■大天井岳、常念岳(北アルプス)2009年7月19日20日 No.499 じんじんさん、隊長 プロローグ ぱっとしない週末の天気予報に、山域と日程を決めかねていた。梅雨明けが間近いこの時期は、梅雨前線の位置や勢力、それに移動性の低気圧の動きを予測することが肝要だ。今回は二日目の20日の祝日は移動性の高気圧に支配されるようなので好天が期待できるが、問題は初日の日曜日だ。前線の接近に伴い梅雨前線が北上し、日本海を低気圧が通過していくようだ。日本海に近い北アルプスは低気圧の影響を強く受けやすく、南アルプスは前線の影響を受けることになる。私自身単独で、南アルプスの聖岳を計画していたのだが、じんじんさんから燕、大天井、常念、蝶の話が舞い込んできた。車の移送のこともあるので、この話に乗ることになった。 アプローチ 今回は縦走ルートになるので、登り口を中房温泉、下山口を三俣に設定した。体力や天候など、条件さえよければ燕岳から蝶ケ岳までの縦走を予定したが、蝶までが駄目なときは常念からの下山が考えられるので、降口を一の沢ではなく三俣とした。二人とも仕事やら雑用があるので、集合時間を三俣に19日に4時とした。18日に土曜日は休日勤務で自宅に帰ったのが18時を過ぎていた。食料を買い出し準備をして自宅を出たのが20時だった。自宅からは23号線を北上し、みえ川越ICで高速道路に入る。通常料金だと長野道豊科ICなでが6950円だが、高速道路特別割引で1000円だ。かなり得した気分になった。途中の土岐あたりで先着のじんじんさから、「三俣までは通行可能で、駐車場の入り口あたりに車を駐め」と電話が入った。、三俣までは豊科ICから20キロ弱だ。7年前に一度利用したが、道路状況などはほとんど記憶から消えていた。しかしアプローチとしては比較的楽だったことは覚えていた。雨に降られることもなく予定通り0時過ぎに三俣の駐車場に到着し、後席をあげて横になった。 中房温泉へ 車の屋根をたたく雨の音で目が覚めた。時計を見ると3時30分だった。コンビニで買ったおにぎりを簡単に食事を済ませてから、じんじんさんの車に乗り込み、登山口の中房温泉に向かった。三俣から中房温泉までは距離計算で約30キロ、車で約1時間の行程だ。連休の中日だが、雨なので多少の駐車スペースはあるだろうと思っていたが、どの駐車場もほぼ満車だった。なんとか最上段に駐車場に空き見つけ車を入れることができた。燕岳はアルプスの山岳でもあり、アルプス表銀座の登り口でもあるので人気が高い。 登山口 雨はやむ気配がない。レインウェアーを着ての出発となった。登山口はトイレ待ちの人や準備をする登山者で賑わっていた。ここはアルプスの3大急登といわれるルートで、自身三度目の登山となる。過去二度はいずれも日帰り登山だった。昨年はコマクサを見に北燕まで行き、好天に恵まれ大変いい思いをしたことが思い出される。しかし初回は10月の紅葉の時期で、天候の急変に白馬岳で遭難が起きたときだった。風雪の中、意を決して山荘から燕山頂を往復したことが思い出される。レインウェアーを着ての出発となったが、さて今回は何が待ちかまえているのか。 ベンチ 最初の200mの登りで体が温まり第一ベンチに到着した。 「ぎゃーぎゃー」と小猿が大騒ぎしていた、どうしてだろうか。雨にもかかわらずベンチを空ける人や到着する人で賑わっていた。レインウェアーの素材はゴアだが、放熱を妨げるので蒸し暑い。風がそれほどないので上着を抜いで傘に切り替えた。ひたすら樹林の登りが続き、約30分間隔で置かれたベンチに各駅停車しながら高度を上げていった。何合目という表現はありきたりで、どこの山へ行ってもお目にかかるが、ひと昔前ならベンチという表現はしゃれていたのかもしれない。 合戦小屋 登りだした時間には時折、日が差し込むことがあり、天候の回復に期待を持たせてくれたが、高度を上げるにつれて、どんどん天気が悪くなり、風も強くなってきた。合戦小屋に到着したときには名物のスイカよりも、温かいうどんがほしくなった。スカイもうどんも共に800円。さてどちらを食べたか?答えは写真の中にある。 合戦小屋の標高は2400mあるので、これを過ぎると森林限界に入る。ジグザグに斜面を登り三角点2489に出る。普段なら稜線ごしに槍の穂が見え出す頃だが、空を見上げると鉛色の雲が足早に駆け抜けていくのが見えるだけだ。とりあえずは緩やかになった尾根を燕山荘をめざして歩き、11時過ぎに小屋に到着した。 結論としては、早く大天井に到着し、テントで悪天候をやる過ごした方がいいだろうと判断した。所が稜線の風雨は半端ではなく、4時間の試練が待ちかまえていた。
大天荘 小屋の中は暖かく居心地がいい。この時点で設営は諦め、素泊まりを申し込む。食事付きなら9000円、素泊まりは4500円だった。悪天候のために昨日から足止めをくらっている登山客に加え、常念と燕からの登山客を受け入れ、小規模の山小屋は人で溢れていた。割り当てられた区画では狭くて休めそうにないのでとりあえずは談話室で消灯まで過ごすことにする。衣服を乾かすためにストーブに集まり、山談義に花を咲かせていた。同じテーブルについた、仙台から着た単独のおねえさんと意気投合した。テント泊の予定が悪天候で断念したこと、中房から同じルートをたどってきたことなど、同じ境遇であることにお互いが共感し、次の日は行動を共にすることになった。9時の消灯で談話室が空いてきたので、許可をもらいマットを敷いてシュラフで休むことにした。ただしトイレに行く人の通り道になっているので、足音で何度も起こされることになったが、それでも9時から3時過ぎまで休むことができた。
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