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2010年7月24日25日 奥穂高岳、ジャンダルム、西穂高岳(北アルプス)

 

奥穂から西穂縦走(北アルプス)2010年7月24日25日 No.554 utty、隊長
〜好天に恵まれ、穂高の岩稜を満喫〜
【7月24日】平湯アカンダナ駐車場(5:50)〜上高地(6:25)〜明神(7:15)〜徳沢(8:16)〜新村橋(8:30)〜横尾(9:26)〜本谷橋(10:20)〜(12:10)涸沢ヒュッテ(12:50)〜穂高岳山荘野営場(15:15)
【7月25日】穂高岳山荘野営場(4:00)〜(4:45)奥穂高岳3190m(5:00)〜馬の背(5:06)〜ロバの耳〜ジャンダルム3163m(5:55)〜コブ尾根の頭〜天狗のコル(7:27)〜天狗の頭「天狗岳2909m」(8:00)〜間天のコル()〜間ノ岳2907m(8:47)〜(9:50)西穂高岳2908.6m(10:10)〜ピラミッドピーク(10:53)〜西穂独標(11:10)〜西穂山荘(12:00)〜新穂ロープウェイ西穂高口駅(13:15)〜新穂高温泉駅()〜バス〜平湯〜アカンダナ駐車場(15:00) カメラLumixG2
気になっていたジャンダルムの頂にやっと立つことができた。昨年に計画をしたが、ヘリの事故での調査や残骸の搬出やらで奥穂周辺が騒がしくなり、敬遠し今年に順延となっていた。今回はuttyさんと予定を合わせることができた。事前に本やネットで情報を入手し臨んだが、情報や知識を吸収し大きく膨らんだイメージと実体験とは大きく違った。結論から入ると、落石や浮き石に注意し、目印のルートを頼れば、特に難しい箇所はないと結論づけられる。筋力、持久力、技術、知識、集中力など個人差があり、難易度の受け止め方は人それぞれだと思うが、しっかりと準備をして臨めば大丈夫だと思う。とにかく、ダイナミックで、実に楽しいコースだった。

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プロローグ 「ジャンダルムへ今年は行こう」と、uttyさんと日程を調整していた。今夏、二人の日程が合致するのはそれほど多くない。最初のチャンスが、今回の日程だった。しかし寒気流入により、部分的に不安定な天候となる予報が出ていた。日本列島は太平洋高気圧の圏内にあり、低気圧や前線の通過はなく、大きく天気が崩れる心配はなさそうだが、アルプスの稜線で雷雨に遭遇したくはない。当初は、西穂と奥穂で野営する、2泊3日の行程を考えていたが、行程の後半ほど不安定となる予報だったので、短期決戦プランに変更した。一日目に奥穂まで上がり、翌日の朝の状況により、天候がよければ西穂まで縦走、悪ければ、せめて前穂まで歩いて下山、余程わるければしっぽを巻いて来た道を帰る、とした。

 
上高地の朝

アプローチ 山行の前日にゆとりがないのはいつものこと。前日の昼頃に、今回のプラン決行を決めたものの、お互い、準備の時間を編み出すのも難しい有様。同乗で行く予定も立たず、とにかく平湯アカンダナ駐車場を5時の始発のバスに乗れるように集合と決めた。プラン決行を決めた時点で、目標のジャンダルムに気持ちがロックされ、カウントダウンが始まった。こうなれば、ロケットの発射と同じで、異常事態が発生しない限りプランの中止はない。後は、道具の準備、アカンダナ駐車所までの行程、睡眠や食事などの体調管理など、登山開始までに一つひとつ手順を踏んでいくだけだ。とりあえず今回は、夕方6時の時点でまだ熊野にいるので、平湯アカンダナ出発5時までに、残された時間は11時間。移動距離は400kmで6時間くらいか。準備と食事と休憩に2時間として、睡眠時間は3時間、と計算できた。どの行程も重要で、確実にこなさないといい登山は出来ない。特に睡眠は、3時間でどれだけ深く眠るかが勝負。基本的には眠くなったら寝る、ということで、紀勢道の奥伊勢SAで少し、ひるがのSAで少し、平湯の森で残りの時間を爆睡できた。車泊のために乗り換えたステップワゴンが大いに役立っている。

スタート 平湯アカンダナ始発のバスには勘違いで乗り遅れたが、5時50分のバスに乗り上高地に入った。夏山シーズンの週末ともなれば、アカンダナ駐車場は車で溢れているところだが、車は上段駐車場の半分ほどだった。バスは予定通り運行し、5時20分には上高地バスターを出発できた。朝の上高地は実に清々しい。清涼な空気が高地を満たしている。


明神

横尾 梓川や明神、穂高の山並み、路傍に咲く花を見ながら二人で歩いていると、話題に事欠かない。上高地、横尾間は休憩を入れながら普通に歩くと3時間の行程だ。歩いた割には標高がほとんど上がらず、今夜の野営地の標高は3000mなのに、なかなか労が実らないのがこの区間だ。距離的には上高地、岳沢、前穂、奥穂と歩いた方が有利だが、今回は天候により帰路として予定に入っている。もう一つは、新穂側から白出沢で上がるルートがある。これが登山口からの最短距離になると思うが、標高差2000mと雪渓の状態に不安が残った。距離はともかく、標高差だけをとって比較すると、上高地の標高が約1500mなので、500m不利になる。登山に有利も不利もないと思うが、とにかく2日目の奥穂、西穂縦走に疲労を残さずベストで臨みたいのが本音だ。という具合に話をしながら歩いていると横尾に到着した。


梓川と明神岳

 
ハクサンオミナエシ           ホタルブクロ


コバルトブルーの梓川


横尾

 
横尾大橋からの眺め    センジュガンピ


屏風岩と北穂高岳

本谷橋 横尾大橋を渡ると登山コースらしくなってくる。日差しがきついので、樹林はありがたい。この横尾から本谷橋までの区間は、屏風岩や北穂が樹間から見え隠れし、話題もその話になる。屏風岩に張り付いているクライマーはいないか、どのルートで登るのか、挑戦してみたい気持ちが見え隠れしてくる。約1時間で本谷橋に到着した。冷たい清流で顔を洗いクールダウン。涸沢までの登りに備える。

 
本谷          本谷橋


エンレイソウ

涸沢 本谷橋から涸沢までは約2時間の登りだ。樹林帯を抜け灌木帯に入ると雪渓が出てきた。この時期としては雪が多いように思えた。雪面からの反射が強いので、サングラスで目を保護しないと雪目になってしまう。雪面を歩いているにもかかわらず、日差しがきついので汗が噴き出してくる。雪をつかんで手を顔を冷やしながら登った。この区間は本来、花の多い区間だが、雪解けが遅くまだ芽吹いてもいなかった。涸沢ヒュッテには12時過ぎに到着した。お腹がすいていたが、迷わずに、抹茶アイスクリームを注文。おいしくて頬が落ちそうだった。ヒートアップした身体が落ち着いた。ここで昼食のために40分の休憩を入れる。昼食といっても、これからの急登を考えるとあまり食欲が出来てこない。パンとヨモギ餅でお腹を落ち着かせた。夏山シーズンに入ってはいるが、人出はそれほど多くはない。テントも少なく、まだまだ条件のいいところに張れそうだ。夏山シーズン序盤はまだまだ残雪が多く、緑と青空とのコントラストがいかにも夏山らしい。先週の白馬とは違った景観を持っている。


涸沢ヒュッテ


涸沢ヒュッテのテラスからの展望

ザイテングラード さて、まだ最後の大仕事が待っている。上高地を出発してすでに6時間が経過し、体力的にも疲労が溜まってきている。涸沢ヒュッテが標高2300mなので、目指す白出のコルまでの標高差は700mだ。今までにも何度か登ってきたが、何度登ってもやはりきつい。今回は雪面からの照り返しを敬遠してパノラマコースを避けた。明日のために体力を温存したいところだが、徐々に気持ちにゆとりがなくなってくるのが分かる。アイゼンを持ってこなかったので歩きにくい。やっとの思い出、長い雪渓を越えてザイテンに取り付いた。自分の足で稼いだ高度を振り返ると充実感があるが、残り半分の登りを考えると、気を緩めるわけにはいかない。


ザイテングラードから見下ろす涸沢

 
ハクサンイチゲ            ツガザクラ

ザイテングラードに取り付くと傾斜が急にきつくなる。息が切れない程度まで速度を落とさないと長続きはしない。それでも何度も立ち止まり肩で息をしながら登っていく。もう少し花を期待していたが、雪渓の縁のシナノキンバイは咲き出したところだった。それに比べハクサンイチゲはたくましい。岩と岩の隙間にも咲いている。力を振り絞りグイグイと高度を上げ、15時過ぎに白出のコルの到着できた。


白出のコル手前の雪渓


穂高岳山荘野営地

穂高岳山荘 心配していた野営場の場所確保だが、思った以上に登山者が少なく、好位置にテントを設営できた。小屋が近く、展望もよく、比較的フラットな所だった。さて滞在時間は12時間ある。明日のために、十分な休養が必要だ。先ずはアミノバイタルを飲んで筋肉の疲れをとった。小屋で受付をしてコーラで渇き癒す。本来ならビールを流し込みたいが、アルコールの摂取により高山病の症状が増幅されるので、残念ながらじっと堪えた。ジュースが400円、水1リットル150円、テント設営料はトイレ使用料を含めて600円だ。うどんでを注文したかったが、小屋のスタッフはすでに夕食所の準備に入っていて、オーダーストップとなっていた。テントに戻り、食事の準備をした。今宵のメニューも質素で、ワカメと椎茸の味噌汁、パン、チーズ、魚肉ソーセージ、マッシュポテトで作ったポテトサラダ、キュウリ、キャベツ以上。食事を済ませ横になると1時間ほど眠ったようだ。目が覚めるとまだ外は明るい。uttyさんと山談義をしながら展望を楽しみ19時30分に消灯。これで一日目終了。

 
シナノキンバイ       テントから見る前穂

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