■国見(青岳)(鈴鹿)2009年1月11日 No.478 じんじんさん、隊長 駐車場に8時過ぎに到着すると、中型バスと乗用車が数台停まっていた。中型バスは団体登山者のもので、20人ほどが釈迦ヶ岳に向かったらしい。この季節入山者は、山慣れた人が数人入る程度だが、登山基地らしく今日は、ささやかに賑わっていた。空を見上げる降雪をもたらすどんよりとした雲が、次々と通り過ぎていく。予報通りに午後から天候が回復することを祈り駐車場を後にした。 団体さんはどうやら、羽鳥峰経由で釈迦に向かったらしく、林道の雪がよく踏まれていた。伊勢谷小屋界隈も、この時期には利用者が居ないらしく閑散としていた。林道の根の平峠分岐を入るとトレースは数なくなった。どうやら昨日のトレースのようだ。スノーシューをはくこともなく砂防堤の上までくると、テントが2張りあり、中でくつろいでいるようだった。冬山訓練だろうか、それとも、冬山を楽しんでいるのだろうか。せめて根野平峠くらいまで上がればいいのになと思った。 先ほどからのトレースの主はどうやら、県境稜線を水晶岳の方に向かってようだった。峠の広場に出ると、キノコ岩あたりの稜線を見上げることができる。びっしりと霧氷がついていて綺麗だ。時折青空が覗くので、このまま愛知川に降りるか、それとも国見を目指すか気持ちが揺らぐ。結局、愛知川に降りれば青空もなく、霧氷も見られないだろうと思い、愛知川へ向けて少し歩き出したが思い直して、進路を県境稜線に戻した。さてそれはいいが、積雪もありノントレースなので難易度が高そうだ。冬期、国見へ向かったのは2006年のことだった。そのときも確か、国見までは届かず、途中で引き返している。そのときと状況は同じようだが、今回は単独でないのが強みだ。とにかく樹氷のあるところまで行こうということど歩き始めた。 登り初めは傾斜が緩やかだが、それもつかの間で、標高差150mの急坂が始まる。雪質はさらっとしていて気持ちいいが、掘割りの登山道に入り込むと雪にはまり動けなくなる。なので吹きだまりを避けて登るが、灌木が邪魔をして歩きにくい。とにかく今日一番の難関は1041の尾根に乗るまでだ。痩せ尾根のところは風下側に雪庇ができてて、近寄ると危険なのでルートをかえる必要がある。登りが一段落すると綺麗な霧氷がつきだしている。時折青空が覗き、霧氷が青空に映える。苦労して登ってきた甲斐が合ったなと喜ぶ。1041に立つと展望が開け、霧氷をつけて白くなった山が白く輝いていた。 県境稜線の見所は、1041から少し進んだところにある巨石が積み重なった岩場だろう。岩場といっても乗り越す必要はなく、石の上に乗ると展望が楽しめるということだ。西を見る真っ白に雪化粧した雨乞岳が雪雲に見え隠れしている。この山脈を境に西と東とではずいぶん天候が違うようだ。 この岩を越えると山頂の一部となり概ね標高は稼いだことになる。国見岳山頂までは標高差にしてあと、100mほどあるが、青岳も含めてこの辺り一体は山頂の一部と見なすことができる。緩やかな広がりがあり、スノーハイクには絶好の場所だ。もちろんトレースなどなく、スノーシューで新雪を踏んで歩くと気持ちがいい。 青岳を目指して登ってきたわけではないが、標高差100mの所にある国見岳を往復する時間がないだろうと判断し、今日はここを最終到達点とした。国見岳は、どこにでもあるような山名を冠され、御在所岳の一部と見なされる向きもあるが、この青岳から見ると堂々たる山容をしている。風は避けられないが、お腹もすいてきたので、展望を楽しみながら昼食にする。お湯を沸かそうといつものMSRのガソリンストーブに着火しようとすると、ライターのガスが少なく着火できなかったので、じんじんさんのガスストーブで着火した。かなりの低温でも性能を発揮するガソリンストーブだが、着火できなければ用をなさない。今日は気温が低く、じっとしているとどんどん冷えてくる。正午過ぎだが気温は氷点下をキープしているようだ。 滋賀県側から寒気がどんどん入ってくる。雪雲が足早に鈴鹿の山を駆け抜けていく。その間隙を縫って青空が覗き、そのときがシャッターチャンスだ。遠くに見える竜ケ岳と静ケ岳が一際白く輝いている。この辺りの南部の山と比べると、白さが少し違うようだ。 縦走路を戻りキノコ岩に立ち寄る。スノーシューをはいたままだったが、なんとか岩の上に乗ることができた。根の平峠と水晶岳が一望でき、展望台としても優れている。 帰路はブナ清水経由で降りることにした。1081への鞍部から降下を始める。スノシューでの下降に打って付けの傾斜だ。伊勢谷と腰越谷の間にあるカクレ谷の源頭部は、展望が大変良いところだ。やはり釈迦ヶ岳を撮影するにはここだろう。ブナ清水へは決まった登山道はないが、近頃は夏場だと踏み後がはっきりとしてきていて、登山道化しつつあるようだ。しかし積雪期は積雪状況を見ての降下となるが、概ね標高点946を目指して降りればいいだろう。尾根からブナ清水まではブナが多い。鈴鹿山系においては三重県側のブナ林は希少だ。予測通りピンポイントでブナ清水に上に出た。 ブナ清水からは谷筋のコースになるので、スノーシューをはいていると歩きにくい。途中まで降りると踏み後がここまで来ていた。もう少しがんばればブナ清水なのに、どうやらここで引き返したようだ。そのまま下り伊勢谷コースに合流して帰路についた。完
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