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■鬼が牙(鈴鹿)
〜山頂までピッチを繋げるとちょっとしたアルパインクライミングが楽しめる〜

レポート No.908
日時:2015年9月13
参加者:隊長、うさぎ

1ピッチ目(9:00)〜2ピッチ目(9:20)〜3ピッチ目(9:45)〜4ピッチ目(10:15)〜5ピッチ目(10:45)〜6ピッチ目(11:00)〜小休止〜7ピッチ目(11:30)〜8ピッチ目(11:45)〜9ピッチ目(12:00)〜(12:20)懸垂(14:30)


プロローグ 天気が思わしくなかったので標高の低い鬼が牙に向かった。アプローチはいいがグレードが低く遠征前の調整やレスキューの練習、入門者向けに利用している。今回亜h調整のつもりで入ったが、山頂までピッチを繋げてみることにした。

鬼が牙マルチピッチクライミングルート
1ピッチ 40m 5.6 2ピッチ 25m 5.9 A0 3ピッチ 25m 5.10a(ルートによる)
4ピッチ 30m 5.8 5ピッチ 25m V級 6ピッチ 40m V級
7ピッチ 40m W級 8ピッチ 35m 歩き 9ピッチ 30m W級

積水渓谷はファミリーキャンプで賑わっていた。岩は乾いていたが雲が低く今にも降りだしそうな天気だが、いつでも待避できるのがこの岩場の利点でもある。岩場に入ると踏み跡がハッキリとしていて、適度に利用されている形跡が感じられた。さてどのルートをやろうか。とりあえず中央の岩壁で4ピッチまで行って、それから先はブッシュに入るので鋸で整備しながらピッチを繋げることにした。

1ピッチ目 40mの長いピッチで、スラブから始まり核心部分はスラブ状のフェイスになる。W級程度だが、すっきりとしたスラブで気持ちがいい。グレードが低いのでそれなりにピン間隔は長い。核心部分で壁が少し立ってきて、ダイクが二本横に走っていて、ホールドとして使える。意識的にそれを使わないで登ると若干グレードを上げられる。終了点は2カ所にボルトがある。立木も使える。

   

      

2ピッチ目 25mと短いピッチだが、最初の薄かぶりの垂壁が手がかりが少なくフリーでは難しそうだ。A0用にピンがあるので人工で登った。垂壁の上は傾斜の強いスラブ状フェイス。グレード的には5.8〜5.9だろうか。ボルトのルートなのでそれほど不安は感じない。

   

   

3ピッチ目 25m。ハンガーに沿って登るとW級程度だが、リングボルトのルートは2,3手が5.9〜5.10aくらいに思える。リングボルト2個埋めてあるので挑戦してみよう。

   

        

4ピッチ目 30m。右手の岩壁に進む。スラブ状フェイスで壁の立っているところで5.8くらいだろうか。ただし上に行くほど岩壁の風化が進んでいるので、花崗岩の結晶がはがれてスリップに注意。

   

5ピッチ目 すっきりとした岩壁は4ピッチまでで、ここからブッシュに突入する。今回は鋸を持ってきたので邪魔になる枝を払いながらルートを伸ばしてみた。見た目は鬱陶しそうに見えたが岩がつながっていて尾根に乗ったところでピッチを切った。眼下に渓谷が見えていて、高度感が感じられるところだ。当然ピッチは立木で何処にでもとれる。

   
意外にも岩がつながっている      尾根の松の木でピッチ


眼下に石水渓谷が見えている

6ピッチ目 ここから尾根に沿って登って行く。ここもブッシュだが、ほぼ岩でつながっている。落石防止ネットのワイヤーが固定されているところを越えると露岩帯に出る。展望がいいので小休止。正面にこの尾根のピークが見えている。右奥には鬼が牙南峰が見えている。

       

7ピッチ目 尾根の両サイドは切れ落ちていて尾根通しで進むしかない。このピークは山頂から2つ目のピークなのでP2と呼ぶことにしよう。支点は立木でとるが、ピーク手前のバンドにハーケンが打ってある。数年前に打ったが今もしっかりとしている。風化が激しく直登は難しいので左から回り込むとピークに立てる。ただしロープが屈曲するので長いスリングを使うなど工夫が必要。

   
P2           鬼が牙南峰

   
7ピッチ目を振り返る         ハーケン

    
7ピッチ目


高度感があって気持ちのいいピッチ

8ピッチ目 8ピッチ目は痩せた岩尾根の歩き。日本庭園風で展望もよく、いい雰囲気だ。

9ピッチ目 最後は山頂から一つ目のピーク。P1と呼ぶことにする。ここはピークを踏まなくても左の基部を進めばパスすることができるが、岩を登に来ているのだからピークを踏むことにする。それなりにいわは立っているが尾根通しに進めば問題はない。ただし、岩の風化が進んでいるので剥離などに注意がいる。さてピークを通過し所で、カメラが岩にひっかかり、ころころころりんと谷底に吸い込まれていった。のぞき込むと垂壁で岩に激突せずにすんだかもしれない。

    

   

カメラ回収作戦 さてピークをあきらめ、これからカメラを回収することに、もし壊れていてもデータは救えるだろう。垂壁なので1ピッチだけの懸垂で発見できれば登り返しができるが、2ピッチ以上になると登り返しができないので、そのまま懸垂で下ることにした。

       

運良く2ピッチ目でカメラを発見。おそるおそるカメラを見ると外見は大丈夫だ。電源を入れてみる、大丈夫だ。試し撮りをしてみる。大丈夫だ。山頂であきらめ下った甲斐があった。さて、問題はどのように戻るか。岩壁を下ると懸垂支点見つかるか不安なので、ルンゼを懸垂で下ることにした。ロープは一本だったので1回の懸垂で25m。短く10回の懸垂を繰り返しやっと林道まで下ることができた。ちょうど岩壁のとりつきだった。2時間を要した。やれやれ。

 


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