最新情報  レポート  登山  バリエーション  ブログ  プロフィール

2010年9月25日 木曽駒ケ岳(中央アルプス)

 

木曽駒ヶ岳(中央アルプス)2010年9月25日 No.563 隊長
〜上松Aコースをしっかりと歩き木曽駒ヶ岳へ〜
上松(あげまつ)A登山口1090m(5:50)〜敬神ノ滝(けいしんのたき)山荘(6:23)〜4合目P1721付近(7:40)〜(8:10)金懸(かねかけ)小屋1914m(8:25)〜胸月八丁(8:38)〜P2074.8(8:44)〜天の岩戸(9:40)〜P2417(9:50)〜八合目2590m(10:30)〜分岐(10:50)〜玉の窪(たまのくぼ)小屋9合目2756m(11:42)〜(12:15)木曽駒ヶ岳山頂2956m(12:40)〜玉の窪小屋(13:01)〜分岐(14:04)〜金懸小屋(15:27)〜敬神の滝小屋(16:37)〜駐車場(17:05) 累積標高差2150m、歩行距離20km カメラLumixG2 レンズ14-140mm

| ページ1 | ページ2 |


プロローグ 今年のアルプス日帰りシリーズ第二弾は、中央アルプス木曽駒ヶ岳。累積標高差、歩行距離とも申し分なし。前回の笠ヶ岳にほぼ匹敵する。山行の形態は、テント担いだ長期縦走タイプ、いわゆる大学の部活動のワンダーフォーゲル、それからアルパインクライミング、つまり大学の山岳部の登攀器具を使った本格的な登山、それからトレイルラン、つまり最小の軽装備で山を駆け抜ける。自分の山行をどれからに当てはめるつもりはないが、アルプス日帰り山行はどちらかというと、最後のトレランに使いかもしれない。もちろん時間を競うつもりはさらさらないが、日の出から日没までという限られた時間で、山麓から3000m峰を往復するというシンプルな行為に、山歩きの本質があるような気がする。容易くできることではないが、特別な技術などは必要なく、誰にでも出来るチャンスがある。

アプローチ 日本海には秋雨前線、太平洋には台風21号が北上中だったが、25日は午前中から天候が回復するようだ。アルプス日帰りはかなりの体力を消耗するので翌日は身体を休めたい。26日にuttyと木曽駒を予定していたが、2日とも好天になるというのでuttyは早月尾根に予定変更。私は25日に山行を前倒しすることになった。とはいうものの、熊野からの出発になり、かなり時間が窮屈になってきた。とりあえず鈴鹿に戻り食事と風呂を済ませた時点で、時間は22時をすでに過ぎている。登山口まで190kmと比較的アプローチは容易だが、所要時間は2時間半を要する。急いで準備をしてとりあえず家を出発した。道路はスムーズで、湾岸、中央と乗り継ぎ中津川ICで国道19号線にスイッチ。途中で眠くなってきたので道の駅で休む事にした。

登山口の駐車場 5時には登山口を出発したかったが睡眠時間確保のために1時間遅らせて6時出発にした。5時にアラームで目を覚まし上松Aの登山口に向かう。登山口は国道から15分くらいの所で道路もよく、アプローチはスムーズだ。登山口付近には敬神キャンプ場やアルプス山荘などの私設があるが、寂れている様子だった。登山口前には30台ほどの登山用駐車場があり、道を挟んで向かいには御岳山麓で見られるような霊神碑が林立していて、山岳信仰の香りがぷんぷんとしていた。コンビニで調達した食料をザックにつめ出発。立派な駐車場だが、他に登山者は誰もいなく私一人だった。霊神碑の横に立派な道標があり、それに従って出発する。ところが砂防工事のために登山道は全くなくなっていた。工事用の作業道がいくつかあり、どちら苦歩いていいか見当がつかない。見通しがいいので、地形図を見て見当を付けて歩き出す。途中心配になりGPSで確認したところ、どうも谷を一本間違えているようだ。谷を横切りルートを修正する。ここで20分のタイムロス。時間にゆとりがないのに気勢がそがれた。

 
霊神碑と横に立派な道標がある        大規模な砂防工事

敬神の滝小屋 敬神の滝に向かう道標を見つけようやく敬神の滝小屋に到着。週末で天気もいいのに誰もいない。後続があるかもしれないが今のところ私一人だ。誰に邪魔されない静かな山旅になりそうだ。道標を見ると山頂まで7時間30分と書いてあるが、このペースで歩くと日のある内に帰れないことになる。山頂には遅くとも12時に到着したので、5時間30分で歩く必要がある。速く歩くほどスタミナの消耗は多くなるので、その日の体調に合わせたペース配分が大切だ。小屋前は小広場になっていてベンチも設置されている。谷の渓流の水は豊かだ。ここからは植林の薄暗い山腹道となり、ヒノキ林の中を緩やかに登っていく。

 
敬神の滝小屋

道標 このルートにはしっかりとした道標が半合ごとに設置されていて、所要時間が書いてあるので、現在の行程をしっかりと把握できる。尾根の地形により急登もあるが、比較的緩やかな尾根道だ。雨にうたれてたくさんの栃の実が転がっていた。道標のある地点はそれぞれ休憩の出来るようになっている。各合の間隔が長く、なかなか4合目に着かない。山頂まで行けるかどうか不安になってきた。一人だから気楽なもの、いつでも引き返せずぞ、という弱気の虫が身体を引っ張る。そういわれると悔しいので、意地の虫が出てきて、身体を押してくる。わざわざ休みの日に遠くまできて重労働をしなくてもいいのに、登山というのは人間にとっていかなる行為なのか、いつも考えさせられる。仕事のこと、家庭のこと、登山のこと、将来のことなど、いろいろなことが頭に浮かんでは消えていく。ひとりで単調なコースを歩いているといつもこうだ。自分を見つめ直す機会になっている。樹林がトウヒやコメツガになり亜高山の雰囲気になるとやがて正面に柱状節理の岩壁が現れた。これが金懸岩のようだ。小屋はすぐそこ。

 

金懸小屋 金懸小屋を過ぎるとすぐに小屋に到着した。しっかりとした小屋で、布団や鍋、水が備えられている。二階へはハシゴで上がる。展望は西(御岳方面)に開けている。金剛水という水場があるが、ちょろちょろとしか出ていなかった。渇水もあり得るようだ。お腹がすいたので餅を二個食していると、30台くらいの単独男性が追いついてきた。やはり日帰りで山頂を往復するようだ。こんなストイックな登山をするのは私だけかと思っていたが、仲間ができたのでちょっと嬉しかった。


金懸小屋 標高は1900m

 
小屋の中の様子


あいにく御岳は雲の中だが、小屋前は西側に展望が開けている

小屋を過ぎると地形が少し険しくなり、胸突八丁やラクダの背の急坂をしのぐと、2074.3の三角点に到着する。これを過ぎると尾根は緩やかな登りに転じ、遠見場、天の岩戸と見所がある。ダケカンバがシャクナゲが多くなり、樹林はシラビソ林への変わっていく。

 
胸突八丁

 
ラクダの背


遠見場 御嶽山が見える

 
御岳山          天の岩戸

 
美しいシラビソ林


ヤマハハコ


シラタマノキ

8合目 10時30分に8合目に到着した。小広場となっていて、霊神碑や不動明王の石像がある。この付近には尾根筋に碑や石像がいくつか似られた。山岳信仰は、山や石を崇拝の対象としているので、展望の良いところでは必ず見かける。標高は2590mで、山頂まではまだ400m登らなくてはならない。酸素が薄くなりここからが正念場だ。アミノバイタルを飲んで身体を助けたやり、10分ほど休憩を入れる。

 
花崗岩の巨岩が多い       八合目と刻まれた石柱


八合目の不動明王 対峙する三ノ沢岳を見ているようだ

分岐 8合目から20分ほど登ると森林限界となり、一気に展望が開けた。正面には前岳の向こうに、これから山頂を目指す木曽駒ヶ岳がその向こうには宝剣岳が見えている。北には麦草岳2733m、南には三ノ沢岳2847mがよく見える。正面には木曽前岳が行く手に立ちはだかっている。向こうの木曽駒ヶ岳に登るには、この前岳の山頂を乗り越すか、山腹をトラバースするしかない。乗越のコースは冬道となっている。時間的にはトラバースコースの方が有利なようだ。早く山頂に到着したかったので山腹道を選択した。このコースの核心部分になるだろう。分岐から徐々に高度を下げていくと、崩壊した谷に降りる。この谷は崩れたままで修復がなされておらず、

 


正面には木曽前岳が行く手に立ちはだかっている


登ってきた尾根を振り返る、山麓は木曽福島

ナギ 早く山頂に到着したかったので山腹道を選択した。崩壊地のことをナギというようだが、山腹道にはナギと書かれていた。このコースの核心部分になるだろう。分岐から徐々に高度を下げていくと、崩壊した谷に降りる。この谷は崩れたままで修復がなされておらず、危険な状態になっている。現に、谷を渡るとき一抱えほどある石に手を置いたところ、石が転がり落ちた。谷周辺はフィックスロープが張られているが、切れかかっているものもあり、不用意にロープに頼らないようにした。山腹の急登で高度を上げるとハイマツ帯入り、露出する花崗岩のが断崖や巨岩が目をひいた。最近はクライミングに興じているので、岩を見ると、どうやって登るかを考えてします。

 
分岐点            不安定な石で埋まる谷


山腹コースから前岳を見上げる

| ページ1 | ページ2 |

 

2010年9月26日 Copyright (C) 2010 k.kanamaru. All Rights Reserved.  home