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2004_08_10 空木岳(中央アルプス)

 

空木岳(中央アルプス) 2004年8月10日 No.279 隊長、うさぎ

池山尾根コースのピストン ページ1 ページ2 花のページ

アルプスといえば、一度入山すれば1泊くらいはしないともったいないと思うが、自宅の玄関から登山口まで3時間少々なので、前夜泊の日帰りも悪くはない。ただし、ハードな登山となる。空木岳、実にいい響きの山名だろう。深田久弥日本百名山の75番目が空木岳だが、「登山者というロマンティストは美しい山の名に惹かれる。心の中にまだ訪れたことがない、しかしその美しい山名だけは深く刻み込まれている、いくつかの山を持っているものだ」と書かれている。百名山を全部登ろうなどという気持ちはさらさらないだ、まさしく自分がそうであった。

林道終点1365m(4:40)〜池山分岐(5:12)〜旧池山小屋分岐(5:30)〜(5:50)池山小屋水場(6:00)〜(6:32)尻無(6:42)〜マセナギ(6:48)〜(途中で休憩20分と撮影)〜(9:20)空木平分岐(9:35)〜(途中で休憩と撮影)〜(11:00)山頂2863.7m(12:00)〜空木平分岐(13:00)〜(15:05)マセナギ(15:20)〜(15:50)水場(16:05)〜林道終点(17:00)

天候が不安定でいつにするか迷っていたが、仕事の都合もあり結果的には日にちを選べなかった。天気は悪くはなかったが、優れた展望は得られなかったのは残念だった。歩行時間が往復10時間なら日帰りが可能ということになり、アルプスの大部分の山が日帰りできることになる。しかし登山は行程だけで楽しむものでもなく、2800m以上に上がったならすぐに降りてくるのはもったいない。しかし時間にゆとりがない人にとっては、日帰りすることで山域も広がってくるだろう。

前日9日の18時過ぎに自宅を出る。東名阪、名古屋高速、名神、中央道を快調にとばして駒ヶ根ICを予定通り21時に降りる。菅の台に向かって走るがコンビニが見つからず、市街地に戻り食料を調達する。今回の標高差は1500mなので、アルプスの標準値であるが、距離が長い。普通なら山小屋泊の行程だが、日帰りなので軽量化に努める。しかしコンビニで思い思いに食べたいものを買い込んだのであまり軽量化していない。本来なら菅の台バス停から歩き始めるが、池山林道が標高1300m付近まで通じているので利用することにする。舗装道路が途中から地道になり、ガタゴトと走ること30分。やっと林道終点に到着する。10台程度の駐車スペースがあり、平日なので1台の車がとまっているのみだ。ビールと焼酎で長距離運転の疲れを癒し、11時に眠りにつく、3時過ぎにタクシーが登山者を乗せてやってきたので目が覚める。我々も朝食を済ませ、準備して出発したのは4時40分だった。

池山まではハイキングコースになっていて、美しいカラマツ林のいい道だ。まだ少し暗いが帰りの時間が気になるのでヘッドランプをつけて歩き出す。約70分で小広い平坦地の池山小屋分岐に到着する。花の時期は過ぎているがヤナギランがたくさん咲いている。水場近くにはヒヨドリバナやマルバダケブキが群生していた。空木平やヒュッテで水は補給できそうだが、ここで一日分の水2.5リットルを補給する。


水場

ここで遊歩道コースと登山道コースが分岐し尾根で合流するらしいが、一般的な登山道コースを選択する。山腹を緩やかに登っていくが、途中からジグザグ道になり一気に尾根にのる。真新しい標識が立っていた。どちらのコースをたどっても1.7キロらしい。まだまだ先が長く、またこの道を帰ってこなければならないので、休憩をこまめに入れてスタミナを温存する。。ここから少し進んだ所が、マセナギの頭と言うらしい。南側は断崖になっていて展望に優れている。遙か遠くに南アルプスの主稜線が見えている。尾根道はシラビソやトウヒの原生林の中を行く。


快適んば登山道もこのあたりから険しくなってくる。注意を促す案内が立ててある。地形図をみるとななりの痩せ尾根であること分かる。足下をのぞき込むと足が竦むほどの断崖になっている。樹木があるのであまり恐怖感がないが、転倒が滑落につながる確率が高い。桟橋、階段、固定のワイヤがつけられている所は自然と慎重になるが、おそらく事故はそれ以外の所で起こるような気がする。痩せ尾根も危険だが斜面のトラバース道はぬれた石に足を取られると滑落につながる。案内通り、500mは気が抜けなかった。


大地獄、小地獄では桟橋や階段を何度も通過する

南斜面の草地は草花が豊富だ。シモツケソウ、ハクサンオミナエシ、ホソバトリカブト、ダイモンジソウ、シシウド、ツリガネニンジンなど夏の花は終わり秋の花が始まる所だが、撮影に忙しくて先に進まない。中でもセリバシオガマは分布域が秘録らしく小屋を過ぎた標高1700m付近からまだまだ続いている。平日と言うこともあり登山者は少ない。一人の若者が追い越していった。また、時間的にこのあたりから下山者が多くなってきた。数人のグループと団体登山グループが降りていった

危ない痩せ尾根を過ぎると緩やかな尾根道になる。2200mを過ぎたあたりから、進めどもなかなか高度が稼げない。2400m付近で空腹のために軽く早めの昼食をとる。

シャクナゲが目立つようになる。ハクサンシャクナゲにはまだ少し高度が低いので、アズマシャクナゲだろうか。花の時期にもう一度歩いてみたいと思った。一瞬ガスが駒ヶ岳方面の展望が開けるがすぐにガスに隠れてしまう。今日の天気は曇りだったので致し方なし。チャンスに撮らないと次のチャンスはないかもしれない。

快適に尾根を歩き、空木平の分岐まできた。休憩はたっぷりと入れているが時間的には予定通りの行程だ。夏の花の時期なら迷わず空木平を進むが、今回は展望が望める尾根コースをとる。ハイマツ、ハクサンシャクナゲ帯に入ると御在所にあるような奇岩巨石が次々に現れる。アップダウンを繰り返し徐々に高度をあげていく。このあたりまで来るとアルプスらしい雰囲気に浸れる。夏の花が終わっているので、今が花の時期を迎えているのは、トウヤクリンドウの花の時期の長いタカメツメクサくらいだろうか。コケモモの実も色づき始めたが、口に入れるとまだまだすっぱい。クロマメノキだろうか、連れてきたうさぎが、さかんについばんでいる。この山に雷鳥がいるかどうかしらないが、これを見れば強敵が現れたと思うだろう。

ガスの切れ間から山頂が見え隠れする。すかっと晴れて欲しいが、天気ばかりは思い通りにはならない。

トウヤクリンドウが花盛りだ。センブリを始めリンドウの仲間は薬になることが多いのでこの名が付いたと思うが、実用的で的を得た名前であるが、もう少し可憐な名前が付かなかったか。

遠くから大きく見えていた巨石が駒岩だろう。標高はすでに2600mを越えている。この高度まで来ると足がだるくなってくる。この高さで一泊し次に日には大丈夫になることを考えると高度の順応に少し時間がかかるようだ。無理をせずに10mほど登り息を整えることを繰り返しているうちに駒峰ヒュッテに到着した。こじんまりとしているが、ログハウスのきれいな小屋だ。昨夜は5人ほどの宿泊客があったそうだ。小屋も前のテラスからの展望がいい。コーヒーでも飲みながら贅沢な時間を過ごしたいものだ。

ページ2 花のページ

 

 

2004_08_10