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2008年12月13日 藤原岳(鈴鹿)

 

藤原岳(鈴鹿)2008年12月13日 No.474 りん、つくだに、隊長
〜長大な孫太尾根から藤原岳へ〜
自分の中で錆び付いているルートの確認に、リンちゃんとつくだにさんが付き合ってくれた。孫太尾根から県境稜線、それから藤原岳へとトレースした。数年前にはよく歩いていたが、月日がたつとだいたいの雰囲気しか覚えていない。落ち葉の季節なので踏み跡も薄くなっていた。孫太尾根は鈴鹿の中でも一二を争う長大な尾根。鈴鹿の遠見尾根やと言いながら、汗を流して登った。
新町のお墓の駐車場(8:35)〜神武祠(9:01)〜展望岩(9:15)〜丸山(10:12)〜草木(10:56)〜965独標(多志田山)(11:43)〜(12:20)藤原展望丘(12:55)〜避難小屋(13:18)〜8合目(13:50)〜大貝戸登山口(14:50) 累積標高+1175m-1210m 歩行距離10km カメラ α900 レンズ TAMRON SP 28-75mm F2.8 ミノルタ 100-300mm

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 6年ほど遡り、前回歩いた記録を見てみた。セツブンソウやフクジュソウ目当てに登っていて、965独標を往復していた。先週歩いた遠足尾根。久しぶりにこの山域に入り、孫太尾根のことが急に気になりだした。日曜日は天気が崩れるのでチャンスは土曜日。幕営グループに参加者を募るとリンちゃんとつくだにさんの2名が参加。目的が孫太尾根歩きだったので、藤原山頂はおまけのようなもの。従ってどのように帰るかまでは考えていなかった。治田峠経由でもいいかと思ったが、リンちゃんの案で帰路は、楽な大貝戸ルートを使うことにした。まずは全員の車で藤原岳大貝戸の登山口に、それから私の車で孫太尾根の取り付き点になる新町の墓地の駐車場に向かった。結局8時出発を予定していたが、車の回送のために30分ほどの時間を費やした。夏場なら日没が遅いのでいいが、この時季の30分は貴重だ。

 

 集落の外れに墓地があり ここが孫太尾根への実質上の登山口になっている。もう一カ所は前回誤って下山した貯水池の林道で、林道の路肩にちょっとした駐車スペースがあったと思う。単独の場合は、三岐鉄道伊勢治田駅が利用でき、西藤原ー治田を鉄道を使えば 周回ができる。墓地前の駐車場は誰もいず閑散としていた。花の季節ならともかく、この時期にこの尾根を歩く登山者はあまりいないだろう。6年前の記憶がはっきりとしていない。少し植林帯を歩いてから神武祠への急坂があったことは覚えていた。あまり利用していないのか踏み跡は不鮮明だが、目印テープを辿れば迷わないだろう。青川側の急斜面をひと登りすると、孫太尾根の小さな鞍部に出る。神武祠(387独標)は少し東のコブの所だろう。ここからは尾根伝いの道になるが、植林帯は歩きやすいが、尾根筋はごろごろとした石灰岩とコクサギなどの灌木に悩まされる。常緑低木では他に、ユズリハ、シキミ、ヒイラギ、イズツゲなどが目についた。


先週降った遠足尾根 展望岩から

 植林帯を抜け最初の急坂を登ると展望のよい岩場に出る。青川側が切れ落ちていて、眼下の青川キャンピングパークや対岸の大鉢山、遠足尾根か静ヶ岳、銚子ケ岳が一望できる。地形図を見ると谷筋に一本波線のルートがある。後ほど「鈴鹿の山と谷2」に書かれている「牛みち」について触れてみたいが、古くからの産業・生活道として使われていたものと思われる。従って尾根筋は生活とは関係のない登山者が使っているのだろう。とにかく石灰岩の浮き石と灌木の歩きにくいルートが丸山まで続く。

  
ユキノシタ科スグリ属ヤブサンザシ           静ケ岳と銚子岳

 落葉の樹林にあって、赤い実はよく目立つ。図鑑で調べると「ヤブサンザシ」のようだ。おいしそうな実だったのでつまんでみたが、苦みがあってうまくなかった。別名「キヒヨドリジョウゴ」だそうだ。そういえば実をつけた様子が似ている。確か実には毒があったか。いずれにしろ、鳥も食べない実らしい。この尾根の植生もおもしろく、下部から順に、カシ、モミ、ブナと登るにつれて変わっていくのがよく分かる。

「鈴鹿の山と谷2」から引用すると、「孫太尾根を歩く人が少なくなって久しいが、青川を挟んで対岸の遠足尾根も同様、これだけの尾根を登山者自身が見捨てる神経が解せない。遠足尾根を登り、龍ヶ岳から静ケ岳、銚子岳、治田峠を経て孫太尾根を降るようなダイナミックなコース設定をこなす人が現れても良さそうなものだと思う」と牛みちとコバ・追分が結ばれている。確かにダイナミックで魅力が満載されたコース設定だと思う。しかし今は、登山者が少ないのが現状だ。いずれの尾根も取り付き点に課題があるようで、マイカー登山が主流の昨今を考えると、登山者が少ないのもうなずける。


この尾根はケヤキが多い


灌木と岩に苦戦

ガレ場の急坂をこなし登りついたところが丸山650だ。視界のない樹林帯で、一本の木に黄色のプレートが気につけられている。やせ尾根の小ピークなのでプレートがなくてもわかるだろう。


丸山 650m

 丸山から少し進むと、「コバ」とか「追分」とか言われるところだ。県境稜線の西側の蛇谷でとれた銀鉱石を新町の精練所に運び出すために使われていた「牛みち」の尾根分岐点になるところだったようで、鉱山時代には大勢の山子や牛馬が集散した場所と思われると、「鈴鹿の山と谷2」に書かれてる。ところで「牛みち」だが、同じく「鈴鹿の山と谷2」によると、「牛みちがどのルートを通っていたがを推測すると、まず蛇谷から人の背で孫太夫山(県境稜線付近の小ピーク)に引き上げられ、そこから牛馬の背で県境尾根の蛇谷側を行き、965m独標は登らず、三鉱谷側をトラバースして孫太尾根に乗り、草木を経て追分に達したと思われる。独標に登らないのは、あまり高低の激しいコース設定は牛馬の運送に適さないからで、岩のやせ尾根も同様で、牛みちも一定の条件を満たす必要があったのだろう」と書かれている。確かにこのコバから965独標の手前までは、道幅のある快適な尾根道が続いている。


左:965独標  右:藤原岳展望丘

 草木は、丸山から40分ほど歩いたところにある尾根上の小ピーク二つからなる峰だ。石灰岩の露岩が多く、ごつごつした感じだ。樹間からはこれから向かう965独標と藤原岳の南端が見え隠れする。徐々に近づいてきてはいるが、まだまだ距離があり、なかなか気を緩めることができない。しかしこの草木から独標までは歩きやすく大変雰囲気のよい二次林が続く。ブナの木がちらほらと見られだすのもこのあたりからだ。

   
ブナ            コナラ

 鞍部には大きなブナの木があるが、落書きの傷がつけられているが非常に残念だ。独標へはここから200mの登りとなる。歩きやすさにつられて、トラバース道「牛みち」を少し進んでしまうが修正した。965独標は「多志田山」と呼ばれるようだ。孫太尾根への分岐を示す簡単なプレートはあるが、山名プレートはなかった。さてここからはまた、標高差200mの登りとなる。3時間以上歩いているので少し疲れが出始めたが、本日最後の登りということで気合いを入れて登る。登山道は稜線の少し西側に付いているが、稜線の方が展望がよいので、忠実に稜線を辿り、麓からでも見えるが、藤原岳南端ガレの部分にでた。


県境稜線に合流し藤原岳を見上げる

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2008年11月23日 Copyright (C) 2008k.kanamaru. All Rights Reserved.  home