■屋久島(鹿児島県) 〜モッチョム岳南壁、屋久島フリーウェイの登攀〜 |
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移動4/8 モッチョム4/9 周遊4/10 屋久杉ランド 4/11 移動4/12 二日目(4月9日)予備日を含め登攀日を3日間確保したが、めまぐるしく変化する天気予報に一喜一憂し、なんとか初日に登攀でそうな天気になった。昨日までしっかりと雨が降っていたから、岩のコンディションはあまり想像したくなかった。とにかく現場に行かないことにはすべてが始まらない。屋久島までクライミングに来たわけだから。
案の定、千尋滝右岸スラブは濡れていた。天候により遠征のサブプランとしてもっていた岩壁で、本命の屋久島フリーウェイからみるとグレードは低いが、実際にぬれがスラブを見て愕然とした。昨日まで雨が続いていたので水量が多く、千尋滝は見応えがあり観光客は喜んでいたのだが、水しぶきが壁を濡らせていた。 最初から変化球で三振を狙ったのがいけない。やはり最初からストレートで本命を狙うべきだった。明日からは天気は良くないので、やれるチャンスは今日しかない。岩壁のコンディションがどうあれ、とにかく行くしかない。 さて、岩壁へはバリエーションルートだが、このアプローチに苦労することが多い。もちろん、ネットなどで情報を探っていくが、ネットの情報と現場の感覚は大きく違っている。石垣と低いコンクリートのブロック塀は情報通りで、そこから樹林へ入っていった。情報通り目印テープがあるのでそれを辿る。きょうから暖気が入り、朝から気温と湿度が上昇した。情報ではアプローチにかかる時間は1時間強となっているが、ほとんど登山と変わらない。モッチョム岳の標高が940mで、岩壁は上部の300m強。つまり約600mまで高度を稼ぐということだ。重いクライミング装備を背負っての登りはきつかった。このあたりの樹林は亜熱帯で、湿度と気温が高く苦しかった。 しかもすんなりと取り付きには行けず、途中で目印テープを見失い、岩壁の基部には到着したものの、現在地位置をみうしなってしまい、取り付きが発見できずジャングルをさまよった。暑さと湿度で体力を消耗するばかり。仕方がないのでトラバース気味に下降し目印テープの発見に努め、やっとルートに復帰し目的に三角岩の基部に到着した。岩壁に打たれたボルトが見えたときはうれしかったこと。 三角岩前の広場で、ルートを見上げると2ピッチ目以降の染み出しが多いのに愕然。予想はしていたが、かなり厳しそうだ。アプローチに3時間もかかってしまったので、この時点でトップアウトは不可能と言うことはわかっていたので、とにかく行けるところまで行き、懸垂下降で戻ることにした。 まず1ピッチ目はルートがあ複数あるみたいだ。中央のスラブはグレード5.10dのスラブ。乾いていそうだが、足を乗せると微妙に滑る。地衣類が付着し、水分を含むとフリクションが効かない。時間が余ればやることにして、とにかく先に進まないといけないで、易しいルートに取り付いた。易しくても岩は濡れていてフリクションは効かない。草をつかんで強引に登った。 さて、三角岩のてっぺんまで来て2ピッチ目を見上げるとルートに沿って染み出しがあった。実はこの2ピッチ目がこのルートの最高グレードの5.10d。いわゆる核心だ。岩が乾いていても難しいが、岩壁が濡れて地衣類で滑っていると絶望的だ。もう少し先に進みたいので、右にある人工ラインを登ってみると3品目のリングがなくなっている。しまった、タイオフ用の細引きは取り付きにデポしたザックの中だ。とりに下るのも面倒だし、人工で登ると意味がなくなってしまう。時間にもゆとりがないのでここはきっぱりとあきらめ、1ピッチ目のスラブを登ってみることにした。しかし、三角岩のてっぺんから見上げる岩壁は素晴らしかった。実際に現物を目にすると登校意欲が刺激される。アプローチは苦しかったが季節を変えてリベンジしたい気持ちが出てきた。 1ピッチ目、中央の5.10dのラインを登ってみる。わずかな手がかりで登るが、フリクションが貧しいので厳しかった。しかしじっくりと壁と格闘したのでそれなりの充実感があった。5日も費やしてこのラインを目指してきたので、少しだけの土産だったがうれしかった。益々リベンジの気持ちが増してきた。今回はルートの感触をつかめたので次につなげたいと思った。 帰りはルートがわかっていたので、1時間弱で車道まで下ることができた。登りと下りとで都合4時間亜熱帯の森をさまよったことになる。観光地を歩いただけではわからない屋久島を全身で感じ取れたのは収穫だった。民宿に帰ると18時になっていた。
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