■谷川岳幽の沢V字岩壁右ルート(上越) 2012年10月8日 No.696 はらっぱさんご夫婦、たっくん、とっちゃん、うさぎ、隊長 プロローグ 幽の沢は「チャレンジ!アルパインクライミング」によると、「幽の沢は中級者向きのルートが多いが、V字状岩壁右ルートはやや草付は多いものの、快適なフェースクライミングが楽しめ、初心者を含むパーティーに人気が高い」と紹介されている。今回はタックンのお誘いで、谷川岳デビューとなった。谷川岳は、北アルプスの剣岳、穂高岳と肩を並べる日本三大岩壁だ。前者二つを比べると標高は低いが、岩場部分は300〜400mのスケールを持っている。岩壁までのアプローチは、一の倉沢、幽の沢だが、残雪期なら比較的短時間で岩壁に取り付けるが、今回の幽の沢は、濡れた岩に手こずり、入渓から取り付きまでに3時間30分を要した。しかし、本悪的なクライミングが楽しめる魅力的な山であることに変わりはない。人気が高いということは登山者も多いということで、それに比例して滑落、落石、雪崩による事故が多い山域で、かつては魔の山とも呼ばれ、これまでに700名以上の登山者やクライマーが命を落としている。谷川についての概略を記したが、いつかはやってみたい山であったが、自宅のある鈴鹿から登山口の群馬県土合までは500km以上あり、片道8時間かかることもあり、二の足を踏んでいた。今回、タックンのお誘いがあり、谷川岳のクライミングが実現することになった。 アプローチ 3時15分のアラームで目を覚まし、簡単に朝食を済ませ出発の準備に取りかかった。出発が早いので駐車場は静まりかえっていて、迷惑のかからないように静かに準備を進めた。9月10月以外は、一の倉沢出合まで車で入れるようだが、残念ながらこの時期は、このロープウェイの駐車場から歩かなければならない。暗いうちに林道歩きを済ませ、入渓が夜のとばりがおり始める5時以降にした。一の倉沢出合はテント泊のパーティーで賑わっていた。目指す幽の沢出合はこの先で、まだもう少し歩かなければならない。 幽の沢 到着すると、男性2人パーティーが出発するところだった。我々も小休止を兼ね、ハーネスを装着しヘルメットをかぶり入渓の準備をした。右に左に岩を拾いながら歩き始めた。昨夜の雨で岩が濡れていて良く滑り、油断する足を取られた。出合からしばらくは樹林が視界を遮り見通しが悪いが、進むにつれてナメが多くなり開けてくる。水量はそれほど多くはないが、水のしみ出しが岩を濡らし、通過できないナメに行く手を阻まれた。タックンによると、岩が乾いていれば、ポケットに手を突っ込んでいても普通に歩けるところだそうだが、岩が濡れてしまうと難儀するところだそうだ。今回は右岸の草付を大きく巻き、立木にビレイをとって、懸垂で谷に下った。6人いるので結構なロスタイムが発生した。全員が無事に通過でき安堵。 谷は狭く険しくなり、巻きが多くなるが、 ほとんどは確保なしで通過できた。大滝は乾いていたが、安全第一でタックンリードで確保で登った。これを過ぎると明るく暖かい谷になり、正面に岩壁群が見えてきた。ここで食事休憩を入れ、小休止した。 右俣に入ると谷が明るく開放的になってくる。はらっぱさんがチョウジギクを発見。なかなかお目にかかれないキク科の花で、図鑑で調べると、ウサギギク属だそうだ。雰囲気は似つかわしくないが、個々の特徴を見ると納得できる。 花は期待していなかったかだけにうれしい。
カールボーデン 最後の難所を通過すると谷は枯れ、広大なカールボーデンのスラブが見えてきた。フリクションの効く岩を拾いながら谷を詰め、気がつくとスラブ帯に入っていた。正面が中央壁、左が中尾根、右が石楠花尾根で、その間の右俣リンネがV字を刻んでいる。今日目指すのは、V字岩壁の右ルートだ。このルート(V字状岩壁右ルート)は「チャレンジ!アルパインクライミング」のガイドによると、「幽の沢入門のフェースクライミング」という小見出しがついている。 |
2012年10月8日 Copyright (C) 2012 k.kanamaru. All Rights Reserved. home |