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2011年月1日29日 鎌尾根(鈴鹿)

 

鎌尾根(鈴鹿) 2011年1月29日 No.591 utty、Nさん、隊長
〜冬の鎌尾根は手強かった〜
宮妻キャンプ場(8:15)〜水沢峠分岐(8:45)〜水沢峠(11:00)〜水沢岳(11:50)〜衝立岩(13:40)〜(15:30)岳峠南のピーク(15:45)〜雲母分岐(16:19)〜駐車場(18:05)  撮影機材 LumixG2 & tough 6020 本日のルート
積雪状況により難易度が大きく変わるのが鎌尾根。果敢にアタックしていた岳連が途中撤退し、最後まで歩き通したのは我々三人と若いペアの5人だった。岳峠手前では、雪庇を突破しトラバースするのに50mロープを使いルート工作をした。10時間の激闘の充実感は他に代え難い。

プロローグ 今週末は御池テント山行を予定していたが、寒波襲来で天候が不安定になるという予報が出ていたので、予定を変更し鎌尾根の日帰り山行に切り替えた。仲間を募ったらuttyとnさんが参加。nさんとの山行は今回が初めて。8時に宮妻キャンプ場をスタートと決めた。また、りんちゃんからの情報では、岳連の大グループが同じコースを歩くとのことだった。大人数だとラッセルは楽になるが、渋滞でペースが乱れる。痛し痒し。

アプローチ 宮妻キャンプ場に到着すると、情報通り大人数が出発の準備をしていた。すでに、上の駐車場は満杯だったので、雪に埋もれた下に降りる。準備をしているとuttyが到着。8時の出発はわれわれと同じのようで、小回りのきく我々が先に出ることにした。その少し先を三河の若いペアが先行する形になった。さて、冬場の鎌尾根だが、難易度は、トレースのあるなし、積雪量によって大きく変わる。厳しい状況に対処できるように、登攀具と50mロープを準備した。

林道 さて林道を歩き出すと10センチほどの積雪だった。トレースがなければ、かなり厳しい山行が予想できた。水沢峠分岐まで快調に歩く。先行する夫婦もトレーしながらハイペースで歩いている。慣れた足取りだった。約30分で分岐に到着。夏タイムと同じだった。


水沢峠下の氷瀑

水沢峠 林道から登山道に入ると予想通りのラッセルが始まった。若い夫婦がパワフルに先行していく。頼もしい限りだ。ガンバレとエールを送る。 ラッセルすること約1時間40分で滝の下に到着した。夏場は岩を湿らせるほどの滝だが、氷瀑ができていてきれいだった。さてここから峠まではわずかな距離だが、傾斜がきつく行きが深い。30分ラッセルでやっと峠に登りついた。休みなしで歩いてきたので、ここで小休止を入れる。狭い峠が大人数の岳連の人たちであふれた。

  
水沢峠への登り

水沢峠から登り始めたが、傾斜がきつくよく滑るので、アイゼンを装着した。大人数のグループより先行したが、結局、アイゼン装着中に抜かれ、最後尾に廻ってしまった。先発は例の若夫婦で、ラッセルしながら先頭を進んでいる。すごいパワーだ。ラッセルを先頭に長い行列ができてしまった。

  
水沢岳北面からの展望

水沢岳 約50分で水沢岳に到着し、大グループはここで休憩を入れるようだ。我々は山頂をスルーし、先に行かせてもらことにした。当然先頭なのでラッセルを要する。北面のガレ地の急斜面をアイゼンを効かせて降りてから、スノーシューに履き替えた。すでに12時を過ぎていたので、風が避けられるところで軽く昼食をとった。その間に再び若夫婦が先頭に立った。二人がスノーシューでトレースしてくれるのでありがたい。後続の大グループは、水沢岳あたりで来た道を引き返したようだった。


水沢岳北面の下り

  
水沢岳北面からの展望と下り


鎌尾根の随所で雪庇が見られた


鎌尾根から見る雲母峰


鎌尾根の雪庇と鎌ケ岳

衝立岩まではちょっとしたスノーハイクが楽しめたが、問題は衝立岩の通過とそれから岳峠まで続くやせ尾根だ。衝立岩へは、やせ尾根を一端鞍部まで下り急斜面を登り返す。この日は雪が深く、雪庇が発達していて、ルート取りが難しい。もちろんトレースなどない。先行する若いペアも、地形の弱点をつき、雪庇を避けながら巧みにルートをとっている。山慣れたペアのようだ。 下りはいいが、登りが大変だった。腰までのラッセルをしながら、急傾斜を登っていく。登ってはずり落ちの繰り返しで、何とかピークまで上がることができた。うっすらと青空がのぞく天候で、雪雲が足早に駆け抜けていく。雪を抱いた雨乞岳や御在所岳が雲の間から見え隠れしていた。


発達した雪庇


衝立岩


衝立岩から対岸を振り返る


衝立岩の登り若いペアが先頭を行く


雪に埋もれた衝立岩

雪庇 衝立岩まで来ると、目指す鎌ケ岳が大きく見えてくる。しかし痩せ尾根が連続するようになり、思うように進まなくなってくる。途中若いペアが昼食休憩になったので私が先頭をいくことになった。20年間で何度も歩いているコースだが、積雪期は状況が一変する。特に痩せ尾根の雪庇はくせもので、踏み抜かぬよう、面倒でも西側の斜面をトレースしていく。


雪庇にひびが入っている、要注意


雪庇と鎌ケ岳

岳峠南のピーク 結局、最も苦労した区間が衝立岩から岳峠までだった。無積雪期なら30分の区間が2時間を要し、精神力、体力ともに消耗した。 しかし最大の難関は、鎌尾根北端の岩場だ。雪庇が発達していて下降点がわからない。しかし、雪庇を突き抜いて降りる以外はルートがない。ここで50mロープが役にたった。ロープで確保しているので、雪庇を突き破っても安心できる。まずは下降点まで降り、そこからが鎖場のトラバースになる。このあたりは1m以上の積雪で、鎖ははるか雪の下になっている。雪を踏み抜いてしまうと滑落してしまうので、ダブルロープで25mいっぱい延ばし、なんとか鎖場の端まで届いた。若いペアには先に行ってもらい、私は後続のためのルート工作をした。待つこと30分、後続が到着した。時計を見ると15時45分を過ぎていた。先行したペアは鎌への登りで苦戦しているようだが、われわれは鎌へ立ち寄る時間はもうなくなった。


雪庇のひび割れ


雨乞い


鎌ケ岳へアタックするペア


鎌ケ岳


入道と鎌尾根


岳峠手前の鎖場、ここでロープを使用

カズラ谷 日が傾き鎌を照らす光が橙色を帯びてきている。さて下ろう。しかし、カズラ谷コースにはトレースはなかった。吹きだまりでは、油断すると胸まで落ち込んでしまうほどの積雪だった。水場まで下り休憩していると、鎌へ向かったペアが降りてきた。下りのトレースはささやかなお返しになっただろうか。泳ぐように下りなんとかヘッドランプの世話にならずに駐車場まで戻れた。 10時間に及ぶ激闘が終了し、何ともいえぬ充実感に浸ることができた。 完


入道ケ岳と伊勢平野


カズラ谷コース雲母への分岐

 

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