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2008年9月12、13,14日 北穂高岳、涸沢岳(北アルプス)

 

北穂高岳3106m、涸沢岳3110m(北アルプス) 2008年9月12〜14日 No460 隊長、うさぎ
〜雨とガスの穂高稜線は緊張の連続〜
12日 自宅(4:00)〜(7:45)平湯アカンダナ駐車所(8:00)〜上高地(8:35)〜明神(9:20)〜徳沢(10:10)〜氷壁のモデルのケルン(11:16)〜(14:30)屏風のコル(14:40)〜涸沢ヒュッテ(15:38)
13日 涸沢野営場(6:20)〜北穂高岳山頂3106m(9:15)北穂高小屋(9:40)〜最低コル(11:07)〜涸沢岳3110m(12:08)〜(12:25)穂高岳山荘(13:05)〜涸沢野営場(14:45)
14日 涸沢野営場(6:20)〜横尾〜徳沢〜明神〜上高地(13:00)〜(13:30)アカンダナ駐車場(13:45)〜自宅(17:30)

年に一度は槍・穂高への山行を企てるが今年は、わんさか登山者が訪れる紅葉の時期を外してみた。夏の高山植物を見るなら槍や穂高にこだわらなくても、白馬あたりがいいだろう。夏の花が終わり、紅葉には少しだけ早いこの時期のアルプスには、ちょっぴり寂しさが寂しさが漂っている。岩峰歩きなら季節を問わず楽しめる。夏休みが一日残っていたのでこれを利用し、連休を一日ずらせて静かな山歩きを目論んだが、うまく事が運ばないのは世の常だ。今回も天候とアクシデントに振り回されることになった。

| 12日 | 13日 13日-2 | 14日 |

 「パノラマコース」、誰もが一度は歩いてみたいと思っていると思う。上高地、横尾間の怠惰な林道歩き。上高地から穂高や槍に登りたいなら、どうしても支払わなければ税金のようなもの。登山計画には往復にかかる6時間をどうしても組み入れる必要がある。槍と穂高はこの税金を支払ってまで行きたくなる山域だが、何度も歩いているとどうしても飽きが来る。一般の観光客はこ歩道歩きが目的で、ツアーを組んでやって来るようだが、観光客が多いのは明神あたりまでだろうか。人気山岳の登山口はシーズンともなると登山者で賑わい、活気があっていいと思うが、ここ上高地は観光客の方が遙かに多く、2種類の人種が混在する様が面白い。全く話しがそれてしまったが、何度も歩いていると変わったことがしたくなるということだ。それで今回はパノラマコースを歩いてみた。

 見慣れた光景だが、朝の清々しい上高地は気持ちがいい。平湯のアカンダナ駐車場を8時発のバスに乗り、上高地バスターミナルに8時半に到着した。朝が早いので一般観光客はまばらだ。いつもなら横尾までの長い道のり(10.3km)を苦に思うが今回は、徳沢から初めてパノラマコースを歩く予定なので、期待感があっていつもより気持ちが張っている。

 
奥穂高岳               河童橋

 
明神岳

雲ひとつない晴天に恵まれているが、秋口の天気はめまぐるしく変わるので安心はできない。2泊分のザックは重いが、これからの先のコースへの期待感からか、軽やかに足が運ぶ。河童端から明神までは2.6km、体が温まり額に汗がにじみ始めた頃に到着しひと息入れる。ブルーのキャンバスに明神岳が映える。


梓川

明神岳から徳沢までは3.4km。白沢の橋を渡り、途中で徳本峠の分岐を見送る。これから先の新村橋よりパノラマコースに入るので軽く行動食でエネルギーを補給する。新村橋から入るのが一般的と思うが今回は、右岸には作業道があるので、仮説の橋を渡って対岸の作業道に入る。少し進むと吊り橋に出た。山小屋関係者の車が何台か停めてあった。ここからしばらくは林道を歩く。奥又白谷の手前で林道分岐があるので進路を左にとり、少し狭くなった作業道の登りになる。路面の状態や雑草の生え具合から判断すると、それほど多くの登山者には歩かれていないとわかる。白又谷を渡ると原生林に入りしばらく進むと、小さな規模の遭難慰霊碑が現れる。井上靖の小説「氷壁」のモデルになた遭難(前穂高岳東壁冬期登攀中ににナイロンが岩角で切断した事件)の慰霊碑だ。


新村橋

 
慰霊碑

これを過ぎ少し進むと谷を渡り返す。前方には前穂高岳の東壁が衝立のように立ちはだかっている。このパノラマコースは前穂高岳から派生する北尾根の最低鞍部(屏風のコル)を乗り越すかたちだ。奥又白池に向かう分岐を右に進む。水が出ている所があるので給水する。ここから慶応尾根を乗り越すあたりまでは傾斜がきつい。真夏を思わせる容赦のない日射しが追い打ちをかける。さわやかな涼風が吹き抜ける尾根で一息入れる。この間、行き交う登山者は数組程度だった。眼下には横尾山荘が俯瞰できる。


前穂東壁

慶応尾根を乗り越すと草付きの斜面の急坂となる。夏なら花が多いところだろうが今は、ミヤマトリカブトがちょうど花の見頃を迎えていた。夏を思わせる日射しに追い打ちをかけられ、忍耐強さを強いられる登りが続く。

 
屏風の耳の南壁

 
屏風のコル           コルより梓川を俯瞰する

徳沢を出て約4時間20分、本日で最も標高の高い屏風のコルの到着した。登山者のザックがひとつデポしてあった。頭をピストンしているらしい。我々も当初は頭に行く予定であったが、時間的に少し余裕がなくなってきているので今回は断念した。コルからは梓川の流域が俯瞰でき、樹幹からは北穂や槍がよく見える。ここまできてやっとパノラマコースらしくなってくる。本日の大仕事が終わり少し空腹を感じてきたのでここで遅い昼食とする。しかし気を抜くのはまだ早くこれから先には、前穂高岳の北尾根斜面の1時間のトラバースが待っている。


稜線から槍ヶ岳を見る

 
左:やせた尾根すじ       右:草付きの斜面を縫う登山道を振り返る

少しだけやせ尾根を進み北尾根の涸沢側のトラバース道に入る。斜面はもろい岩が多く要所にはフィクスロープが張られている。岩場の通過は何カ所もあり気が抜けない。しかしさすがに天望はよく、通常ルートの涸沢コースや涸沢のテント村を俯瞰できる。浮き石に乗らぬよう、足下のグリップをしっかりと確かめて、保険代わりのフィックスロープに掴まりながら難所を通過していく。


咲き残りのミヤマダイモンジソウ


パノラマコースから見る北穂高岳


通常登山コースの涸沢を俯瞰する


涸沢ヒュッテとテント村

徐々に高度を下げ、谷と合流すると涸沢ヒュッテに予定通り16時前に到着した。平日とあってテント数はいつもよりかなり少なく、よい条件の場所を確保することができた。まずは外の売店で生ビールを注文しテラスに行ってくつろぐ。名物のおでんが売り切れだったのが残念だった。

 


大天井岳

すり鉢の底にある涸沢は日没も早い。コントラストを増した山並みを見届けテントに入る。夕食は味噌汁とご飯。きわめて質素だが、色々と試したあげく、最近はこれに収束してきた。米は気圧が低くうまく炊けないのでアルファ米だが、この不味さは味噌がカバーしてくれる。それから野菜は、ジャガイモ、タマネギ、キャベツは常備している。後は缶詰やラーメンを加えるとまずまずの食事ができる。

つづく

| 12日 | 13日 13日-2 | 14日 |

 

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