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■入道ケ岳(鈴鹿)
 〜春の花を見に井戸谷コースを登る〜

レポート No.871
日時:2015年4月4日
参加者:隊長、うさぎ

(10:30)井戸谷(12:30)


プロローグ 桜と山をからめた写真を撮りながら、いばべから南下してきた。天気は午後から崩れる予報だ。暖気が入ったようで気温がぐんと上がってきた。登山口の椿神社に到着すると10時半になっていた。

井戸谷は石灰岩質の土壌で、春の花が多い谷だ。季節が進み花の種類も増えていそうなので、期待が膨らむ。堰堤の終車場に乗り入れると数台の車が止まっていた。午前中の晴天を利用して入山したのだろう。準備をしているとすでに下山してきた人がいた。ペットのお茶とスポーツドリンクとお握りをザックに入れ林道を歩き始めると、ヒサカキの香りの混ざって、少し甘ったるいに香りが風に乗ってきた。いずれも春の香りだ。

   
カエデの若葉           ヤシャブシの雄花

堰堤を横切り山道に入ると、ヤシャブシの雄花の尾状花穂が沢山落ちていた。これの香りだ。言葉でなんと表現したらいいのか、牧野図鑑を調べてみても記述はない。強いて言うなら、甘ったるいシナモンの香り?でしょうか。地味な花なので香りで虫を誘うのだろう。


ヤシャブシ

杉林を抜け谷に出る頃には全身から汗が噴き出していた。急に熱くなったので身体が対応できていない。木陰に腰を下ろし汗が引くのを待った。谷筋には、シロバナネコノメソウ、イワボタン、ヤマネコノメソウ、シロボウエンゴサク、ヤマルリソウなどが出迎えてくれた。しゃがみこんでマクロレンズを覗き込むとまた別の世界が見えてくるので楽しい。

   
シロバナネコノメソウ

さてシロバナネコノメソウだが、ハナネコノメソウとの区別が難しい種だ。三重県レッドデータブックを見ると、いずれの種も記載されていないので、絶滅危惧種に上げられていないことがわかる。
 まず植物図鑑の元祖的存在の、「牧野 新日本植物図鑑」(北隆館)で調べてみる。すると、ハナネコノメソウ(chrysosplenum stamineum)は取り上げられているが、シロバナネコノメソウ(chrysosplenum album)は掲載されていない。chrysosplenumは、ネコノメソウ属のこと。同じく北隆館の「原色牧野植物大図鑑」も同じで、シロバナネコノメソウは扱われていない。それでは山渓ハンディー図鑑はというと、ハナネコノメソウやキバナハナネコノメソウの母種がシロバナネコノメソウという扱いになっている。学名を見てみる。
  シロバナネコノメソウ(chrysosplenum album)
  ハナネコノメソウ(chrysosplenum var.stamineum)
  キバナハナネコノメソウ(chrysosplenum var.flavum)
となっている。 var. がつくということは、変種であるということを表しているので、シロバナネコノメソウが母種であることになる。
 まず記述の詳しい、牧野新日本植物図鑑でハナネコノメソウについて調べてみる。


井戸谷

   
ミヤマネコノメソウ(イワボタン)           ヤマルリソウ

   
シロボウエンゴサク            ヤマネコノメソウ

ニリンソウも咲き始めていてので写真に納めた。午後から天気が崩れる予報だったので、山頂は諦めトウゴクサバノオの撮影に回った。

   
ミヤマハコベ            ニリンソウ

     
ニリンソウ        ヤマネコノメソウ

   
シハイスミレ          タツボスミレ

   
ミヤマカタバミ            ヒメウズ

トウゴクサバノオ キンポウゲ科 シロガネソウ属
鯖の尾:両側に張り出した袋果の様子に基づくのは、特徴を捉えた命名だと思うが、かわいくて小さくて優しい花なので、それにふさわしい和名がほしいでしょう。
【生育地】
既知の生育地点は10以上だが、各生育地の個体数は50未満。生育地は、いなべ市、亀山市、伊賀市、津市、松阪市など(三重県レッドデータブック2005)
暖帯林中に生える多年生草本。谷川沿いの湿地に生えるので、河川改修による減少がある。
本種は何種類かあるシロガネソウの仲間だが、三重県内では他の種類はないように思われるので、その意味からも希少といえる。
【茎】
草全体は柔らかく、無毛である。高さは10センチほどで、ひと株から3、4本の茎が出て、葉よりも高く斜めに伸び上がる。4稜、汚紅色。上部に2個の包葉が対生する。包葉は柄が短く3出。
【葉】
根本から生え、葉柄のもとに軟骨状の鞘がある。3出あるいは、鳥足状の5出。小葉は円卵形で縁に鈍きょ歯がある。
【花】
4月頃、茎の先に淡黄緑色の花を開く。細い花柄がある。
がく片は5個で花弁状。花弁は黄色の密槽状となりがく片より短い。おしべ15個内外。袋果は6月で、熟して水平状に開く。鯖の尾に似ている。

     
トウゴクサバノオ


トウゴクサバノオ

   
トウゴクサバノオ            ヒメウズ

ヒメウズもタニギキョウも1センチに満たない小さな花で、注意して見ていないと見落としてしまう。資からマクロレンズで覗き込むと実にきれいだ。ヒメウズなどは、よく見てみるとオダマキの仲間だとわかる。

   
タニギキョウ



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