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御池岳・鈴北岳 2001.9.2 No.125 new

滋賀県八日市市のたろぼうさんの山行記録を見る

 

  山雲ににじみし遥か秋の湖
  覗き見る崖の垂直弁慶草
  探り当て男はにかむ思ひ草
  遠嶺いま雲上にあり田村草
  曙草咲き奔放な山の雲
  秋嶺や気魄みなぎるカメラマン
  枝をあふる猿梨の実の未だ稚く
  深山にきて花野になごむ山男
  秘峽なり風に漂ふかりがね草
  まぼろしの花に合ひしは雁のころ
  宙を飛ぶ夢は叶はず雁草
  雲去りし夕空に聳つ秋の峰々
  山路暮れただよふごとき仙人草

 大阪の佐古田さんからいただきました


●コグルミ谷登山口
全員集合、自己紹介、コース概略説明、撮影ポイント説明
撮影:朝のミーティングの様子、入山の様子、フシグロセンノウ、フシグロセンノウの解説
 この花はナデシコ科のフシグロセンノウです。普通ナデシコといえば、カワラナデシコのことで、この鈴鹿はもちろんですが、草原状になっている山であれば普通に見られます。今日のコースでは、鈴北岳あたりで見られます。しかし、このフシグロセンノウは鈴鹿の山ではあまり多くありません。この山域では、このあたりで見られます。もっとも多いのは霊仙山(鈴鹿山系では北の端に位置している)の漆が滝コースです。登山道脇にたくさん見られます。
 次にこの花の名のいわれですが、葉の付け根の節のところが少し黒いので、「フシグロ」です。センノウ(観賞用の草花として庭園に植えられる)京都の嵯峨の仙翁寺にあったので、この名が付けられたそうです。


フシグロセンノウ


 劇作家であり登山家でもあられた田中澄江(昨年91歳で亡くなる)著書「花の百名山」(愛蔵版)のなかで、「好きな花を一つ選びなさいといわれあら、私はナデシコをあげたい。なかでも一番好きなのはフシグロセンノウです。」と言っていたのが印象に残っています。カワラナデシコは日の当たるとところで群れて咲きますが、このフシグロセンノウは日陰でひっそりと咲いています。鮮やかな朱色をしているので、よくよく目につきます。
 花の百名山のなかでは、今から訪ねる御池岳(ヤマエンゴサク)、隣の藤原岳(コバイモ)、霊仙山(ヒロハノアマナ)が紹介されています。


●長命水
 水を飲んだり水を水筒に補給している様子を収録。(今村さん)
 この水のいわれはわかりません。だからご存じの方がいれば、その人に私が尋ねます。
 今登ってきた谷を「コグルミ谷」といいます。あたりには立派なサワグルミの大木があります。樹皮が白っぽいのがサワグルミです。特に珍しい木ではないのですが、この谷ではこのサワグルミが多いので、この谷の名のいわれになっています。沢と言ってもほとんど水がなかったと思います。山が石灰岩でできているため、伏流します。
(地上の流水が地下に一時潜入して流れるもの。砂礫などの粗い物質から成る場所、たとえば扇状地や砂漠に多い)
だから沢は枯れています。沢は石灰岩がゴロゴロしていて、滑りやすく歩きにくい。この季節は花は少ないですが、春になると、たくさんの花が咲きます。ここで沢と分かれ、雑木林の斜面を20分登ると、カタクリ峠に到着します。


●カタクリ峠
 この峠の名からもわかるように、5月の連休の頃に、カタクリがたくさん花を咲かせるからである。他に、この県境稜線上には春にはイワカガミ、イワウチワがたくさん見られます。この道を進むフクジュソウなど春の花で有名な藤原岳につながっています。この時期はこのあたりでギンリョウソウ、ヤマジノホトトギス、タマゴタケが見られる。ザックをおいて、みんなで捜しましょう。私がギンリョウソウとタマゴタケの解説をします。


・ ギンリョウソウ
 キノコみたいですが、キノコではありません。変わった格好をしていますね。緑色をしていないので、他の生物から養分をもらって生活する「腐生植物」(ふせいしょくぶつ)です。イチヤクソウ科(一薬草)の植物で、身近に見られないで、初めて見る人はちょっと首を傾げてしまいます。和名は「銀竜草」で、白色の鱗状の葉に包まれた様子が竜に似ているのでこの名があるそうです。


ギンリョウソウ (撮影ビデオから 隊長)


・タマゴタケ
 傘の開く前の様子が卵に似ているのでこの名がある。マツタケ科である。同じ仲間で猛毒のベニテングタケと間違われるよいが、有名な食菌である。


タマゴタケ(撮影ビデオから 隊長)


・ ヤマジノホトトギス
ユリ科で、山路に咲くホトトギスのこと。花被片の斑点が鳥のホトトギスの胸の斑点に見立てた。ホトトギスは園芸にも使われる。


●ここから丸山取り付きまでの道は平坦です。
この時期は特に見るべき花はない。途中沢筋の道と合流する。このあたりもサワグルミが多い。春は花が多い。苔むした石灰岩は庭園のよう。しばらく沢を進と、分岐点に到着。真の谷にはサワグルミも多い。みんなの歩いている様子を撮影。


●丸山取り付き(時間節約でここはパスするかも)
ここからは、沢と分かれ、御池岳最高点の丸山へ急な登りとなる。ここで、一気に高度を上げていく。所要時間は25分。やはり春は花が多い。ニリンソウが至る所に群生し、アズマイチゲ、エンレイソウ、バイケイソウが見られる。この時期は、このあたりからカワチブシが見られはじめ、この花に混ざってゴマナも多くなる。

●御池最高点(丸山)
灌木帯の中にあるので、あまり景色はよくないし、スペースもあまりありません。山頂の集合写真は定番ですね。ここは標高に関するエピソードがあります。黒田さんに語ってもらいましょうか。
ここはガガイモ科のイケマがあるくらいです。話題にはならないと想います。しかし、苔むした石灰岩は撮影ポイントです。それに、灌木帯はいい感じの映像が期待できます。春だとバイケイソウが綺麗ですね。●ボタンブチ
丸山からボタンブチは笹の海である。ここで軍手と長袖が役にたつ。
断崖絶壁になっていて、眺望は抜群である。鈴鹿山系の滋賀県側も知り尽くしている黒田さんに解説してもらいます。私は足下に咲いている花を少し解説します。天気がいいと、とにかく絶景です。風が出ていなければ、ここで昼食休憩しましょう。
Q&Aの会話形式でいきたいと思います。
山が初めての人がTVを見て分かるような内容の話にしたいのですが。
1 鈴鹿山系での御池岳の位置などに関すること。
2 御池岳の特徴など
3 ボタンブチからの展望の説明
4 T字尾根のブナ林
5 その他
足下に咲く花


・ ヒメフウロ(フウロソウ科)
 フウロソウの仲間の代表は、薬草として使われるゲンノショウコです。葉が細かくさけて花が小さいのでヒメフウロです。小さくて可愛いことをヒメで表すことが多く、ヒメで始まる植物の名前は多い。道端でよく見かけるのは帰化植物のアメリカフウロで、これよりも大きい。
*ゲンノショウコ
 現の証拠で、煎じて飲むと直ぐに効き目が現れるのでこの名がある。


ミツバフウロ


・ ミツバフウロ(フウロソウ科)
 葉の形が三つ葉なのでこの名がある。
・ ミツバベンケイソウ(ベンケイソウ科)
葉が三個輪生するすが目立ち、切り取ってもなかなかしおれず、強いことを弁慶にたとえたらしい。
・ シオガマギク(ゴマノハグサ科)
いわれはよく分からない。


●池の平
 ここでは、アケボノソウ、ゴマナ、カワチブシを撮影する。


・ アケボノソウ(リンドウ科)
 曙草で、花の色が明け方の空を、花びらの細かな点を星に見立てたらしい。カワチブシやゴマナほど数は多くありません。この山域では、ここ池の平から鈴北岳にかけて少し見られる程度です。他のリンドウの仲間は、このあたりでは、春にはハルリンドウが、夏にはツルリンドウが、秋にはリンドウが見られます。

 
アケボノソウ


・ カワチブシ(キンポウゲ科)
 強い毒性があることで知られるトリカブト属は、形態的な変異が多く、山ごとに違った種類があります。隣の霊仙山や伊吹山に咲くトリカブトは、イブキトリカブトといいます。また、加賀の白山に咲くのがハクサントリカブトと言う具合に、名前もいろいろあり、見分けが大変難しいです。そしてこのあたりで見られるのは、カワチブシといいます。このあたりの草原では茎は直立してますが、雑木林の中では茎がひょろっと斜めに伸びています。生育環境によって同じ山でも形が違ってきます。


カワチブシ


・ カリガネソウ
 やまぼうしさんが見つけました。カリガネソウの群落を発見。これだけ集まると、不快な臭気も相当なものでした。別名にホカケソウ(帆掛草)があるそうです。花の形からきているのでしょう。


カリガネソウ


▲ カレンフェルト
 石灰岩でできている大地のことをカルスト地形といいます。日本では山口県の秋吉台が有名です。石灰岩は炭酸の解けた雨にとかされるので、特異な地形になります。カレンフェルトは、石灰岩の柱がいくつも林のようにある景色のことをいいます。地下にできた穴を鍾乳洞といいます。地面に穴の開いたものをドリーネといい、そこに水がたまって池ができます。ですからこのあたりにはたくさん池があります。近藤先生にいろいろとお話を伺いましょう。
石灰岩は海の生物が堆積してできたものです。したがって、このあたりではフズリナやウミユリの化石が見つかります。


● 日本庭園と池巡り
近藤先生にお任せします。

●鈴北岳周辺
 この時期は花はありませんが、展望がいいので、少しだけ花の話と、山(霊仙、伊吹など)や展望の話をします。
 山頂から少し下がったところに顕著なカレンフェルトがあるので、このあたりで地形の話をしましょう。またこのあたりは草原なので、みんなが歩いている様子を遠くから撮って、広々とした感じがだしたいですね。