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2010年4月29日 孫太尾根(鈴鹿)

 

孫太尾根(鈴鹿)2010年4月29日 No.541 ホフマンさん、なっきーさん、隊長
〜増水のためにワイルドな花見山行となった〜
新町配水池(8:55)〜神武祠P387(9:22)〜丸山(10:38)〜(11:54)草木で昼食(12:30)〜県境稜線(13:20)〜茨川分岐(13:54)〜P771(14:04)〜治田峠(14:11)〜休みコバ(15:42)〜キャンピングパークP(16:34) +1200m 12km

プロローグ 今春、三度目の孫太尾根となった。芽吹きが始まり、花と新緑を満喫できた。しかし帰路は、土砂に埋まりしばらく沈黙を守っていた青川渓谷だが、増水のために渡渉に難渋することとなった。
  明け方に前線が通過するようなので、出発時間を1時間遅らせ9時集合とした。この時期は低気圧が移動性のために天気の良悪がはっきりとしている。天気予報通り9時過ぎには前線が通過してしまい、急速に回復し始めた。雨風に打たれ、花は閉じているだろうが、春の暖かい日差しに誘われ開くことを期待し配水池を出発した。

  
孫太尾根から見る静ガ岳、銚子岳   イチリンソウ

クサキ 雨上がりの樹林は清々しい。今回も配水池からのルートで登り始めた。今回は、ほふまんさん、なっきーさんと私の3人だ。今回はどこもピークを踏まない山行なので、春の花を見ながらのんびりと歩くことにした。樹林を抜けると、石灰岩の露岩の尾根となり、クサギやヤブサンザシ、サンショウの灌木帯続く。クサギやサンショウの新芽を摘むと、ハーブのようないい香りがする。落花したムベの花を見つけ、頭上を見上げた。断崖の縁に咲く山桜がきれいだ。どこを見ても春がある。鈴鹿での一二を争う長い尾根だが、春を探しながらの登行は登りのつらさを感じさせない。

 
イカリソウ                  いなべ市と多度山

ヒトリシズカ 春の花はすでに、丸山までは花期を過ぎていたが、少し遅れて咲き出すイチリンソウが一輪と、咲き始めのイカリソウを見つけてカメラに納めた。他にもあるだろうと探しながら丸山の急斜面を這い上がったが、他には見つからなかった。丸山を過ぎると傾斜が緩み快適な尾根歩きとなる。ニリンソウが日差しに誘われ花を開き始めていた。なんと言ってもこの時期の主役はヒトリシズカだろう。生育環境がマッチしているようで、目にすることが多い。足下ばかり気にしていると頭上には山桜が花盛りとなっていて、レンズの交換が忙しくなった。

  
ニリンソウ          カタクリ


ヒトリシズカ


ヤマザクラ


ヒトリシズカ

お目当ての山しゃくだが、残念ながらまだつぼみで、開花した株は見つからなかった。しかし株の採集が甚だしい。地面を掘り返した跡がたくさん残っている。手段を選ばない人間の強欲による行為が、自然を破壊する様を見ると情けなくなってしまう。自然公園法を見てみると、採集の際に許可申請がいるのは、特別地域、特別保護地域で、普通地域では採集ができるようだ。今回もまた、心が痛くなってしまった。

 
ヤブレガサ            ヤマシャクヤク

草木でちょうどお昼になったので、昼食休憩とした。足下をみるとフデリンドウが、小さな花を精一杯広げていた。


フデリンドウ

 草木の樹間から多志田山と藤原岳が覗いている。台地のような藤原岳もこの角度から見ると雰囲気がずいぶんと違う。山頂まで行くならここで、もう一度気合いを入れ直す必要があるだろう。草木を過ぎると、ミツバツツジ、シロモジ、山桜がたくさん花を付けていた。足下のカタクリもこの高さでちょうど見頃となっていて、春の日差しを受けて花びらがそりくり返っていた。

  
ミツバツツジ

 
多志田山と藤原岳                 シロモジ

 

カタクリ 県境稜線の手前でカタクリのちょっとした群落を見つけ見入ってしまう。そこで撮影会となった。今回は多志田山のピークは行かずに、トラバース道で県境縦走路に合流した。案内板は朽ちているが、道型が残っている。いずれにしてもここを歩く登山者は少なく、この日も誰とも出会わなかった。

  
稜線にて         オオカメノキ

縦走路 縦走路にも所々にカタクリが花を開いていたり、ミツバツツジの鮮やかなピンク色の花やオオカメノキの白い花が、目を楽しませてくれた。縦走路は展望が良く、朝から歩いてきた孫太尾根や、谷を深く刻んだ青川渓谷が一望できる。新緑が谷から尾根にかけて、グラデーションをかけている。やがて緑一色に染め抜かれることだろう。


治田峠から藤原岳

治田峠 茨川分岐で向きを変え、治田峠へと高度を下げていった。治田峠には14時過ぎに到着した。ここからは降理になるので気分的にも楽になるが、樫の葉の積もった急坂の下りは滑りやすく気が抜けない。40分で谷まで降りた。さてここからは歩きやすくなるなと思いきや、増水した青川は手強かった。


渓谷から草木を見上げる

 
増水した川の渡渉に難渋した

激流 土砂で埋まった河原はむしろ、以前と比べて歩きやすくなっていたが、ひとたび増水すると、幾筋もの流れができて渡渉を余儀なくされた。これは想定外だった。上流部は水量も少なく何とか石を伝って渡渉できたが、下流に降るにつれそれもできなくなった。靴を脱ぎ川に入る。切れるほど冷たい。何とか休みコバまで到着した。ここから先は雁復旧の道路があるから大丈夫だろうと安心した野もつかの間、ことごとく水に流され、ここからがむしろ難渋することとなった。裸足では足が痛くて渡れない。しかし渡らないと帰れない。仕方なく靴のまま入ることにした。又したまで水につかり、激流に足をとられそうになる。何度か渡渉を繰り返しゲートまでたどり着いた。穏やかな花見山行が、激流の渡渉で引き締まった結果となり、充実度の高い山旅となった。下流部では日当たりの良いところではウツギの花が咲き出していた。 完

 
ゴヨウアケビ

  

 

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