2010年1月16日 雲母峰(鈴鹿) |
■雲母峰(鈴鹿) 2010年1月16日 No.527 隊長 本日のルート 国土地理院の提供している電子国土Webシステムを利用 宮妻キャンプ場から雲母へのルートが使えるかを検証した。帰路はキララ谷右岸尾根を使ったが、雪のために滑りやすく、尾根末端は険しく誰にも歩かれていないようだった。大きな猪が二頭、目の前を悠々と歩いて行った。こんな所には人は来ないだろうと、警戒する様子もなかった。猪は目と耳が鈍感なのかもしれない。 プロローグ 雲母峰への登路は、湯の山温泉側からと東山麓の東海自然歩道からが一般的だ。西側からは、鎌ガ岳から雲母峰に延びる釣り尾根にルートがある。北側からは稲森谷からこの尾根に繋がっている。一方宮妻からはカズラ谷コースが一本あるが、雲母に向かうにはかなり大回りになる。791独標尾根は杣道があるようだが、一般的に登山道としては使われていない。しかしこのルートが使えると、利用価値の高い道になるかもしれない。 アプローチ 日陰の部分が凍り付いた林道を注意して走った。宮妻キャンプ場の駐車場は閑散としていた。寒波が緩んだがまだ、雪雲が山を越えて流れ込んでいた。準備を済ませ、道路を挟んだ駐車場の向かいから取り付いた。 791独表尾根 鈴鹿の山と谷では、この尾根ルートのことを、791独表尾根といっている。吊り尾根の中間地点にあり、鎌ガ岳、雲母峰どちらでもねらうことができ、また、エスケープルートとしても利用価値が高いとみている。確かにその通りだと思う。しかし最近のマップには記載されておらず、一般的には歩かれていないようだ。 しばらく進むとP606に到着した。樹木が視界を邪魔するが、西側を見ると、うっすらと雪化粧をした水沢岳が迫力をもって迫ってきている。東側に目をやると雲母峰が確認できた。植林帯に消えていたルートは、尾根が狭まるとルートがわかりやすくなり、所々で古い目印テープを見るようになる。P606あたりは痩せ尾根で東側は断崖になっているが、これを過ぎると、落葉樹林の緩やかな登りになる。 西平・東平 P606から50分ほど登るとP791に登りついた。途中のC650付近で大きなモミの木があった。西側のコバを西平、東側を東平というらしい。現在、西側のコバは植林帯になっている。登ってきた尾根は人よりも、鹿などの動物がよく利用しているようで、無数の踏み後が見られ、「ピー」という鹿の警戒音を何度かきいた。この辺り、今は涸れているが、スズタケのブッシュであったようだ。ここまで来ると吊り尾根の縦走路となり、標識やテープを見かけるようになる。 山頂 吊り尾根は、コナラ、イヌシデ、リョウブなどの落葉樹林で、雲母峰山頂へ向けて緩やかに登っていく。ここもスズタケが枯れていて、見通しもよく歩きやすくなっていた。誰にも会わないだろうと思っていたら、年配の単独男性と行き交った。P791までを往復したようだ。雪を踏みしめながら、のんびりと稜線を歩くのもいいものだ。30分ほど歩いて雲母峰山頂888.4に到着した。天候も回復してきているので誰か居るだろうと思ったが、東峰でも誰にも会わなかった。山頂付近の積雪は10センチほどだった。東峰に移り、展望のよい所で昼食とした。 キララ谷右岸尾根 雪を抱いた鎌ガ岳を撮影したかったが、曇り空だったので、見栄えのする写真は撮れなかった。30分ほど休憩し、体が冷えてきたので引き返すことにした。先ほど吊り尾根で行き交った男性が戻ってきた。P791を往復したのだろう。さて、下山だが、来た道を戻ったのでは芸がないので、キララ谷右岸尾根を下ることにした。東峰から、本峰から南に降りる尾根が確認できる。最初の100mほどの傾斜がきつそうだ。 イノシシ 予想通り最初の100mがアセビの灌木帯の急降下となった。雪でよく滑り、アセビの枝を掴みながら下った。歩かれている様子は全くない。灌木が邪魔になり大変歩きにくい。我慢して下るとやがて傾斜がゆるんできた。東側は断崖になっている。20分でP743を通過、C650まで下ると炭焼き釜跡があった。さらに100m高度を落とすと、岩場のガレた痩せ尾根にさしかかり、西側は断崖になっている。このまま無理に進んで断崖の行き詰まりになると、登り返さなければならない。さてどうするか。すると前方10mほどの所で、大きなイノシシが痩せ尾根で、うろうろとしている。立ち止まり息を潜めて行動を見守った。驚かせると、こちらに向かって来そうだ。するとすぐに、尾根から降りていった。やれやれと思うのもつかの間、その先には黒い大きな物が動いている。クマかと思ったが、イノシシとクマが仲良くするはずがない。よく見るとこれも大きなイノシシだった。野生動物との出会いは実にスリリングだった。 ウソ谷 イノシシが登ってきたのだから下れるはずだと判断し、そのまま痩せ尾根を下り、なんとかガレ場を通過した。もう少しで五郎谷に降りるはずだが、問題は尾根も末端だ。よそ通り、岩と木の根に捕まりながらの急降下となった。無事に谷に降りることができやれやれだ。あとは大きく巻く滝がないことを祈るのみ。滑りやすい石を拾いながら谷を下る。するとすぐにキララ谷との合流点に出た。さび付いたパイプの取水施設があった。たぶんキャンプ場の物だろう。そこから10分ほど谷を下ると林道に出た。 完
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