■甲斐駒ケ岳奧壁(南ア) |
レポート No.901 |
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7月31日 たくさん(芦安:山梨)、我々(仙流荘:長野 6:00のバス)〜(6:55)北沢峠(7:35)〜双児山(9:55)〜駒津峰(11:22)〜甲斐駒ケ岳(14:00)〜黒戸尾根8合目岩小屋泊(15:15) 七丈小屋(16:10)へ水汲み(17:25) |
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プロローグ 日本マルチピッチによると正式名称は「甲斐駒ケ岳赤石沢奧壁ダイアモンドAフランケ」である。ダイヤモンド形の300mの花崗岩の大岩壁。数年前にNHKの番組で、「あこがれの大岩壁へ〜限界に挑んだ75歳〜」。 満身創痍の河西公子さんがチャレンジしたルートだ。NHKの取材の日が偶然にもたくさんたちの登攀日と同じだったそうで、当時の取材班の行程がわかった。このルートは上半分を登ることもが多いそうで、NHKの取材もそうだったらしい。 アプローチ アプローチをどうするかで悩んだが、標高差のある黒戸尾根(登山口から8合目岩小屋まで標高差1800m)を避け、北沢峠(標高差1000m)から入ることにした。もう少しザックの重さを軽くできれば黒戸尾根でもよかったが、ギア類だけで10kgあるため、生活用品を削るには限界があり、どうしてもザックが20kgになってしまう。数年前までは体力的にも大丈夫だったが、来年で還暦を迎える身体には厳しい。ただし北沢峠で標高差に関しては有利になるが、水の確保の問題がある。8合目の岩小屋荷は水場はなく、7合目の七丈小屋まで水を汲みに行く必要がある。 北沢峠 芦安からも順次バスが到着し北沢峠は賑わっていた。予定どおりたくさんが到着し7時35分に北沢峠を出発した。 登りは双児山ルートを使った。樹林帯をジグザグに登っていく。ザックの荷が重いので30分に1度休憩を入れる。今日も平野部は猛暑だが、2000mを越えた樹林は光を遮り清々しい。 双児山 双児山まで通常なら1時間30分くらいの行程だが、今回は2時間20分もかかってしまった。初日はアプローチのみで、ゆとりのある行程なので時間は気にならないが、明日のために少しでも体力を温存したい。双児山まで来ると展望が開け目指す甲斐駒ケ岳が見えてくる。その手前に駒津峰があり、とりあえずはそこが目標だ。 駒津峰 駒津峰は標高が2750mあり、すでにハイマツ帯に入っているので見通しがよく、甲斐駒ケ岳の展望台になっている。南アルプスの山はほとんどが堆積岩だが、この甲斐駒ヶ岳は花崗岩の山で、白い山肌が特徴的で美しい。ここで仙水峠からのルートが合流し、休憩にはうってつけの場所で、登山者で賑わっていた。ここでヘルメットをぶら下げた大きなザックを担いでいるのは我々くらいだ。鋸岳のバリエーションをやるにしても重さは半分くらいだろう。日帰りで山頂を往復する登山者のザックがなんともうらやましい思える。 駒津峰を過ぎるとアップダウンがあってなかなか高度が上がらない。また、岩場が多くなるので、体力を消耗する。谷を駆け上がる風が涼しく、立ち止まり身体を冷却する。ガスがかかり展望が良くないが、直射日光を避けられるのでありがたい。 甲斐駒ケ岳 今回は荷が重いので直登ルートを避けた。樹林帯を抜け砂礫の斜面の登りになり、2000mを稼ぎやっと山頂に到着した。黒戸尾根分岐点にザックをおろし大休止。 黒戸尾根 さて今回は山頂が目標ではなく、アプローチのための通過点だ。これから黒戸尾根を8合目まで下っていく。甲斐駒ヶ岳は古くから信仰の山でもあるので、黒戸尾根の岩場には随所に石碑や石仏が祭られている。おもしろい岩を見つけたので、そこで岩遊び。岩を見ると登りたくなるのはクライマー習性だ。 8合目岩小屋 15時過ぎにやっと岩小屋に到着した。もう少し大きいのかと思っていたが、意外と小さくて天井が低い。うっかり立ち上がると頭を打ちつけてしまう。要するに屋根のあるビバークができる場所で、問題なのは水場がないこと。 水汲み さて最後の大仕事が残っている。水がないと生活ができない。節約して1人1日2リットルは必要で、3人2日分だから12リットルが必要。空にしたザックを背負い、7合目の七丈小屋まで水くみに下りた。25分くだって七丈小屋に到着。下りはすいすい下ったが、登りが厳しくて辛かった。身体に疲労が溜まっていて、ザックの重さを食らえると13.5kgになる。登り返しに1時間を要し17時過ぎにやっと任務完了。 岩小屋の夕暮れ さてやっと本日の仕事は終わった。疲れていて余り食欲は出ないが、明日の登攀に備えて、しっかりと食べておくことにする。 今回のメニューは、うどんスープにそうめんとお持ちを入れてみた。シンプルな味で疲れていても喉を通った。これにα米のドライカレー。 この岩小屋だが、左に下りると七丈沢からAバンドへ、右に下りると八丈バンドへ下れる。クライミングによい位置にある。夕食後夕日を見に広場に行った。夕暮れと同時に満月が出てきて、高山ならではの風景が楽しめた。その後、岩小屋に戻りシュラフに潜り込んだのはいいが、虫に食われて何度も目が覚めた。雨が降っても大丈夫な岩小屋だが、湿気があって虫にとってもいい住処になっているようだ。これにはまいった。
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