2012年3月3日 タテ谷捜索@鈴北岳(鈴鹿) ホーム |
■タテ谷捜索@鈴北谷(鈴鹿)2012年3月3日 No.652 タテ谷は、早春の花の時期に、鈴北への登路として使われることはあるが、登山者はそれほど多くはない。ルートはコグルミ谷から尾根を乗り越し、ガレた涸谷であるタテ谷遡行を回避するようになっている。尾根を乗り越しルートがタテ谷に合流するあたりは急な斜面のトラバースがあり、足を滑らせるとタテ谷に吸い込まれる。 7時30分からミーティングがあるので、それに合わせて大貝戸にある藤原岳登山休憩所に向かった。本日はつくだにさんとN師匠が参加するが、連絡が遅れてしまったので、到着が8時過ぎとのこと。捜索箇所の打ち合わせが予定取り行われ、本日は、タテ谷とタテ谷周辺、テーブルランド北東斜面、真の谷と三筋滝、焼尾となった。われわれは、タテ谷に入ることになった。途中の藤原パーキングでつくだにさんとN師匠をピックアップし、ゲートを開けてもらってタテ谷まで進んだ。国道も除雪されていて、開通が間近いことが伺えた。 タテ谷の本谷に国道から入った。犬帰し谷ほどではないが、石灰岩地形特有の涸谷で、大きな岩がごろごろしており、残雪と倒木で険悪な様相だが、登攀具を使うこともなく、岩の拾い、残雪の踏み抜きに注意を払いながら進んだ。 谷はP708下で西に向きを変え、傾斜が増してくる。我々は左岸に移り、対岸斜面を観察しながら登る。もし登山道からの滑落があった場合、この斜面を滑り谷に落ちることになる。タテ谷コースを下ったという可能性は低いが、登山道からの滑落事故はよくあることだ。Mガイドが対岸に人工物らしいものを発見したので、精鋭二人が急斜面を登り確認に行くが異常なし。 西に向きを変えてからのタテ谷の傾斜はきつい。標高差200mを一気に登っていく。岩の転がる荒れ谷だが、雪で谷が埋まり登りやすい。 時々踏み込むことがあるが、紺碧の青空のもと、アルプスの雪渓を登っているような気分になった。不明者を早く見つけなければという重い課題を背負っているが、自然の美しさが心に、潤滑油を差してくれている。 Mガイドの指示で我々は左岸斜面に上がり、対岸のタテ谷左岸の斜面に目を光らせながら登る。 上部に行くにつれ谷が浅くなり、我々も谷に降りた。最後の急登を肩で息をしながら凌ぐと、タテ谷ルートに合流した。ここで一本入れる。N師匠が遅れていたが追いついてきた。タテ谷もここまで登ると、穏やかな様相を呈するようになってくる。雪を覆った緩やかな尾根や谷の曲線が美しい。緩やかな地形なので事故は起こりにくいが、丹念に谷筋を注視しながら進んだ。 さて正面に県境稜線が見えてきた。 雪崩がおこったところなので、ゾンデを入れて調査がすんでいるエリアだ。雪解けが進んでいるのでもう一度チェック。二手に分かれて捜索する。雪庇の崩落跡もチェック。異常なし。 稜線に上がるとすばらしい展望が開けた。今期の冬山シーズンはなかなか青空に恵まれなかったが、久しぶりに青空の雪山に巡り会えた。任務のことを少し忘れて、雪山の風景を楽しに、鈴北岳の山頂を踏んだ。 山頂の雪は融けていた。不明者は一月前、鞍掛峠からこのピークをめざしたが、届かなかった。1週間後に再びルートを変え、御池岳にアタック。登頂を成功させたが、下山で遭難。この鈴北岳まで来たのだろうか。本人しか知らない。 鈴北の山頂で少し休憩し午後からは、県境稜線からタテ谷までの斜面の捜索をすることに。3グループに分かれ、谷を中心にローラー作戦を展開。残念ながら手がかりなし。まだ雪解けを待たなければわからないが、タテ谷の可能性は消えた。 肩を落とし通常ルートでコグルミ谷から下山した。 |
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