2012年3月11日 御池岳捜索(鈴鹿) ホーム |
■カタクリ峠〜冷川岳県境稜線の捜索(鈴鹿)2012年3月11日 No.654 捜索エリアは、計画的で慎重な行動をするNさんの性格から推測している。登山道から大きく外れていないことを前提に今回も、捜索エリアを選定した。山岳事故の多くは転倒しての滑落だ。またこの時期は雪が原因で起こる、雪崩や雪庇の崩落や踏み抜きだ。クラストした雪面は、傾斜が緩やかでも滑り出すと止まらない。ということで今日は、かたくり峠〜白瀬峠の県境稜線北面と南面を細かい谷まで捜索した。 大貝戸藤原岳登山休憩所に7時30分集合。 いつものようにミーティングが始まった。捜索エリアを決めるにあたって、情報共有は大切なことだが、不明者に関する情報はほとんどなく、ほとんどは捜索済エリアに関すること。未捜索部分はまだまだ残っており、また、雪解けに応じて状況も変化してくる。今日は鞍掛峠から鈴北、御池の未捜索部分と、われわれが目当てをつけた、かたくり峠と白瀬峠の県境稜線の南北斜面を捜索エリアとして。 ミーティングが終わり登山口となるコグルミ谷登山口へ移動。先週と比べると残雪が少なくなってきている。厳冬期から始まった捜索活動も一月が経過し、春がすぐそこまで近づいてきた。今日こそはと、気合いを入れ直し入山。タテ谷出合まで進み、未捜索の谷に入った。コグルミ谷右岸尾根まで3班に分かれ谷を捜索しながら登る。 この谷も手がかりなしだ。急勾配を登ったので尾根に乗るとカタクリ峠は近かった。県境稜線で谷の捜索に備え一息入れる。青空が見られる穏やかに日和になった。稜線は無線の電波が良く届くので、各隊からの報告が感度良く入ってくる。さあ、長い休憩は無用だ。危険な谷の捜索を控えている。 この県境稜線も尾根の芯を歩けば問題ないが、少し端に寄ると傾斜が始まる。クラストした雪面で転倒すれば、滑落は避けられない。さて捜索だが、慎重な行動が求められる。雪面の状況によってはザイルを使うこともあるので、50mザイルを2本準備してきた。さいわい雪面の状態は良く、アイゼンが良き決まり、ピッケルと効果的だった。谷が狭まる地点まで標高にすると150m降下し、各自が分散して谷を入り捜索しながら登返す。これは重労働だ。 尾根を下り、谷を登り返すのに1時間以上はかかる。しかも谷の傾斜は半端ではない。 アイゼンを蹴り込みピッケルを突き刺す。単純な作業の繰り返しだが、失敗は許されない。尾根近くまで登返すとデブリがあった。やはり今年はあちらこちらで雪崩が起こったようだ。息を切らしながら稜線に這い上がる。6人いるので一度に3,4本の谷が捜索できた。原則2人ペアだが、小さな谷は二つに分かれ一人で調べた。 時計を見ると12時前だ。 集中して捜索しているので時間の経過もわからない。残り半分をやる前に昼食にする。別のグループが丸山まで登り着いたようだ。本部との無線のやりとりを聞いていると、Nさんの奥さんも今日は丸山に登ったようだ。丸山からの美しい展望を見て、少しでも山のすばらしさを感じてもらえただろうか。そんなことを考えていると、早く家族の元へ返してあげたいと思うのだが。 さて、午後からも同じことの繰り返しだ。冷川岳に近い半分の方が若干傾斜は緩い。二人ずつ3班にわかれ下降してから登返した。小さな谷までほとんど調べたが手がかりはなかった。かたくり峠から冷川岳までの三重県側は捜索範囲から除外していいだろう。デブリは気になったが。 少し休みを取り今度は、真の谷側を捜索して切り上げることにした。各自がランダムに谷を下りかたくり峠で合流することにした。先ほどの三重県側に比べると傾斜が緩く谷も浅い。谷を覗き込みながら各自が真の谷までトラバースしかたくり峠で合流した。ここも手がかりなしだ。 残雪はまだあるが、この区間も除外していいだろう。 残念ながら今日も、課題を残したままの下山となった。コグルミ谷右岸尾根で下ることを無線で本部に連絡し峠を後にした。P801で現在位置を本部に連絡しさらに下ってくると、パトカーが一台かたくり峠手前で赤色灯をつけて止まっているのが見えた。本部へ、30分で下山完了と伝えると、鞍掛峠で別働隊と合流しては、と連絡があった。途中14時46分、東日本大震災の被災者の冥福を祈るため活動を一時休止し全員黙祷。どうもパトカーと関係があるようなので、下山後鞍掛峠手前まで車で行くと、状況がわかった。無線では言えない内容であったことが後でわかった。ここでは内容を記さないことにする。 無線で国道のゲートオープンを依頼し本部に帰った。 今回は、カタクリ峠と白瀬峠の間を重点的に捜索したが、手がかりは得られなかった。除外できる捜索エリアを増やしただけになったが、一歩前進としたい。しかし捜索は、暗礁に乗り上げた感がある。ここらで一度リセットする必要があろう。いつものように、計画的で慎重な行動をしていれば、事故にはならなかったと思うが、ちょっと冒険心を出してしまったのかもしれない。そして初めてのルートに挑戦。といってもバリエーションルートではなく一般道だと思う。車は大貝戸に置いてある。 |
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