■後尾根@御在所岳(鈴鹿) |
レポート No.773 |
満天星駐車場(8:50)〜裏登山口(9:05)〜藤内小屋(9:56)〜藤内沢(10:30)〜一の壁(11:40)〜後尾根取付(11:50)〜登攀〜ラッセル〜中道合流(15:10)〜キレット(15:40)〜満天星駐車場(16:50) | |
プロローグ 12月に入りガイドブックや雑誌の取材で歩きの山行が続いていたが、やはり最後はアルパインスタイルで締めくくりたかったので御在所へ。また、冬場は八ヶ岳のバリエーションが控えているのでその足慣らしのアイゼントレも兼ねたルートを選んだ。 アプローチ 満天星駐車場が整備され温泉街から入れるようになり、冬場のアプローチが多少なりとも楽になった。年末の慌ただしい時期だが、8時半過ぎに駐車場に入るとすでに、20台ほどの車が入っていた。御在所はロープウェイもあり観光開発されているが、山岳としての魅力は鈴鹿で一番だと思う。今年も数十回の山行をこなしたが、もっとも多く足を囲んだのがこの御在所だった。そして今年の締めくくりも御在所になった。 氷結したアスファルト道を満天星駐車場から裏登山口へ下った。登山口からのコンクリート舗装道も、凍結して良く滑った。今日は天気はそれほど悪くないが、気温はかなり下がったようだ。よく踏まれた登山道は踏み固められ良く滑った。今日はアイゼントレも兼ねているので、早速アイゼンを装着した。冬靴に12本爪のアイゼンを装着すると、かなり重くなったが、がちっとした安定感がある。凍り付いた雪面に気持ちよくアイゼンの爪がきまった。 藤内小屋もひっそりとしていた。増築中の小屋はできあがってきている。ベンチに座り一息入れた。 小屋を過ぎると徐々に積雪がましてきたが、良く踏まれているので夏道よりも歩きやすい。気温は低いが日差しがあるので暖かく汗ばむほどだ。10時30分に藤内沢に到着。今日は後尾根だけなのでかなり遅いペースだ。腰を下ろし装備を調える。藤内壁はこの季節、北側なので常に日陰になっている。中又の氷か成長してきていて、夏場よりもかなり厳しく感じられる。 藤内沢分岐からトレースができていた。前尾根、第1ルンゼ、藤内沢へそれぞれトレースがあった。第1ルンゼを登ろうと思ったら、先行の3人グループが懸垂で降りてくるところだったの、とりあえず夏道で一の壁まで上がることにした。一の壁までは何カ所か岩場があり、夏なら簡単に登っていけるところだが、アイゼンとグローブではなかなか思うように登れない。危ないのでさっそくロープを出してコンテで登った。いつもなら10分くらいの登りだが、半分くらいはラッセルで、岩場でロープを出したりしていたので、1時間くらい時間がかかってしまった。ここだけでも充分練習ができた。 第1ルンゼ 先行パーティオは中又まで来ているようだ。氷がまだ登れるほどに成長していなかったので引き返したのだろうか。一番下氷が発達していたので、少し登ってみた。気持ちよくアイゼンの爪とピックがささった。 左又 さて左又の登攀だ。夏ならば確保なしでも登れるルートで、核心は3,4級程度だが、アイゼンとグローブで登となると急に難しくなる。しっかりとロープを使ってスタカットで登ることにした。 1ピッチ目 最初の核心部は氷がついていたので、アイゼンとアックスでクリアし、その先のチョックストンは左から巻こうとしたがランニングとれないので、手前にカムの支援をとり中を潜った。氷ついたクラックはカムを入れるのも大変で、テンションを掛けると氷が割れて抜けることがある。夏は確保無しで登っていたルートだが、雪を被って凍り付いていると、スタンスとホールド探しに苦労した。根後機はカムよりハーケンが頼りになりそうだ。どこかに支点があったと思うが雪に埋もれて見つからない。立木までいっぱいロープを延ばし支点をとった。 2ピッチ目 ハーケンを持ってこなかったのでカムで支点をとるが、なかなかきまらない。きれいに氷を落とさないと効きが悪い。核心部はリングボルトがあるが、ここはカム二つをセット。また時間を使ってしまった。なかなかロープが伸びないので、凍えてしまったとうさぎ。ロープを50m延ばし木の根で支点をとった。 核心部でロープが止まる。1テンション。フットジャムが効きそうなクラックだが、アイゼンではどうにもならない。出口に手がないが、アックスが薄い氷をとらえた。最後10mはツルベでうさぎが確保。たかが100m位のルンゼだが、緊張した2ピッチだった。 さてここまで来ると、難しい岩場はないが、念のためにコンテで登った。途中でルートミスし行き詰まってしまった。写真では簡単そうに見えるが、右側は断崖。ハングしていて出口に手がなかった。カムで突破しようとしたが、クラックが凍り付いていてうまく決められないので、あきらめて別のルートを探した。 ここからの登攀は難しくないが、腰までのラッセルを強いられる。1時間40分の激闘でやっと中道に合流した。やれやれ。登山道が高速道路のように思えた。時計を見ると15時をすぎていた。この時間に歩いて登山者はいない。 駐車場に戻ると車がほとんどなくなってきた。これほど時間がかかるとは思っていなかったが、冬のバリエーションの厳しさを思い知らされた一日になった。気を引き締めて2013年を閉じることにしよう。完
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2013-12-27 Copyright (C) 2013 k.kanamaru. All Rights Reserved. home |