何度も笠が岳を振り返りカメラにおさめた。そこでは年配の男性が二人眺望を楽しんでいた。お一人は、笠ヶ岳への日帰り登山に何度も挑戦しているが、なかなか果たせず今日も、抜戸岳止まりだと行っていた。その人は早月尾根にも何度か挑戦しているようだった。あなたも今日は日帰りのようだけど、「自分への挑戦とちがいますか」といわれ、「その通り」だとうなずいた。「来週は早月に行こうと思うんだけど」というと、「あなたなら日帰り往復はできるよ」と言ってた。それは来年挑戦するということにして、剱に関しては今年、テント泊でじっくりと楽しむ計画である。今年は俺はすごい距離を歩けるんだと自慢するわけでもない、「自分への挑戦」、結果はどうあれ、いろいろな登り方があるなと思った。
 山と渓谷の9月号に、三重県伊勢市の東浦さんの特集が組まれていた。今年の六月に9000日連続登山を達成しそうで今は、10000日連続登山達成に向け取り組んでいる。御年84歳だ。東浦さんにとって登山は人生そのものなのだろう。それを思うと自分の登山は、まだまだ序の口だと思った。


笠ヶ岳を振り返る

 先達は「日没までに降りればいいので」とのこと。「それでは」と先に失礼し1800mの降下にはいった。50分ほどで杓子平の南端に到着すると女性4人組が休んでいた。どうやらkの人たちが登りの最後尾らしい。「私たち小屋まで到着できるでしょうか」と質問されたが、あなたたちのことは私にはわかりません。「遅れるから」と小屋に電話しといたからね。登るのが遅いとわかっていたら「もう少し早く登り始めなさい」と言いたかったが、「がんばってください」と励ましの言葉を贈った。


笠ヶ岳を振り返る


杓子平のカール、青空を背景にハイマツと岩がはえる

 杓子平からは林道までの急降下に入る。登るのも辛いが下るのも足場をしっかりと確認しながらでないと不安だ。一歩一歩高度を下げる作業が2時間続く。下りなので登りほど体力は使わないが、単純な作業の繰り返しなので集中力の持続がストレスとなり蓄積してくる。上部で登山道を整備をする人二人と出会ったが、それ以後は誰にも会わなかった。今日に限って熊鈴もストックも持ってこなかったので、手をたたいて音を出しながら下った。ぴったり2時間で林道に降り立った。時計を見ると4時だ。駐車料金は12時間を超えるとまた500円アップするがどうやら12時間以内で収まりそうだ。林道を歩き17時前に駐車場まで戻った。 完

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2009年8月24日 Copyright (C) 2009 k.kanamaru. All Rights Reserved.  home