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2011年8月20日 鬼ケ牙(鈴鹿)   ホーム

 

鬼ケ牙(鈴鹿)2011年8月20日 No.621 隊長、うさぎ
〜鬼ケ牙でマルチピッチクライミング、東峰まで登ってみた
石水渓谷バンガロー村(9:00)〜鬼ケ牙東峰450m(14:20)〜駐車地(14:00) ルート

プロローグ 今週末に予定していたアルプス山行は、秋雨前線の南下による天候不良のために見合わせた。しかし、空いた時間は無駄にしたくはない。天気予報を見ると、午前中は天気がもちそうだった。6時前に目が覚め外を見ると雨が当たっていたが、食事を終える頃には回復し、西の空を見ると明るい。山の稜線も見えているので、鬼が牙にクライミングに出かけることにした。鬼ケ牙の岩場に関しては前回も書いたように、林道から3分というアプローチの良さだ。雨が降り出したらすぐに車に戻れるし、忘れ物をしても大丈夫だ。

右スラブの左のルートでウォームアップ 林道から入り、最初に出てくる広い方のスラブが支点が整備されている。右のスラブと呼ぶことにしよう。この右のスラブには概ね2本のルートがある。(といってもどこからでも登れるが。)左も右も同じようなものだが、終了点は同じ所にある。中間にテラスがあり支点が整備されているが、30mを1ピッチで登ってもいいだろう。ただし懸垂下降は60mロープが必要だが、左のブッシュに逃げれば、50mロープでもいいだろう。この右のスラブだが、終了点手前で少し壁が立ってくるので、よくわからないが概ね3級程度だろうか。ホールドは細かいが、フリクションがいいので気持ちよく登れる。ただし、少しコースを外したりすると、岩がはがれたりするので注意。


右(第1)スラブの左の開始点

まず左のスラブを登ろうと思っていたが、その前に右のスラブの左のルートでウォームアップをした。もちろん私がリードでうさぎがフォローだ。要所には最少限のボルトがあるが、それ以外は古いハーケンやリングボルトが利用できる。 終了点は垂壁手前のテラスで、ボルトが設置されている。前回も書いたが、この垂壁にはリングボルトが連打されていて、A1で登られていたようだ。左のルートの出だしを少し登ってみたが、確かに垂壁だ。もちろん、A0なら登れるが、リングボルトは古そうなので要注意。

    
右スラブの左のルート

    
右スラブの左のルートをリードする

左のスラブルート さて左のスラブルートに移り(右のスラブの左端から1段上に上がる)、鬼ケ牙の東峰を目指すことにする。1ピッチ目だが、先ほどの右のスラブよりは、少し壁が立っているので、4級くらいか?開始点にボルトはないので、木の根で始点をとった。始点は最少限のボルトがり、これだけで大丈夫だろう。4級程度なので難しくはないが、初めてのルートのリードなので慎重に登る。


左のスラブ、開始点で確保の準備をするうさぎ

   
左のスラブ、開始点から見上げる


左のスラブ、1ピッチ目のリード

1ピッチ目の終了点は、右のスラブの終了点と岩棚でつながっていて、古い固定ローブが張られている。狭いテラスだが、 ボルトが3本設置され安心できる。


左のスラブ、1ピッチ目の終了点


左のスラブ、1ピッチ目の登攀

  
左のスラブ、1ピッチ目の登攀

さて2ピッチ目だが、出だしが少し難しい。リッジでも行けそうだが、岩に乗り出すと高度感があり、支点がないので、落ちると大きく振られると思う。しかし凹角の上にはボルトがあり、ここをステミングで登るのが正解のようだ。ステミングといっても、2・3手くらいで突破できる。その上も傾斜があるので油断はできない。相変わらずホールドは細かいが、フリクションが良く効くので登りやすい。終了点にボルトはないので、立木でビレイをとった。

    
左のスラブ、2ピッチ目の出だし

2ピッチ目までは快適なクライミングだが、ここ先のルートがわからない。正面は垂壁だが、中央部に割れ目の弱点がある、右に少しトラバースするとスラブ帯になっている。どちらを行くかだが、今回は垂壁の弱点から登ることにした。踏み後はなく、誰かが登った形跡もない。 さてここからが灌木帯の急登で、垂壁にぶつかるとそれを巻くことを2,3度繰り返し、なんとか1峰に出ることができた。顕著な岩場なので1峰(P3)としておこう。40分くらいブッシュ帯の登攀が続き難渋した。灌木があるので高度感はあまり感じないが、樹間からは石水渓が直下に見え、急峻な岩峰であることがわかる。ここで少し給水休憩し、軽く食事をした。

  
ブッシュ帯の登攀、高度感がある


ブッシュをぬけやっとP1の基部に到着、汗だくになった

P3 さてここは高度感が感じられる岩稜で、気持ちよく登ることができた。ルートがわからなかったが、最上部の岩を左から巻くと簡単にピークに出られた。確保なしで登ろうとしたが、落ちるとかなりやばいので、途中で確保し、中間支点にハーケンを打ち込んだ。 できるだけ自然のままにしたいが、気持ちよくハーケンが効いたので残置することにした。ロープの流れが悪くならないように、立木でもう一つヌンチャクで支点をとった。終了点は松の灌木にスリンクをかけ支点とした。

   
P1 の右側は断崖になっている

    
P1の登攀


P1を角度を変えて見る


ハーケンを打ち込み、支点をとる


P1の登攀

P2 高度感あり、気持ちの良い岩場だが、松の灌木が邪魔で難儀した。さて次は2峰(P2)が見えている。これは2峰ということにしておこう。ここから見る限りどこからでも登れそうだが。正直に尾根通りで登ることにした。 ここもやはり松の灌木が邪魔になった。スタンスはフリクションで得られるが、意外とホールドが少なくて細かい。もちろん落ちるとやばいので、ここも途中の灌木で一カ所支点をとりスタカットで登った。


2峰(P2)


P2の登攀

鬼ケ牙東峰 P2を抜けると灌木帯に入り傾斜がゆるむ。尾根通しに高度を上げていくと鬼ケ牙東峰(P1としておこう)に到着した。 簡単に登れるだろうと思っていたが、垂壁の迂回やブッシュ帯に悩まされ、思った以上に時間と労力が必要だった。しかし、ちょっとしたマルチピッチクライミングができ、充実した山行となった。灌木を少しだけ整備すれば、おもしろいルートになると思った。完


P2の登攀が終わると灌木帯に入り、尾根通しに歩くと東峰へ


鬼ケ牙東峰から見る第二名神


鬼ケ牙東峰450m


鬼ケ牙東峰


東峰から鬼ケ牙本峰を見る

 

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