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■烏帽子沢奥壁@谷川岳
〜凹状岩壁を登り中央稜を懸垂下降〜

レポート No.739
日時:2013年6月9日
参加者:たっくん、本間さん、james、とっちゃん、隊長、うさぎ

鈴鹿(6月8日18:00)〜(6月9日0:40)土合(4:30)〜一の倉沢出合(5:20)〜テールリッジ末端(6:00)〜奥壁取付(7:30)〜登攀終了(11:30)〜中央稜懸垂下降〜中央稜取り付き(15:00)〜テールリッジ〜一の倉沢出合(16:50)〜土合(17:50)〜鈴鹿(6月10日1:30)

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プロローグ 二回目の谷川岳は烏帽子岩奥壁の凹状岩壁。人気があるのは南稜や中央稜だそうだが、週末のこの時期は混み合う。大物打者を前にして、あえて1球目は変化球から入った。当初は二日間を予定してメジャールートを2本登る予定だったが、突然の予定変更で1本に凝縮することになった。結果として最高の天候に恵まれ一の倉沢のデビュー戦を飾ることができた。

 谷川岳の指定地域へ入山するには,「群馬県谷川岳遭難防止条例」にもとづき,入山届を出さなければいけない。登山届はどの山域でも一般的に,遭難対策のために出すのが慣例になっているが,条例により義務化されているのは,谷川岳と冬の剱岳(積雪期)が知られている。今回の山行は先月から計画し,タクさんがまとめて出してもらってある。

 今年に本荘ルートの第1段は谷川岳ということで準備を進めてきた。この時期は梅雨に入るか入らないか入らないか微だが,雪崩が収まり雪渓がテールリッジまで繋がっていて,アプローチが容易なこの時期は狙い目ということだ。

 今年は例年よりも早く梅雨にはいったおものの,中休みということで予定していた第2週は天候に恵まれた。土日の二日間で2ルートを予定していたが,仕事に都合で行けなくなり,結果としては日曜の1ルートとなった。この時季は梅雨前線や高気圧,低気圧の動きが複雑で,しかも山岳の天気は標高が高いために,地上の天気予報では予測はできない。500hPaの高度・渦度,850hPa相当温位などの情報から天候を予測する有料専門サイトの予測は信頼できる。このサイトによると初日は午前中が寒気の影響で霧と雨,日曜日は晴天になっていた。予定通り土曜日から谷川にはっても予定を変更することになっていたかもしれない。

アプローチ 睡眠時間を確保するためにもう少し早く出発したかったが、仕事の都合で出遅れ鈴鹿が18時の出発になってしまった。四日市でとっちゃんをピックアップし,高速をひた走ること6時間30分。谷川岳は遠く、東名阪、名古屋高速、中央道、長野道、上信越道、関越道と乗り継ぎ片道520キロの道のりだ。満タンにしたガソリンが空になる頃に到着する。水上ICで降りて土合の谷川岳ロープウェイの駐車場に入ったのは1時前だった。タクさんの車の横に入れ、4時にアラームをセットして仮眠に入った。

アラームで起きるとすでにタクさんグループは出発の準備を始めていた。我々は3時間だがしっかりと眠れたようで、頭はすっきりとしていた。この睡眠不足は午後に効いてくるかもしれない。昨年までは一の倉沢出合まで車で入れたようだが今年から通行止めになったようなので、出合まで歩かなければならない。1時間ばかりの行程だが往復すると2時間近くかかってしまう。

  
谷川岳ロープウェイ駐車場

       
マチガ沢

ブナ林を切り開いて作られた国道歩きも悪くはない。花は少ないがちょうどヤグルマソウが花の時期を迎えていて、今日のルートやら前回の参考やらの話をしながら歩いているとあっという間に1時間が経過し一の倉沢出合に到着した。案内図で一の倉沢の各ルートや位置関係を把握し、いよいよ入渓だ。

  
ヤグルマソウ             一の倉沢出合

一の倉沢出合 雪渓は出合の少し上流まで伸びて来ていて、右岸のルートではさっそく、シラネアオイやサンカヨウが出迎えてくれた。サンカヨウはヤマでは一般的に見られるが花だが、シラネアオイはアルプスでは珍しい。5分ほど左岸を歩くといよいよ雪渓に入る。登りなのでアイゼンなしのアプローチシューズでも大丈夫だ。後でわかったことだが、テールリッジはフリクションのいいアプローチシューズでないと厳しそうだ。もちろんフラットシューズに履き替えればいいわけだが。

   
テールリッジと中央稜           出合の雪渓

  
サンカヨウ          シラネアオイ


シラネアオイ

雪渓を歩き出す頃には陽が上がり岩壁や雪渓が輝き始めた。3000m級の山が立ち並ぶ日本アルプスを思わせる景観が眼前に広がっている。何パーティーかが先行しているようで、テールリッジ末端へとつづいていた。いよいよ今日は一の倉沢の岩壁に第一歩を踏み込むことになる。梅雨の最中ではあるがすばらしい天候に恵まれ、事故なく無事に下山してこそ、幸運だったといえるだろう。


一の倉沢雪渓

テールリッジ末端には約40分で到着した。日本アルプスなら取り付き点まで行くのに1日を要するが、谷川岳はアプローチに恵まれている。雪渓のつながっているこの時期限定の特典らしい。末端でこれから先は必要としない、ストックやアイゼンなどを少しでも荷を軽くするためにデポした。シュルンドはそれほど開いていなかったので、簡単に岩場に乗り移ることができた。末端の取り付きはV級程度の岩場だが、登りなので確保なしで登った。

    
雪渓           テールリッジ末端取付

岩壁の取り付きはもう少しテールリッジを進まなければならないが、直下だと落石の危険も高まってくるので途中で休憩を入れて朝食休憩にした。我々の後からも2,3パーティー上がってきたので人気ルートの南陵は混雑しそうだ。我々は凹状なのでタクさんのルート選択の読みはあたっている。

    
ベニサラサドウダン        テールリッジで朝食休憩

テールリッジの両サイドは雪渓にツルツルに磨かれたスラブになっている。雪渓やらベニサラサドウダンを見ながらのんびりするのはここまでだ。


背景は衝立スラブ

  
正面壁     時折、雪渓の崩壊する音が谷に響く

  
テールリッジの登攀


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