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2004_09_11,12 立山、西鎌尾根(北アルプス)

 

西鎌尾根(北アルプス) 2004年9月11,12日 隊長

タイトルに双六と槍と書きたかったが、どちらもピークを踏んでないので、西鎌尾根としておこう。一日目の天候が良ければ槍、悪ければ双六と決めていた。朝、目を覚ますと予報通りの天候だったので迷わずに双六に向かって歩き始めた。昨夜は仕事で帰宅が遅くなり、家を出たのが22時過ぎだった。それで新穂高の無料駐車場に着いたときには3時を回っていた。従って睡眠時間は2時間である。加藤文太郎のように歩きながら眠ろうかと馬鹿なことを考えて林道を歩き始めた。最初は気が張っているので、快調に歩き出すことができたが、小池新道に入り1時間ほど登ると、睡眠不足の影響が出始めた。行動時間9時間でなんとか双六のキャンプ指定地に到着できたが、テント設営後缶ビールを二口飲んで横になるなり寝込んでしまった。

1日目
新穂高無料駐車場(6:40)〜笠新道分岐7:56〜わさび平小屋8:15〜小池新道分岐8:34〜秩父沢9:26〜シシウド原10:53〜11:50鏡平小屋12:25〜13:30稜線分岐13:45〜双六小屋キャンプ指定地(15:00)
2日目
双六小屋キャンプ指定地(5:25)〜樅沢岳6:05 (西鎌尾根)〜9:30千丈沢乗越10:00〜11:30槍平小屋12:04〜レリーフ12:37 白出沢出合14:39〜新穂高無料駐車場(15:50)

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9月11日(土)

東名阪、東海北陸道路を乗り継ぎ、新穂高温泉無料駐車場到着したのは3時過ぎだった。自宅からの距離は260キロほどで、所要時間は約4時間。駐車場は空きが多く、休みやすい位置に駐車し、シートを倒して横になる。

目が覚めるとちょうど6時で、登山者が次々と出発していく。パンとバナナで簡単に朝食を済ませ、あわてて準備を済ませ6時30分に駐車場を出発する。今回は双六を往復する予定なので、左俣林道から入る。2時間ほどの睡眠時間だったが、気持ちが高まっているので眠気やけだるさはなく、快調に林道を登っていく。笠新道の分岐で先行したグループに追いつく。水場の水を一口飲み一息入れる。先行の2グループはいずれも笠ヶ岳を目指すようで、気合いを入れ直して登山口を後にしていった。2年前にハリマオさんをこのルートを登ったが、あのときのつらさがよみがえってきた。


笠新道分岐の水場 うまい水だ

林道をさらに進み、わさび平小屋で給水する。このルートは給水ポイントも多いようだが、とりあえずは1リットル補給する。小屋から少し進んだところのきれいなブナ林がある。林道は単調だが、ブナ林がアクセントになり気分も一新する。

 


小池新道分岐

林道を終点まで進むときゃしゃな指導標のある小池新道分岐に到着した。石のごろつく広い河原になっていて、石を渡りながらトラバース気味に緩やかに登っていく。ガスが低くたれ込めているが、雲の切れ間から差し込む光はまだ夏の勢いがあり、一気の汗が噴出する。

ひと汗流したころで先行するグループが休憩していたので、それにつられて日陰でザックをおろし、しばしの休憩タイム。傍らの石に赤色のペンキで鏡平まで3hと書いてある。岩や石のごろついた道がどこまでも続き、ぐいぐいと高度を稼いでいく。ナナカマドやダケカンバが日陰になり暑さは凌げるが、つらい登りが続く。睡眠不足が徐々に体力を消耗しだしている。木陰の岩の腰を掛け目をつむるとそのまま意識が遠のいていきそうだ。夕方までにキャンプ地につけばいいと考えているので、急ぐこともなくのんびりとしたものだ。

イタドリ原付近

秩父沢を横切り、イタドリ原を通り越してシシウド原に出る。ルートは分かれて急登とジグザグ道が選択できるようだ。後からきた女性二人組にどちらがよいかと聞かれたが、判断に困ってしまう。ためらわずに楽な道を選ぶ。しかし、少し上で合流しているのであまり変わりがなかった。

ここからはトラバース道になり、少し傾斜も緩くなってきた。前方を見上げると空が見えているがなかなか稜線に乗ることができない。シシウド原から約1時間ほどで稜線の平坦地に乗ることができた。ここが鏡平で、大小いくつかの池が点在している。自然保護のための木道も整備され、ガスがなければ槍をバックに絶好の撮影ポイントと成るだろうが、あいにくの天候で期待した絵にはならなかった。

 

鏡平小屋前の木製のテーブルに座り、昼食休憩にする。あまり食が進まず、パンとバナナと小屋で頼んだホットカルピスで済ます。何人かのグループがお昼をとっていたが、あまり人出は多くないようだ。大小の池が点在し実に雰囲気のいいところだ。記のベンチに座っているとどうしても長居をしてしまいそうだ。

ガスの切れ間から、稜線までの登りコースが見え隠れしている。さて、気合いを入れ直し1時間の登りにかかる。高度が上がるにつれて気温も低くなるのはいいが、疲労が徐々に蓄積してきているので、足がだるくなってきた。なんとかこの登りをしのぎ稜線に出ると、ときおりガスが晴れ素晴らしい展望が眼前に広がる。つらい登りも忘れてしまうほどだ。ここまで高度を上げるとこれからは稜線歩きになるので、少し気分が楽になってきた。

多少のアップダウンはあるが、ハイマツ帯の稜線歩きは悪くはない。左手には大きな山容をした双六岳が、小屋のある鞍部ごしに、鷲羽岳の山体が西日に浮かび上がって見えている。右手の鎌尾根の稜線がガスで何も見えない。何度も立ち止まりながら稜線からの展望を楽しむ。


鷲羽岳(2924.2m)

双六南峰(2819m)

 


双六 キャンプ指定地

スローペースできたので、双六小屋に到着したのは午後3時を過ぎていた。 双六小屋でキャンプの手続き済ませ、缶ビールを買って指定地に戻る。指定地は池の湖畔にあり、なかなか雰囲気がいい。中途半端な季節で登山者は少なく、テントは自分のを含めて2張だ。大型テントで若者が3人のグループだった。手早くテントを設営し、まずはビールを一口飲む。横になると心地よいけだるさと共に、一気に睡魔に襲われた。気が付くと18:30だった。双六往復をもくろんでいたが、夕焼けすら見られなかった。睡眠時間が2時間だったので、納得ができる。


双六小屋から見る鷲羽岳(2924.2m)

少し眠ったので、体が楽になった。明日は、双六から三俣蓮華までの稜線散策をしようか、それとも西鎌尾根を歩こうかと、地図を広げながら思案した。西鎌尾根を選択すると、槍のピークを踏むのが難しくなる。そうなれば、今回の山行は一度もピークを踏まないことになる。さてどちらを選択するか、テントの中で計画を練っている時間がもっとも充実している様な気がした。

つづく

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