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2010年6月29日 一族山(東紀州)

 

一族山(東紀州)2010年6月29日 No.551 隊長
〜山麓に豊かな自然と里山の風情を残す東紀州の名山〜
林道三和片川線作業小屋登山口(10:27)〜作業木屋分岐(10:48)〜(11:31)一族山800.5m(11:40)〜作業小屋分岐(12:14)〜(12:41)小滝コース分岐(12:56)〜保全林登山口(13:01)〜作業小屋登山口(13:42) 9km +-680m

プロローグ 一族山への玄関口にあたる紀和町板屋は、古くから紀州鉱山の中心の町として知られ、栄枯盛衰の歴史を持っている。戦後、新しい鉱脈が発見され活気づくものの、昭和53年に閉山し過疎の町となった。現在では、鉱山資料館が当時の様子を伝えている。
 さてこの一族山という山名だが、古く南北朝の時代に南朝側の刀剣を作っていた入鹿鍛冶一族の持山だったことに由来するようだ。入鹿の名は現在では、学校や神社として残っている。点名は「大峰」で、地元では「大峰山」と呼んでいるようだ。風格のある山体は、その存在感を周囲に誇示しており、近年は登山対象の山としても整備されている。また山麓には、里山の風情を残す丸山千枚田、古くからの地域住民の湯治場として親しまれてきた湯ノ口温泉、日本の滝百選にも名を連ねる布引ノ滝などがあり、観光資源として重視されている。しかし、東紀州の山奥に位置しているため、大阪や名古屋などの都市部からのアクセスが悪い。日帰登山の山ではあるが、ゆっくりと温泉に宿泊し、これらの観光地とセットで楽しむといいだろう。


一族山と丸山千枚田 2009年9月撮影


丸山千枚田 2009年9月撮影


布引の滝

コース概要 さて登山コースだが、西側からは大河内コース、南側から小滝経由コースが古くからあったが、最近では保全林コースが整備され、アプローチがいいのでよく登られているようだ。このコースは林道に沿って登山口が2カ所あり、林道歩きを厭わなければ周回ができる。今回は作業小屋登山口から入り、保全林登山口に降りて、駐車地まで林道を約40分かけて登り返した。これは天候が崩れることが予想できたので、できるだけ早く山頂に立つための措置で、山頂への最短距離を選択した。

作業小屋登山口(林道三和片川線) 当然のことだが、平日なので登山口に車などが駐まっているはずがない。梅雨の時の晴れ間は大変蒸し暑く、エアコンの効いた車から降りるとむっとした。この時期にこの山に登るは、好き者呼ばわりされそうだが、締め切りのせまった取材なので仕方がない。林道の終点には数台の駐車スペースがあった。登山口を見る限り、丸太階段が設置されていて、この先もよく整備されているだろうことが予想できる。登山口から丸太階段を登ると左手に作業小屋が建っていた。このあたりには特に地名がないようなので、作業小屋登山口と呼ばれるようだ。ここからはいきなり標高差100mの下りになり、谷間で一旦降りてしまう。石積みや丸太で階段がよく整備されているが、あまり踏まれていたいようだ。谷に沿って少し歩き、谷を離れて山腹斜面を登ると小滝コースの分岐に出る。コースはよく整備されていて、道幅もあって歩きやすい。地形に従い山腹を徐々に高度を上げていくと傾斜が緩み山頂部に乗ったことがわかる。地形に従い小谷を渡るとすぐに山頂に到着した。このコースはかなり上部まで水がある。もちろんコースが短いので途中で給水することもないが。

 
作業小屋登山口               作業小屋


整備されている保全コースの石段

作業道分岐 

 
作業道分岐

一族山 山頂には二等三角点が埋標されている。展望は、樹木が切り払われ北側に開けている。ちょうど丸山千枚田を俯瞰できる。空を見上げるとなりやら怪しげな雲行きになってきた。ひと雨来そうだ。弁当を持参してきたが、それほどお腹が空いていなかったので、とりあえず先に降ることにした。山頂を後にすると、予想通り雨が降り出したので、レインウェアを羽織った。

 
一族山三角点              山頂の様子


山頂からの展望


よく整備されている保全林コース

小滝コース分岐 先ほどの作業道分岐から、ひとつ小尾根を乗り越すと山腹道になる。ここも保全林コースで安全柵や丸太階段が要所に設置され、よく整備されているようだが、あまり歩かれていないようだ。入山者が少ないからだろう。しばらく山腹道が続くがやがて、谷筋の下降に転じる。水流で削られたりして、歩きにくい箇所があった。どうも作りっぱなしで、メンテナンスがなされていないようだ。先ほどの分岐から約30分で小滝コースに合流した。雨が上がったようなので、沢に降りて弁当を食べた。アマゴの稚魚が川面を流れている小さな虫を補食していた。

  
小滝分岐

保全林コース登山口 小滝分岐から谷の左岸を10分ほどあるくと登山口に到着した。ここは布引谷とシクヤ谷の合流点で、立派な橋が架けられている。ここから布引の滝までは近い。さてここから車の回収し、林道を上っていかなければならない。距離は約3キロ、標高差200mの登りだ。焼けたアスファルトを冷やすだけの降雨ではなかった。水蒸気をたくさん含んだ熱気に不快感を感じながらとぼとぼとあるいて車の回収にむかった。途中、鹿や兎やカモシカが林道を歩いていた。人や車よりも、動物の方が多いところだ。


保全林登山口の谷


保全林登山口

 
林道で出会ったニホンカモシカ

 
ノウサギ                     シカ

 
荒滝                      山○滝  

湯ノ口温泉 帰りは湯ノ口温泉に立ち寄り汗を流した。古くから湯治場として、地物の人に利用されてきたようだ。泉質は、瀞流荘の湯と同じだった。それほど熱くもなく、長湯ができそうだ。


湯ノ口温泉


瀞流荘

鉱山資料館


鉱山史料館

 
展示されているトロッコ                 鉱山足湯


上北山川

 

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